ブレークスルーを安定に利用するためには?   

2015年12月13日



☆山梨県甲府市に日帰り旅行。   
最近はサイト更新が行われていないが、ゼロでは無い状況ということで約9ヶ月ぶりの更新へ... こんな更新レベルになってしまうとサイトを見ようという人などゼロになってしまうはずだが... まだ、更新を期待している人が若干ながらいるのですね。 (いやいや、それどころか、この段階ですら引用していただいている人もいるようで...厚くお礼申し上げますよ。)

と言うわけで余談から。当方は久々の静岡勤務となった。 このため、秋頃に山梨県に居る友人を訪ねて、週末に楽しんできた。

まず行ったのは、武田神社。山梨県の定番観光地であり、基本中の基本。 戦国時代の歴史に興味のある人には注目の城的な神社でもあり、 「人は城、人は石垣、人は堀、情けは味方、仇は敵なり。」で有名だ。 また、これまた定番ではあるが善光寺にも行ってきた。 近くのお土産屋さんで信玄風味のお土産が買えて良かったね。

山梨県の武田神社と善光寺に行ってきた。
武田神社は神社ながら城的な堀がある。

有名神社の他には、近くの山や丘にも行ってみた。 甲府は都会で田舎、「田舎の中の都会」というイメージだからだ。

甲府駅の近くは都会的なのだが、ちょっと離れると山になり、山を上ると景色が良い。 田舎では景色の良い田舎風景は心は癒やされるのであるが、普段暮らしは買い物などが不便。 一方、都会は買い物は便利だが住宅街は家が激混みで、景色の良い風景は無い。 そういう意味では、甲府は田舎かつ都会であり、癒やされつつ住みやすい。 両方の性質を同時に持っていてる良いところですね。

甲府市は都会ながら山が近い。
近くの山の上からは風景が良い。癒やされるよ。

☆日本企業はトップダウンが生かせない。   
と言うわけで、本題へ。 今回は日本が複数のノーベル賞を取るという大金星を達成したので、 半導体業界でのノーベル賞級の発明を利用した進歩について考えてみた。

かつての日本は技術受け入れ国と海外から思われており、 外国人が発明した技術を取り入れているだけと思われてきた。 しかし、最近の日本はノーベル賞受賞が増えてきている。 特に、根本的な科学の根底(たとえば、今回のニュートリノ質量の解明)から、 逆に産業上での実用化困難壁の突破(たとえば、前年の青色発光ダイオードの発明) まで幅広い範囲での受賞であり、従来とは状況が変わってきていると言える。

もちろんこれは良い意味であり、他国の発見・発明に頼る状況では無い時代に入ったことは、 本当の意味での日本の先進国化であろう。 しかし、日本企業は長期的には海外化が進行しており、国内工場は低下している。 アベノミクス効果によって直近では円安が進行して若干復帰傾向にはあるが、 残念ながら長期的には復帰が続くとは思えない。

その中でも半導体産業は悲惨だ。 半導体というと従来は進化がもっとも高速に進行している優良産業と認識されていたが、 現在では半導体産業は日本企業の衰退産業の象徴となってしまっている。 日本から衰退する産業はローテク型からであり、ハイテク産業の象徴と言える 半導体産業が衰退する時代は自分が生きている間には発生しないのでは? と思われてきたのに...

半導体産業と比べれば若干ローテク側と認識されていた自動車産業の方が日本を最良に支える技術頂点的存在になっている。 (当サイトは自作PCマニアサイトなのであってカーマニアサイトでは無いが、「ハイブリッド車に代表されるように、日本製自家用車はすばらしいね。」とは思っている。) 自動車より半導体が先に衰退産業となるとは、過去には全然予想できなかったね。

と言うわけで、自国で最先端技術を開発できるようになったのに、その根底レベルの向上が 産業発展に貢献できていない状況をどう改善すればよいのであろうか?

当サイトでは、過去に日本企業の利点・欠点について書いたことがある。 日本企業はトップダウン型になると極めて脆く、ボトムアップ型になると韓国企業に対してすら圧勝という状況になるわけだ。 しかし、最先端技術そのものに関しては、ある意味でトップダウン型とも言える。 ノーベル賞受賞者は経営という意味でのトップでは無いが、学力という意味ではトップな訳であるからね。

とすると、これらの本当の意味でのトップダウンが生かせていないのが日本企業最大の問題点なのだろう。 たとえば、東芝で発生した粉飾決算問題であるが、トップは部下に業績達成を怒鳴りつけていたと報道されていた。 本来ならば、トップ(経営者)は戦略的方向性を作成して ダウン(現場熟練工)の戦術的スキルを生かせるようにしなければならない。 「結果を出せ。」と怒鳴りつけるだけならば何のスキルも不要なリトル北朝鮮状態となってしまうのであるから、これが報道通りならば改訂の必要がある。

とするならば、ノーベル賞級の超高レベルなスキルを戦略的に生かせる経営体制を作り上げる事が最善の問題可決方法だろう。

☆悪い意味のトップダウン体制から、良い意味でのトップダウン体制へ。   
世界的に見た場合の半導体産業という意味では、戦略的な発達がもう何十年も進行してきた。 ムーアの法則に代表される定常的な進歩の持続である。

しかし、ノーベル賞級の画期的発明は急激なブレークスルーを達成するわけであり、 これが半導体産業を進化させているとすると、ムーアの法則は成り立たない。 ノーベル賞級の発明が半導体を進化させているとするならば、 時間変化の無いフラットな領域と、一気に進化するブレークスルーな領域の組み合わせで進化している事になる。 ムーアの法則のグラフは階段のようなガタガタなグラフ形状になってしまうのである。 つまり、ムーアの法則が成り立つと言うことは、回数の少ないブレークスルーで半導体事業が進歩しているわけではなく、 小レベルな改善が大量に行われて進歩している状況を意味しているだけだ。

