それでも生きていくから

失恋の直後に書くことではないんだけれど

失恋した直後にこんなことを書くと、心配を掛けてしまうだろうけど、こんなときだからこそ、書く勇気が出たのかもしれません。

今ではなく、今年の春、親父が死んでから、ずっと僕の心を支配している気持ちがあります。一言で言えばそれは、「人生の無常」というものでしょうか。

僕がまだ小さい頃に祖父母は4人とも他界しました。それも、大阪から遠く離れた九州ででした。なので、その葬儀には、父と母のみが出かけていって、留守番をしていました。

その後、幸いにして親戚縁者には葬儀はなく、人間の死に顔を目の当たりにしたのは、2年前のmetoのお父さんが初めてでした。そして、父の死。

その前の週に見舞ったときには、予想すら出来まかったその死でした。家族中誰も、看取ることが出来ず、僕が家に帰ったときには、父は冷たくなって家に帰っていました。そして、まるで台本があるかのように、息つく暇もなく流れていく葬儀。

火葬が終わり、母と二人になったとき、父の葬儀が終わったことを実感しました。

今まで抱えたことのない悲しみと孤独。東京に帰る飛行機の中で、どうしても止められない涙が頬を伝っていました。その悲しみと孤独は、半年以上たった今でも消え去ることはありません。

今は、元気な母ですが、彼女にもやがて死が訪れてしまいます。僕にとっては最愛の母です。家族といえば、妹もいるのですが、子供の頃からそんなに仲が良いわけでもありません。「兄弟は他人の始まり」とも言いますし。それこそ母が亡くなってしまったら、僕を心の底から愛してくれた人はもういないというのが、現実なのです。

ゲイであり、家族もありません。普通の男なら、家族のためとかという思いもあるのでしょう。母が亡くなってしまったら、果たして、僕は今、そしてこれから、何のために生きていくのか分からなくなってしまっています。…どんな人生でも終わりが来てしまう無常が今の僕の虚しさにつながっています。

そんなときであったのがSatoruでした。彼と一緒に過ごした6ヶ月は、そんな虚しさを、悲しさと孤独を全て忘れさせてくれました。でも、それらの気持ちがなくなってしまったわけではありませんでした。

果たして、何のために、誰のために生きていくのか?

Satoruと別れ、ひとりになり、また思い出してしまいました。

東京にいた頃は、仕事もおもしろく、愛すべき人がいた。大阪に来て、東京にいた頃以上に、仕事は充実しています。朝、会社に8時過ぎに着いて、他の人より遅くまでいて、他の人よりも出張の仕事もたくさんこなして、結果も出してる。充実しています。

仕事はおもしろいです。でも、大阪に来てから、仕事しかおもしろいことがない。仕事しかおもしろくない人生なんて、こんなつまらないことはない…。

こんなおもしろくない人生なんて、初めてかもしれない。
大丈夫、それでも、僕は生きていくから。

CORAZON

2004/11/07