停滞の1年と打開の予感。(2009年のまとめ)   

2009年12月30日



☆今年末の癒しはヌルヌル感抜群の湯治温泉。   
さて、本年はリーマンショックの影響で景気暴落状態から意外な景気回復へ。 2009年中はひたすら奈落へと落ちると思われていた景気状態だったが、 エコカー減税やエコポイント効果もあって意外に早く底からは脱却した。 年末休暇は長いかな〜と思っていたら、なんと平年並に仕事。 ただ、最悪期こそ脱したものの順調な回復にはほど遠い。 奈落の底から皮一枚上側ではあるが、頼りげのない状況が続いている。

大きく変わったのは政治面。 民主党への政権交代である。 自公連合下での派遣業務範囲の拡大政策などが強い非難を受け、 要するに農奴ならぬ工奴の拡大が国民の大きな反感を招いた。

しかし、まぁ...仕分け作業を見る限りは人気取りのポピュリズム系になってしまっている。 政権交代が実現されて、どこぞの将軍様の国家と違って日本が政権交代可能な民主国家である事を証明できたことは 良かったのかもしれないが、先行きの不安感は自公連合の時代とあまり変化はないように思える。

仕事の話はここには書けないが、当サイトはと言うとひたすら特性アップとコストダウンに励む毎日。 研究が上手く行ってくれればいいけれど...

と言うわけで、新年から気分新たに研究に励むため週末は温泉へ行ってみた。 去年もそうだけれど年末は温泉で一休みも当サイト的に恒例化しつつある。 景気回復は消費拡大からだと宣言したわけだし、 このご時世おそらくはどこへ行ってもガランガランの閑古鳥であろう国内 観光業界への投資ってのも「今こそ消費を。」という意味では我ながら良い選択肢だと思う。

どこの温泉に行こうかと迷ったけれど、静岡と言えば西は舘山寺温泉から 東は熱海温泉までたくさんあって行くところに迷う。 有名所としては寸又峡温泉や修善寺温泉なんてのもあるね。

で...結局は日帰り可能圏内で地元の方々に評判の良い泉質ということで 掛川の法泉寺温泉というところに出かけてみた。 全国的には知名度の低い温泉だが、地元民に泉質の評判がよいローカルメジャー的な存在だ。

法善寺温泉は名前の通り源泉が法泉寺というお寺。
なんと永享12年(1440年)開湯。ヌルヌル感抜群の湯治温泉。

この温泉、ぶらぶらドライブがてら行ってみると意外に掛川市街に近い場所にある。 掛川駅前から車なら15分はかからない。 しかも、掛川市街に近いのに温泉宿の直前で突如ぱったりと市街地が終了して、 ありがたいことに急に侘びた山里の風景になる。 どんなに泉質が良くても市街地の真ん中では風情がないし、これなら温泉の癒し効果もパワーアップ間違い無しだ。 遠くに出かけなくても市街地のすぐ近くでこんな侘びた山里の風情を楽しめる温泉があるなんて、 掛川市民がちょっと羨ましいな〜と思った。

泉源は法泉寺というお寺の中にあり温泉宿は周囲に2軒のみ。 この温泉はとても由緒ある温泉で、写真の通りなんと永享12年(1440年)に開湯されたのだそうだ。 温泉宿は本来は宿泊専門で日帰り入浴は宿泊客が多い場合は許可できない場合もあるとのこと。 だが、なんせこのご時世である。あっさりと入浴許可が出た。 (このときばかりはリーマンショック様々だ。)

早速、温泉に入ってみるとその泉質の良さはお湯が体に触れた瞬間に即座に体感できた。 とってもヌルