たるさん、アナリストに挑戦す!(秋葉原から見る景気)


2002年7月28日




最近は柄にもなくお真面目な題目が続いたので、知恵熱気味である。 トリ頭で脳みそのキャパが少ないたるさんは過労気味だ。

特にUWBが無線LAN代替に使えないなんて話、 その筋の専門家が書いてくれれば一発の当たり前な話なんだろうけどね〜。 雑誌速報系のWebサイトは、企業公開情報の速報は早いけど、 「どうしてそうなるのか?」というシロウト衆の 素朴な質問には答えてくれないし... (まあ、自分で考えろって事か?)

というわけで、今回は(今回も?)知恵熱冷ましにヨタ話系である。

今回は秋葉原をワッチし新たなトレンドをつかんだのでご報告しよう。 最近は景気のいい話がないので、今回のお話はまさに「景気のいい話」である。

さて、皆様は メモリとPentium4の異変に見る景気の底打ち 」において、たるさんが述べた内容を覚えていらっしゃるだろうか?

それは秋葉原から見た景気回復予想のお話であった。

ほとんどの経済アナリストが2002年後半と予想した 景気の回復時期を、この話では2001年第四四半期で既に「底打ち」と 予告した。 (この予想は後に正しかったことが証明されたが、回復傾向が思いの外強く、 後に的中度不足との判定に変更。)

しかし、ここ1ヶ月ほどはエンロン、ワールドコム等の大型破綻の影響もあって、 回復傾向は戦後最短になるのでは?という、景気先行き不安が渦巻いている。

今回は、前回の予測的中に気を良くして(思い上がりモード100%???)、 再度経済アナリストの景気不安説に挑戦してみようと思う。

前回は自分の判定に自信を持てなかったので、強い言い方ができず失敗した。 今回は失敗覚悟の独断言い切りモード全開である。 ウソ度100%かどうかは、1年後に明らかになるだろうが、 結果はご自身で判定して欲しい。

☆秋葉原ワッチでつかんだトレンド   
さて、秋葉原に出かけてみると今回はメモリとハードディスクが値上がり していた。 また、商品サイクルが短く円相場の影響を受けやすいCPU(完全輸入品)であるが、 急激な円高にもかかわらず横ばいトレンドであった。 (ちなみに、メモリチップとHDDは少数ながら国産もある。)

常時デフレが原則の秋葉原価格としては、まさに異常事態である。

さて、では前回同様にこの価格トレンドから 景気回復を予告できるかどうか考えてみよう。

まずDRAM価格であるが、あらゆるマスコミで景気悪化への転換が 報じられている今、何故この時期に値上がりするのであろうか?

以前も述べたが、秋葉原のDRAM価格は市場のスポット価格に連動している。 そして、スポット価格は「メーカーの生産調整」「大口顧客の急な調達」かの いずれかで価格が乱高下する性質を持っている。

そして、そのどちらであるかを判断する方法として、DRAM以外のパーツに乱高下が 見られるかどうかが考えられる。 「DRAMの生産調整」の場合はDRAM価格だけが乱高下するが、 「大口顧客の急な調達」である場合は、DRAMだけではコンピュータは 組み立てられないので、他のパーツも連動して乱高下するからである。

では、今回の秋葉原ワッチではどうだったのであろうか?

前回の場合は、同時にPentium4が秋葉原から消えるという怪現象が発生した。 今回はPentium4は秋葉原から消えていない。 ただし、急激な円高にもかかわらず価格が思ったほど落ちていないのである。 これは、万年デフレ傾向の秋葉原価格としては異常事態である。

また、ハードディスクは値上がりしている のである。ハードディスク価格はごく最近まで暴落傾向で、 値上がりはおろか価格横ばいでも大きなトレンド転換といえる。 (ただし、1)で後述するがHDDのトレンド転換に関しては 某HDDメーカーの台所事情があり、景気と無関係の可能性もある。)

また、液晶パネルのとてつもない大増産で価格が暴落すると 予想されていた液晶モニタであるが、 今のところ秋葉原の値動きは横ばいで、暴落傾向にはない。 これも奇妙な話である。

どうやら、DRAM価格の高騰は「生産調整」によるものではなさそうだ。

☆世界の景気情勢は?   
では、世界の景気動向はどうなのであろうか?

