何よりも大切なもの
GWの喧噪を伝えるニュースを聞きながら、都心にある会社に来ると、別世界。逆に静寂に包まれています。

男にとって、金を稼ぐという意味だけではなく、自己を研く手段としても、仕事というものは、大切であるといつも思っています。そして、このホームページでもそれを伝えていました。仕事に打ち込む姿は、なによりも美しいし、壁にぶち当たり悩んでいる様子を見ると、はらはらとしながらも、その壁を乗り越えて欲しいと、心から応援したくなります。そんな男の姿が大好きです。

しかし、ときに「仕事」を理由に、他の大切な物事を、忘れてしまうことがあるような気がします。

冠婚葬祭のうち、前者は予定されているのが殆どで、余程のことがない限り意志さえあれば、出席することは可能だと思います。しかし、後者…葬祭…の方は、予定されていない方が普通で、出席することが難しくなることもしばしばかと思います。

日記にも書きましたが、年度末の忙しいとき、僕の弟分(2003年8月の日記をご参照下さい)のでんでんが、通夜の夜に来てくれました。若くして、営業所長を任されている彼。誰よりも仕事熱心な彼。しかし、彼は言っていました
「(亡くなった)お袋が行ってこいって。」
うれしくて、うれしくて、堪えていた涙があふれ出てしまいました。

親が死ぬという悲しみも、ストレートの人たちは、自分の家庭があり、その悲しみを自分の愛すべき人たち…奥さんや子供達…が、癒してくれるのだろうと思います。しかし、僕たちゲイには、そういう家族を持ち得ないのが普通です。孤独感がかえって悲しみを増幅させてしまうことがあります。

あの夜、大阪から帰ってくる飛行機の中、窓から外を見ながらずっと寂しくて悲しくて震えていました。愛する人を抱きしめながらなら、眠れたかもしれなかったけれど、それも叶わず。夜を徹してしまいました。

あなたにとって何よりも大切な人がいるなら、忘れないでいて欲しい。あなたがそばにいてくれるだけで彼は癒される、そんな夜があることを。そんな夜には、仕事よりも、何よりも大切なものがあるということを。

CORAZON