マザボの修理と理想の電源   

2004年2月29日




☆電解コンデンサすべてが破裂または膨れ   
三月になると期末が近くなるため仕事が忙しくなり更新が遅くなる。 このため、二月中には手のかかる工作は済ませてしまいたいというのが本音である。 今回も実は先輩から故障マザーの修理を依頼されていた。 故障マザーとはこれ、ABIT製SA6である。

こいつは電解コンデンサ破損事故の走りとも言うべき製品で、 交換対象になった時期もある。 こいつの電解コンデンサ破裂は有名な話で、たぶん典型例だろうと思っていた。

で、ものを頂いたわけであるが、予想以上に酷い状態であった。 なんと、特定の種類の電解コンデンサが使用箇所にかかわらず すべて破裂している。 総数はなんと17個だ。

破裂したコンデンサはある特定のメーカーのものに限られていて、 容量は1500μFであった。 通常はリップル電流量などの違いによって 使用箇所毎に状況が違うのが通例であるが、 今回は使用箇所にかかわらず同様に膨らんでいるので、これは高負荷や高温による 破裂ではなく、例の台湾製電解液に起因する破裂であろう事はほぼ間違いない。

交換期間内なら無料でリコールしてもらえたのに残念でしたね。先輩。

ABIT製SA6、哀れ無惨 すべての頭が膨らんでいる 電源系に使われたすべてがパンク

☆さっそく、交換修理   
早速交換修理に入ろう。 しかし、今回は手持ちのコンデンサのうち低ESRタイプの1500μF品を 使い切ってしまっていた。 前回の修理で使ったニチコン製の1500μFは 度重なる改造と修理で使い切ってしまったのである。

今現在の低ESRタイプの手持ちは3300μFと6800μF。 メーカーは東信工業製の低ESRグレード105℃品。 メーカー的にはニチコンに比べあまりなじみの少ないメーカーだが、 一応国産メーカーだしなんせ安かったのだ。(たるさんは貧乏なのよ...)

まあ、一応低ESRグレードだからコンデンサ自体は良いとしても、 今回問題になるのは容量が高すぎるものしかないということだ。 実は、同じグレードのコンデンサの場合、小容量の物を並列接続した方が 大容量品1個よりも低ESRになる。

これは、容量が2倍になってもESRは半分にならず 60〜70%しか低下しない事が原因だ。 低ESRを狙う場合は高容量品に代えて中容量品の複数接続にするのは良い方法である。 このSA6というマザーの場合はCPU側に1500μFが6個並列接続されているが、 これは単純にマザーの低背化を狙ったと言うこと以外に、 電源用コンデンサ系の低ESR化を狙った可能性がある。

従って、1500μF×6個の並列接続を6800μF+3300μFで置き換えることは、 容量面では問題ないがESR面で若干の不安を抱える事になる。 腐っても低ESR品だから通常品ほど危険なことはないだろうか、 ちょっと心配な点ではある。

今回は手持ちの都合でこのように容量だけ合わせて修理してしまったが、 まあこれは反面教師と思っていただきたい。 今回の記事を参考になさる方は、個別容量と個数も合わせた方が良いことを 憶えておいて損はないと思う。 (もっとも、低ESR品ではない通常品を使う事の方がよほど危険だけど。)

ちなみに、上記とは逆に 大容量品を中容量品の並列接続で置き換えるのはほぼ問題ない。 「ほぼ」と書いたのには理由があって、あまりにも低ESR化すると 電源回路の保護回路がショートと勘違いして安全回路を作動させてしまったり、 ESRが低すぎて異常発振する可能性があるからだ。

もっとも、このような問題はコンデンサをセラミックやOSコンに置き換える場合は 注意が必要だが、たるさんの経験上では同種の電解コンだけの場合はほとんどの場合、 許容範囲内と思われる。

破損コンデンサを取り外す。
GND面は銅箔面積が広く、半田吸い取り機が使いにくい。
100〜120Wのコテでグリグリするほかない。
同程度の容量で置き換える。
複数のコンデンサを大容量1個で置き換えるのは
正直感心しないが...

☆火入れテスト   
さて、テストの結果Power-MOSFETには特に損傷は無さそうなことが分かった。 これは重要で、MOS-FETが逝かれた場合は修理が難しくなる。

ちなみに、後輩からもう一枚修理を依頼されているのだが、 こいつはMOS-FETが1つ黒こげになっている。 これも修理が完了次第報告したいが、基板が焦げてしまっている程に 重症なので、完全復帰は難しいだろう。

今回の奴は電解コンデンサの交換だけで修理完了となるハズだが、どうだろう?  さっそく火入れテストしてみた。テスト負荷はSuper-piの104万桁である。

Windowsの起動に成功。
ここまで来れば修理完了間近だ。
Super-pi104万桁テスト中。
ちなみに、ブタの蚊取り線香入れは
半田コテ台代わりに使っている。

動作確認もうまくいった! これで修理完了である。 先輩にはその旨連絡したが、喜んでいただけた。

もっともこの修理、電解コンデンサをたくさん交換したおかげで 修理費もかかっている。 最新マザーならばともかく、今時のソケット370マザーなので 中古を買っても似たような経費かもしれない。 愛着の問題ですかね?

☆理想の電源とは?   
オンボード電源の修理をUPしたおかげで、 先輩後輩から修理の話がもたらされるようになったが、 コンピュータの電源にそもそも電解コンデンサを使うことが 設計思想的に最適ではないのではないか?  そんな疑問がたるさんの頭につきまとうようになって久しい。

そんなある日、秋葉原であるジャンクマザーを見つけた。

このマザーは今時のSlot1マザーなので、 今時わざわざ購入する価値はないのである。しかし、 電源系がたるさんの理想に近い設計思想なので、 ここに写真をUPするため購入してきた。

それがこれである。

ジャンクDELLマザー。
注目点はオンボード電源の設計思想。
Slot1マザー時代に既に...
なんと4フェーズで、電解コンデンサレス。

マザーのメーカー名が白ペイントで消してあるが、 電源コネクタの作りや基板のGNDの取り方から見て DELLのマザーである事は間違いない。 感心したのは電源系の設計思想だ。

まず、このマザーはSlot1時代のものであるから、 CPUの消費電力はそれほど大きくはない。 しかし、この時代においてすでに4フェーズ方式を採用し、しかも電解コンデンサを 使用せず、大容量チップコンデンサを使用している。 当時としてはかなりの先進設計である。 (写真中、オレンジ色のチップ部品は面実装タイプの電解コンデンサであるが、 CPUの電源系とは別回路である。)

これなら、排気でコンデンサがあぶられて寿命が縮まる心配はないし、 4フェーズだから安定度も相対的に高い。

現代の最新マザーに通じる、いや、電解コンデンサレスという面では ある意味最新マザーすら上回る先進的設計思想なのだ。

DELLというと技術ではなく流通面で業界TOPになったメーカーと思われがちである。 DELLモデルの本質は在庫管理と流通面の低コスト化にあると言われているからだ。

しかし、少なくともSlot1時代にこのような設計をしていた事を見ると、 技術力的にもかなりの力があるように思われる。 (もっとも、最近では電解コンデンサ多用設計に戻ってしまったので、 これはあくまでテスト・プロトタイプ的存在なのかもしれないが...)

この電源系はたるさんが考える理想の電源系にかなり近い物である。 将来的には超マルチフェーズで電解コンデンサレスというのが、 理想の電源系ではなかろうか?