世界では、エンロン、ワールドコムは破綻するは、欧米株価は暴落するは、 コンピュータの売り上げは予想ほど伸びていないとの報告があるは、 まさに総悲観状態への転落である。 アメリカ景気のバブルが崩壊し10年来の好景気が歴史的転換点を迎えた、 と各新聞は書き立てている。 数ヶ月前の(経済アナリストにとっての)意外な景気回復時に見せた勢いは どこへやらである。

日本でも株価が大暴落である。 これは、アメリカの株価が暴落したため、 外国人投資家が換金売りをしているのが原因と言われている。 円高とアメリカ経済崩壊による輸出打撃で、日本ハイテク産業も 入りかけていたV時回復軌道に乗れないのでは?と回復を疑問視され始めた。

そんなこともあってか、先日、経済番組を見ていたら、 経済アナリストが「日本経済9月危機説」というのを流布していた。 日本経済は9月に破滅的状況に突入する可能性があるというのである。

たるさんは、正直言って「○○危機説」というのは聞き飽きているので 半信半疑なのである。しかし、 この経済状況下では良いことを言っても視聴者受けしないということもあるのか、 アナリストは大まじめだし、一聴すると説得力がありそうだ。

また、他の番組を見ても似たり寄ったりの傾向で、景気を急落局面として 報道している場合が圧倒的に多い。 例えば、 「深層・真相」〜ワールドコムの衝撃が日本経済を突き落とす といった記事に典型的に見られる評価である。

少なくとも、新聞・TVを見る限り景気は急落局面に入ったという報道で 一致している事は間違い無いようだ。

☆秋葉原SDRAM価格の株価予見性???   
では、なぜ秋葉原価格は世間の景気トレンドに 逆らっているのであろうか?  日米のハイテク業界が本当に悲鳴をあげている状態ならば DRAM需要は増えるはずもなく、 当然DRAMのスポット価格(=秋葉原価格)は暴落するはずである。

考えられる理由は3つある。 一つは「秋葉原ワッチでは景気動向はつかめない。 前回の景気回復予想的中は偶然。」という無相関仮説、 もう一つは「秋葉原価格は経済アナリスト予想に対して先見優位性があり、 時間軸が未来へずれている。」という先行指標仮説である。 3つ目は、「さらなるIT不況で大手DRAMメーカーが倒産に追い込まれ、 需給がタイトになるという観測が広まっている。」という 需給タイト化仮説である。

「秋葉原ワッチでは景気動向はつかめない。 前回の景気回復予想的中は偶然。」という仮説では 全然おもしろくも何ともないし、3つ目の仮説について云々すると 風説の流布になってしまう可能性もある。 (そもそもDRAM価格が上昇すればDRAMメーカー倒産の危険度は減ってしまう。) ここは、2つ目の仮説で考えてみよう。

まず、SDRAM秋葉原価格を時系列でプロットし、経済指標と比較してみた。 SDRAM価格指標に使用したのは、前年後半から現在に至るまで最も普通に 用いられてきたPC133-SDRAM-256MB-CL=3である。 現在の売れ筋はDDR優勢だが、一年ほど前の話を含めてするのだから 参考指標としてはSDRAM価格でいいだろう。

次に経済指標であるが、 たるさんは経済学についてはまったく門外漢であるので、 経済指標に何を用いると良いのかはよくわからない。 が、良くある指標としてとりあえず日経平均株価を使ってみた。 経済アナリストが景気動向を評価するのに番組でよく使うからである。 (経済通の方へ...週足で情報が公開されている もっと良い指標があったら教えてください。)

この2つを同時系列で比較したのが下図である。 なにやらぼんやりと一定の傾向が見えるような気がしないかな???