ただ、直近の改善率は低下傾向にある。 ムーアの法則が成り立ちにくくなってきているのである。

この場合はブレークスルーが必要だ。 原子レベル以下での微細化は原理上不可能という壁をどうやって突破していくか? という難しい解決戦略を考えなくてはならないからだ。

企業はハイリスク・ハイリターン型の経営はやりにくいから、ブレークスルーは出しにくい。 しかし、大学や国家の研究開発機構の研究を企業向けにしてしまうこともデメリットを作り上げる。 (企業向けの成果を優先している韓国では、大学の研究も基礎研究では無く技術開発がメインになっている。 この方針は、短時間で日本を超える半導体産業を成長させたというメリットと、 未だに科学系ノーベル賞受賞者がゼロというデメリットの両面を作り上げている。)

この場合に参考になるのが、今回のノーベル賞受賞者大村智さんの活躍手法だろう。

大村智さんは天才というだけではなく、業務化という意味でも大成功していた。 特許で約250億円の大収入を得ており、お金儲けとしても大金星なのだ。 さらにすばらしいことは、これほどの大儲けをしながら本人は「食べるだけで十分。」 と言って、大半を大学、病院、美術館等に寄付している。

もちろん、このような公共的な考え方を研究者に求めて企業の利益を拡大しようという考え方は成り立たない。 そうではなく、正しい指摘事項は「このような高額特許料を発明者に支払っていてさえ、 その特許を利用した企業が利益を出し続けられる。」という点にある。 つまり、経営とは別の意味での「良い意味でのトップダウン型」なのである。

これらの研究成果を達成する前の段階では、研究費用は個人的には負荷が大きすぎて出しにくい。 しかし、企業が大ブレークスルーのための費用を出し続けるのは、よほどの高収益企業で無いと難しい。 国が支払うとなれば税金の公共性の問題もあるし、本気で発明する気が無い人物が国費を抜き出すために 悪利用する可能性もある。

これをどうやって解消するか...

当サイト的に考えてみたのは、ハイリスク・ハイリターン型の特許発明を、 多数組み合わせることでローリスク・ローリターン型にすることだ。

つまり、多数の企業がハイリスク・ハイリターン型の発明に投資をし、 同意した企業間で特許化時の使用を共用することにする。 すると、企業間での特許共用のためにリターンはハイからローに変動となるが、 可能性が拡大するためにリスクもハイからローとなる。 ハイリスク・ハイリターン型の画期的発明をローリスク・ローリターン型で利用できるようになるわけだ。

半導体産業は他業種よりも多社型産業ではないからこの考え方は利用しづらくはあるが、 ハイリスク・ハイリターン型の技術を成し遂げない限り進歩が難しい状況になっているから、 やむを得ない対応であると思う。

☆アメリカ企業はブレークスルー達成と取り込みの方向性に向いている。   
不幸中の幸いは、インテルやマイクロソフトのようなアメリカ企業は日本企業と違って 悪い意味でのトップダウン型ではないことだ。 もちろんボトムアップ型という意味でもなく、真っ当なトップダウン型なのであろう。 (トップダウン判断のマルチコア化戦略は失敗しているが、これは一度だけの例外的挙動である。)

ただし、スマホやタブレットの進歩によって、戦略的にはx86系CPUの成長力が低減。 従来は何十年とPC市場規模が拡大してきたが、直近ではPC市場規模の縮小が発生してしまっている。 その意味ではインテルやマイクロソフトには辛い状況ではある。

しかし、ムーアの法則が成り立ちにくくなっている状況下で、ブレークスルーも達成困難な状況では、 半導体産業全体が発展産業では無くなってしまうことは明白だ。 (当サイトでは以前からスマホやタブレットは長期発展には貢献しないと予測してきたわけだから、 パソコン市場単独だけでは無く「パソコン市場+スマホ・タブレット市場」で成長を考えても、 長期間の成長維持は成り立たないだろう。)

その意味において、スマホ・タブレットの開発に相当する次世代の大ブレークスルーを成し遂げる ノーベル賞級の天才が出現できるようにする体制、そして、 その発明を産業界に効率よく取り入れることが可能になる手法... これが、現段階の成長低下をクリアする最良の方法だと思う。

と言うわけで久々の記載なんだけれど、前回、前々回は大ネタ系の記載だったので今回は地味なネタで書いてみた。 前回よりはおもしろみは薄いだろうけれど、実質ネタというわけだ。

それにしても...自作PCマニアには辛い時代が止まりませんなぁ...1)
秋葉原での自作PC系ショップ衰退傾向は自作PCマニア界で有名な話だが、ここ静岡でも自作PC系ショップが衰退傾向。 私のようなPCマニアにとっては涙目の時代ですよ。 スピントロニクス等によって半導体産業の成長が大復活する事を望みます。 ノーベル賞級天才技術者の大ブレークスルー達成に大いに期待しますよ。

では。



1)
2002年1/8に「10年後のPCは、携帯ライクなモバイル情報端末となる。 パソコン本体はスーパーコンピュータから演算能力をレンタルする方式となるであろう。」と予想していたが、スマホ・タブレットやクラウドが自作PCマニア界を衰退させる予想が当たっていた。当時のラストの一言は「さ〜て、このような環境では我々パソコンヲタクは何をしているのだろうか?  ハードウエアをいじる楽しみが無くなっているので、 恐竜のように絶滅しているのだろうな〜。 」だが、当サイトでの悪い予想だけは的中している。