異分野から利益を奪え。(高性能から低消費電力へ。)   

2010年3月14日



☆試験勉強の息抜きに。河津桜満開でした。   
今回もいつもの余談から。

今年の冬は最近の温暖化には珍しく寒い冬だったが、温暖化のせいか春の訪れは結局例年よりも早かったそうだ。 当サイトはちょっとした国家資格試験を受ける必要に迫られて1月〜2月は珍しく勉強の週末。 結局いつものごとく一夜漬けモードなんだけど、それも終わって一息の春である。1)

本当ならすぐにWebサイトを更新するべきなんだろうけれど、 さすがにちょっと息抜きしたくてここ1〜2週間は春を満喫する週末。 近くの公園では梅の花が満開。芳しい香りに惹かれてメジロが密を吸いに来ていた。

近くの公園で梅の花が満開。
メジロが梅の花のミツを吸いにやって来た。

で、早春と言えば梅の花なわけだけど、 ここ静岡では梅ではなく桜も満開の名所がある。 そう...季節外れの早春に満開になる有名な河津桜である。 「そうだ、河津桜を見に行こう。」 せっかく静岡に出向になったのだから、これを見に行かない手はない。 試験勉強疲れの息抜きに今回はこちらから周囲を誘っての観光となった。

河津町は伊豆の中央を一直線で南下すれば行けるのだけれど、 さすがに有名な河津桜である。国道136号の途中、伊豆の国市で既に渋滞開始。 カーナビを見ると目的地までまだ35kmもある。 仕方ないので県道12号から太平洋側へ迂回。 太平洋側の国道135号の方がより関東に近いので渋滞がきついように一見思えるけれど、 東名高速の最寄りインターが沼津なのでこちらの方が意外に混まないのだ。

とは言っても、こちらも最後の10kmは大渋滞だ。 車のナンバープレートから、いかに遠くから観光客が来ているかがわかる。 関東からは習志野、練馬、所沢ナンバー、当サイトの故郷からは名古屋、尾張小牧ナンバー。 すごいのになると倉敷ナンバーや長崎ナンバーもあった。

しかも、車だけではない。ツーリングの格好の目的地になるので、あちこちにハーレー軍団やらBMW軍団が... 車だとどうにもならないが、バイク軍団だと渋滞を気にせず走れるので羨ましい。

ただ、河津町に入ってしまえば国道沿いにも河津桜が植えてあるので、車中からすでに花見ができる。 今回は珍しく助手席側の当サイトは既に桜見物モードなのだった。 (すみませんね、ドライバーはよそ見できなくて。)

早春に咲く桜として有名な河津桜。
せっかく静岡に住んでいるのだから、行かない手はないよね。

と言うわけで、河津町へ。 この河津桜、川沿いにいかにもたくさんあって美しい。 花はソメイヨシノよりずっとピンクが濃くて、当サイト好みである。 みんなデジカメやら携帯やらで写真を撮りまくっていた。 早春に咲く早咲き桜の魅力、まさに満開。

ちなみに、途方もない人数の観光客が来ていて町おこしの大成功例だが、 伊豆急行線も臨時列車がたくさん出ていてこの季節ならばアクセスも良好。 大渋滞を考えれば鉄道利用がお勧めなのであった。

☆DRAM価格の乱高下とCPU価格の安定。   
と言うわけで、本題へ。ただし、今回は試験勉強の関係で内容が薄いのはご容赦を。

最近、CPUの開発トレンドが単純なマルチコア化の進行から離れていく傾向を感じるのだけれど、 これはPC用CPUの開発方向としてはまったくもって正しい方向性であると考えている。 マルチスレッド対応アプリがメインユースで無い限り、 クアッドコアとかを買っても一般ユーザーにはほとんど意味が無いからね。

ただし、サーバー用途やHPC用途ならばマルチコア化は正しい方向性なので、 CPUを作っている側からすれば2度手間的な面もある。 つまり、現状は痛し痒しなのだ。

で、単純なマルチコア化からの脱却という正しい方向性の何が問題かというと、 作り手側から見て大きな問題点が2つあると思う。

一つは、SoC化では進化の限界があり、必要な機能を全部搭載しきってしまえばこれ以上進化できなくなってしまうこと。 もう一つは、性能競争が維持できなければ価格競争になってしまい、利益率を維持出来なくなってしまうこと。