同時期の秋葉原SDRAM価格と株価の相関
よくわからない関係だが...すこしSDRAM価格の日時をずらすと...

では、よくわかるようにSDRAM価格を8週間後半にずらしてみよう。 それが、下記のグラフである。 (正月、GW等データがとぎれた点は、前後の平均で補完。)

SDRAM価格を8週間ずらしたグラフ
SDRAM秋葉原価格が株価を予告している?

「経済アナリスト破れたり〜。」と言いたくなるような傾向が 現れたではないか。 なんと、秋葉原SDRAM価格を8週間後にシフトすると日経平均株価のトレンドと ほぼ一致するのである。 底値からの回復傾向と、高値からの暴落傾向がいかによく一致するか2番目のグラフで 確認して欲しい。

また、10月から12月に見られる株価があまり変動しない時期に、 SDRAM価格が安定してゆっくり下落しているのにもご注目いただきたい。 DRAM価格は経済に何の変動が無くても基本的に漸減傾向にあるので、 そのトレンドを除外すれば、これは株価の安定と一致すると 言い得るのではないだろうか?

つまり、秋葉原SDRAM価格は日経平均株価の8週 先行指標だったと考えるのである。

株価の上昇は景気回復と言っていいだろうから、 つまり、秋葉原ワッチから景気回復を予見することは可能なのでは?と と思わせる結果である。

ちなみにDDR価格で読みとると、その回復傾向はもっと強く出る。 最近の市販パソコンはDDR搭載機が増えているから、 最近のトレンドに関してはこちらで見る方が妥当かもしれない。

☆誰でも経済アナリスト!   
さて、この結果から予想するに、秋葉原SDRAM価格は 今後何を予見しているのであろうか?

グラフを見ると過去8週間分のSDRAM価格動向から、 株価は今後まず6週間ほど底値のBOX相場を続けた後、 7週目以降に再回復すると考えられないだろうか?

つまり、景気動向はあと6週間が横ばい状態のなべ底であり、 その後、再回復に向かうと予想するのである。 (ただし、3つ目の仮説「大手DRAMメーカーの倒産」 が起こらない事が前提である。)

今から6週間後とは... あっ、まさに9月か!?

アナリストは「9月景気危機説」を、たるさんは「9月景気回復説」を 唱えているのである。

もし、アナリスト予想がたるさん予想に勝つ場合が起こるとしたら、 それは第3の仮説、「大手DRAMメーカーの一角が倒産に追い込まれた場合」 のみだろう。

アナリストが過大評価するアメリカ株価の崩壊は過大な期待の反動の結果であって、 現状では消費面から見たアメリカ経済は意外に底堅い というのが真相だと思うのだ。

事実、日本のバブル崩壊でも崩壊後1〜2年程は消費は決して落ち込んでいなかった。 落ち込んだのはバブル崩壊後数年を経て、 拓銀や山一証券等の大型破綻が発生してからである。 (厳密に言うなら、アメリカでは大型破綻とバブル崩壊が同時に発生したが、 タイムラグにより消費不況には至っていない状態である。 日本ではまずバブルが崩壊し、その後数年を経て耐えられなくなった企業が破綻し その結果消費不況が来たということだろう。)

今回の結果から考えるに、アメリカの実体景気が悪化するにしても、 それは今後、秋葉原DRAM価格の再暴落という現象を伴って 「9月よりずっと先」に現れるはずである。 大事なのは、資産デフレ効果と消費縮小のタイムラグが 意外に大きく数週間では追従しないということではないだろうか? (なんせ、日本では年単位の期間がかかったのだから...) 今後の秋葉原DRMA相場を注意深くワッチしたい。

アナリストが言うように9月にパンドラの箱が開けられるのか、 たるさんの予想通り9月にはパンドラの箱の底から「希望」が見えるのか...