これらは一般ユーザーから見れば一見どうでもいいことのように見える。 なぜって、事ここに至ってはCPUの性能不足を実感するユーザーは大幅に減少しているし、 価格が安くなるのはPCユーザー側から見れば大歓迎だからだ。

だが、単純な価格競争がいかに危険かはDRAMの混乱状況が示唆している。 リーマンショックで急降下したDRAM価格が、今は急上昇中。 膨大な赤字状態だったDRAM業界は一転して受注を捌ききれないフル生産状態。 今は価格上昇期だから良いようなものの、経営状態は価格の乱高下に常に振り回されている。

もし、CPUでも同様の価格勝負な状況になってしまえばどうなるのだろうか?  経済状況によってCPUの価格が乱高下するとしたら、ありがたい話だろうか? 

おそらく短期的にはPCの価格が下がってありがたく思うかもしれないが、 長期的には開発力が低下して逆にブレークスルーが成し遂げられにくくなると思う。 実際、DRAMやNAND型フラッシュの研究開発ペースに以前ほどの勢いが無いと思いませんか?

寡占市場でボロもうけというのも問題だけれど、 過当競争で市況によって地獄の門に片足を突っ込むというのも問題である。 適正な競争力を保持できる程度の利益は確保する事は重要だと思う。

☆PCユーザー、CPUベンダーの双方が納得する方向とは?   
では、PCユーザーとCPUベンダーの妥協点はあるのだろうか?

今までのCPUベンダーの方針は、たとえユーザーに不向きであろうと 高価なCPUを宣伝して無理矢理売ろうという方針であった。 クアッドコア、オクタコアへの方向性がそれである。 だが、WindowsVistaが同様な方針でビジネスを崩壊させ、 PCユーザーが宣伝に乗せられる単純な存在ではないことを痛感させた。 一般ユーザーはそれほどバカな存在ではなかったのである。

同様にクアッドコアは一般PC市場では全然売れていない。 高性能が必要なOSならば高性能なCPUが売れるかと思ったら、 ユーザーは「それならば買わない。」という選択肢を選んだのである。 これは市場からの強い警告と見るべきで、 今後も無理矢理宣伝でオクタコアとかをPC市場で売る方向性ならば 間違いなくVistaと同じ運命をたどると予想する。

とすると、CPUベンダーはマルチコア化以外の付加価値を見つけ出さなければならない。

当面の間は以前述べたSoC化が有効だろうが、統合できるコア部分に上限があるから この方向性は永遠には続かない。 当サイトが考える方向性の一つは低消費電力化である。 低消費電力化が進めば、電源系のコストが大きく下がる。 また、CPUファンのような冷却装備も低コスト化できる。 要するに、SoC化によりGPUの付加価値をCPUベンダーが吸収しつつあるように、 電源系パーツや放熱系パーツの市場を間接的な形で奪っていくのである。

性能を維持したまま消費電力が低いCPUは、たとえ価格が高くなっても 電源や冷却のコストがそれ以上安くなれば十分に売れる事になる。 たとえば、\4000のCPUファンが\500のもので十分冷却できれば、 CPUベンダーがCPUを\2000高く売ってもPCユーザーは\1500安くPCを自作できる。

現状でのこの価格差では高価なマルチコアの代替にはならないから、 まだ低消費電力性の付加価値はコア数のそれよりも少ない。(だから宣伝で無理矢理売ろうとするわけだ。) だが、将来的にはどうだろうか?

自動車業界では地球温暖化対策として燃費性能による恒久的増減税政策が現実化しつつあるが、 この流れは遅かれ早かれIT業界や家電業界にも降り注ぐであろう。 同じ作業に必要な実効消費エネルギーの低減は時代の流れである。 そうなれば、無用に高消費電力なコアが課税面で高価になり、 省エネチップが優遇措置により安くなる。

時代がこのトレンドならばPCユーザーとCPUベンダーの双方が納得できる方向性が省エネ性能である。 両者まさにWIN-WINの関係が築ける。 あえて言うなら、敗者は電源系パーツ業者(電池業者を含む)と放熱系パーツ業者。

その意味で、Net-Burstの失敗に学んだ現在のintelの判断は極めて賢明だというのが 当サイト的な見方である。ただし、ちょっと心配なのは省エネ性能に対する取り組み方が ちょっとスローペース化してAMDとの差が詰まりつつある印象を受けることだ。

これは、Nehalemがそもそもサーバー向けに設計されているので PC用としてはオーバースペックになっている部分が多いからだろう。 典型例は3chメモリであり、サーバー用としては強力なバンド幅を誇るが、 残念ながらPC用途ではオーバースペック状態である。 (PC用途ではほとんど効果が出ない事はi7-920マシンで確認済み。) そして、廉価版のi5系でも1ch殺しているだけで内部は3chのままとのことだから、 省エネ的にはちょっと苦しいと思う。 その意味でSandy Bridge世代には期待大だね。

☆AMDは死んでいない。   
一方のAMDはと言うと、効率を高めることで省エネ性を増そうとしているように思われる。 これも極めて賢明な措置と言えると思う。 なぜならば、AMDはもはや多くの製品を自社専用のファブで作るわけでは無くなるのだから、 ファブの稼働率を考える必要性が低くなるからだ。 つまり、AMDにとっては省エネ性の低い巨大なダイを作る事は、今後はほとんど無意味だ。

ファブが外部に移ると言うことは、絶対性能よりもダイ面積あたりの性能の方が 性能指標としては重要になるという事を意味すると、当サイトでは考えている。 ファブの稼働率が低下してもそのコストを負担するのはAMD自身では無くなるわけだから、 小さなダイを作れば作るほど利益率は改善する。 そして現状ではユーザーはマルチコア化(=ダイサイズの肥大)を求めてはいない。 もはやマルチコア化による性能向上は(PC用途では)売り上げ増大に寄与しないわけだから、 コア数はデュアルコア程度に止め、低コストと省エネ性に付加価値を求め、 ユーザーニーズに応えつつ経営状態も改善するビジネスモデルなわけだ。

あと、もう一点AMDが賢明だったと思うのは、 経済アナリストの猛反対を無視して旧ATIを買収したことである。 これも実は省エネ性と大きな関わりがあると思うからだ。 (ちなみに、Fusion構想をあるべき姿として予想していた当サイトは、 言うまでもなく旧ATI買収に大賛成の立場であった。)

理由は二つ。 一つはGPUはCPUよりも省エネ性の研究が進んでいないので、 省エネ性に対して改良の余地が大きいこと。 もう一つは、Fusion構想によって両者の協調的な省エネが見込める事である。 (チップ間アクセスがチップ内アクセスで済むし、 両者が同時にフル負荷になるケースは比較的少ないので熱的余裕度も増すだろう。) CPUとGPUが混載されるのは、単にSoC化という意味だけにとどまらず、 新たな技術的付加価値を生み出す数少ない技術的発展の余地のある分野であろう。

実際、旧ATIは(NVIDIAが自分から転んだ面はあるにせよ) 苦境に苦しむAMDの孝行息子となっている。 旧ATIが買収されたとき、NVIDIA自身は自分たちの方が生き残ったのでありATIが脱落したのだとの認識だったし、 合併直後の混乱に乗じてシェアで旧ATIを追い抜いていた。 当サイトの見解が一時期は苦境に立たされたのは事実である。 だが、結局その認識が正しかったかどうかは今NVIDIA自身が身をもって感じているはずである。 AMDが旧ATIを買収したのが正しい判断だったのか間違った判断だったのかは、 もはやはっきり決着が付いたのではないだろうか?

最近のAMDはFusion構想の遅れでintelに追い越され、最後の牙城であるサーバー・HPC市場がNehalemによって切り崩され、 リーマンショックの影響で経営状態も苦しくて、かなり厳しい状況が続いてきた。 確かに今後も苦境が続く可能性は高いと思う。

しかし、現状が苦しいからといって将来像に夢が無いわけではない。 最近のAMDは打開策面では極めて賢明な判断をしているというのが当サイトの認識であり、 経営面はともかく技術面では当サイトはAMDは決して死んでいないと思う。

☆低消費電力性と価格がベンチマーク指標に取って代わる日がいずれ来る。   
と言うわけで、PC用CPUの世界では低消費電力化が性能向上以上に 重要な指標となっていくと当サイトでは予想する。 そんな事は以前からわかっていたことと言う無かれ。 低消費電力の重要性が増すのは誰でも予想できることだけれど、 性能指標と評価の重要性が逆転するというのは誰も予想していない事だ。 そして、低消費電力性は間接的に価格低下を促進する。