経済アナリスト予想では今後どんどん景気が悪くなるのに対し (回復時期はまったく明示できないシナリオがほとんど。)、 たるさんは9月期の景気回復を予想しておきたい。 本当に景気が悪化するのは、それよりずっと先のことであろう。

前回の秋葉原DRAM価格暴落は、エンロン等の大型破綻により 消費が激減すると読んだパソコンメーカーがメモリの在庫縮小に走った結果起こったが、意外に消費が底堅いのでパソコンメーカーが再び在庫の積み上げに走っている、 というのが秋葉原DRAM乱高下事情なのであるとたるさんは読む!

これはいいぞ!  たるさんが経済アナリストに挑戦だ!

−たるさんの予言−
秋葉原ワッチから感ずるに、景気2番底の底打ちは近い。 今後6週間ほど横ばいの底が続いた後、9月には景気回復局面を迎えるだろう。 「日本経済9月危機説」はあり得ないと思われる。


またも、あらゆるアナリストにケンカを売る大胆予測である。 しかし、当たるも八卦、当たらぬも八卦。 たるさん讖書の部屋に予想を追加しようではないか。

しかし、自分で書いておいてこんな事言うのも何だけど、 このレベルの話でもOKなら、たるさんだろうと誰だろうと、 「誰でも経済アナリスト」だよな〜。

アメリカではエンロンやワールドコムの粉飾決算を見抜けなかったアナリストの資質が大きく問われているそうである。 それにしても、この予想がもし的中したら、アナリストってのは いったい何なんであろうか?




1)
ハードディスクの値上がりには、もう一つ別の要因も考えられる。 それはICBM(仮名)のHDD事業からの撤退の影響である。

買収額20.5億ドルという大型買収で、ICBMがHDD事業から撤退する。 今までのHDD値下がりの原因がICBMの店終いによる在庫放出だったとすると、 今回の値上がりは在庫放出完了によるものだった可能性がある。

事実、今回の値上がり以前のHDD秋葉原価格はほとんど暴落と言える状態だったが、 その傾向はICBM製HDDが主導していた。

また、最新のAKIBAホットラインの記事、 中国ExcelStorからIBM製そっくりのHDDが登場、その真相とは? を見ていただければわかるのであるが、HDDの委託製造先子会社が OEM製品を投げ売りしている事も実に参考になる。

暴落から値上がりに転じたHDD
たるさんも急ぎ1台購入

この記事を参考に、(あくまで参考ね。笑)HDDの値動きを考えてみよう。

ICBMの委託先メーカーはICBMの技術指導下で製品を作っていたので、 普通なら自社ブランドでの自由販売は御法度のはずである。 (委託製造元の知らないうちに闇ルートから流出した可能性もあるが...)

しかし、このHDDが自社ブランドで秋葉原に流れてきたと言うことを (参考にして...笑)考えると、 ICBMが自社ブランドとしての流通を認めたという事であり、 製造委託先メーカーが自社ブランドで売買を初めても、 ICBM社自身の損失につながらなくなった、 ということを意味すると思われる。

一方、ICBMの事業を引き継ぐ (正確に言うと3年後に100%出資子会社になるということだが...) 目立製作所(仮名)は、当然自社系列の製造ルートを優先するはずである。 この委託先メーカーを同様に製造委託先とする理由は少ない。 (それにしても、製造委託先メーカーの自社ブランド販売を許したと言うことは、 特許権の委譲がICBM主導で行われたと言うことを意味する。 目立さん、商売下手だねえ。)

だから、今回の製造委託先メーカーによる投げ売りはICBMの在庫処分が 完了した証拠と考えるのが妥当だろう。

つまり、HDDの値上がりに関しては、単純に景気回復の影響だとは 言えない面も大きいことは考慮に入れておかなければならない。

参考資料
1.AKIBA PC Hotline メモリ最安値情報
2.Yahoo!ファイナンス

さて、最後に一つお約束を...
この予想については、たるさんは何の責任も負いません。 (いつもの戯れ言です。) この予想を信じて株を買って大損しても、たるさんは一切関知しないので、 そのおつもりで...