それほど遠くない将来、電気バカ食いでもベンチマークの数値がよいCPUが売れるのは秋葉原市場(一部のマニア市場)だけになるだろう。 (GPUでも同様な事が起こって、性能よりも省エネ性能と価格が求められるようになると思う。) 実際、モンスターチップというのはもはや技術力を誇示する宣伝としての意味合いしか無くなって、 秋葉原以外では閑古鳥。ビジネスとしては成立しなくなっているという指摘があるが、当サイトもその意見に賛成だ。

それよりは、性能指標は一定の合格基準(現状ならばAtomの5割増し程度か?)をクリアすればよく、 それ以上の性能ならば性能自体が求められる事は無くなっていく。 基準値をクリアできれば、あとはPCの価格勝負となると思う。 (トータルコストが下がってもCPU価格を下げないための低消費電力化だからね。 つまり、自分は高く売る分、他のパーツは安くだ。)

現状は性能が上がるペースが鈍り、価格が下がるペースが高まる傾向にあるが、 それはそのトレンド転換の第一歩だと思っている。 リーマンショックによる一時的な現象と見る向きもあるが、 当サイトはユーザーニーズを無視した開発を続ける限りもはやこの流れは止められないと考える。 正当な性能には正当な対価を支払うのが当然であるが、生かすことが出来ない潜在性能だけで 顧客から高価なお金を引き出そうとしてもうまく行くわけがない。

パイが増えないならば、どうするか?  真っ当な方向性で生き残ろうと思ったら、電源系パーツ市場や放熱系パーツ市場を低消費電力性という付加価値で 間接的に奪っていくしかない。 宣伝でかすめ取るのではなくて、真っ当な技術力で他人の取り分を正々堂々と奪っていくしかないわけだ。

幸い、今後はノートPCがデスクトップより格段に重要な市場となる。 市場の成長性はもはや比較にすらならない。 デスクトップPCは遅かれ早かれニッチ市場へと消え去る運命であり、自作PC市場以外では生き残れない。 (近い将来、「デスクトップPCを使ってますか?」と聞けば、PCマニアか一般ユーザーか識別できるようになるだろうね。) つまり電池コストや放熱コスト問題を考えればマルチコア化の進行よりもこの戦略の優位性が増していくことになる。 また、パーツを組んだだけで誰でも作れてしまうデスクトップよりはコスト面でも工夫の余地があり、付加価値を付けやすい。

つまり、もし市場動向をCPUベンダーが正しく読んでいるとするならば、 今後のCPU開発ではベンチマーク性能よりも低消費電力性に重点を置いた開発に トレンドが移り変わっていくというということがここから予想できるわけだね。

もっとも...当サイトはマルチコアには全然期待をしていないけれど、 やっぱりパソコンには性能面で高性能であることに期待したい。 何のかんの言ってもPCマニアだもんね。

当サイト的には徹底したシングルスレッド性能向上を目指して欲しかった。 現在でもシングルスレッド性能の重要性は価値を失っていないからだ。 それはintelがTurbo Boostに力を入れている事からもわかる。 コア数が増えるから性能的には一切問題ないというのならばAtomでマルチコア化を進めればよいわけだし、 Turbo Boostなんてどうでもいい技術になってしまうからね。 (でも実際にはクアッドコアAtomは販売されず、世代が上がる毎にTurbo Boostは強化されている。)

しかし、当サイトのAMDに対する予想がちょと外れたなと思うのは、 効率を高める事に注力するという予想は当たったが、 絶対性能を高めるという努力もある程度組み入れるだろうという予想が 当たらなかった事である。 事実、整数演算の実行ユニットの共用は無かった。 シングルスレッド性能の向上は現状ではモンスターチップ化を意味するから、 まじめにビジネスを考えたら正しい方向性とは言えないからだろう。 確かに賢明な措置とは思うけれど、ちょっと夢とロマンが足りないね。 (というか、当サイトが夢を見過ぎだったのかな?)

唯一夢を見させて頂くとすれば、それはブレークスルーを成し遂げる天才の出現。 その意味で、やはり何か技術的に夢のあるCPUの出現に期待したいところだね。 技術的におもしろければ、たとえ高価でも指名買いしますぞ。



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幸い自己採点では推定合格点を十分にクリア。総合点での不合格はあり得ない。 ただし、失点のほぼすべてが法規に集中しているから、 (おそらく大丈夫とは思うけれど)科目別基準点が高いとちょっと心配。 記憶力が皆無なので、いつもいつも暗記ものでビクビクする当サイトである。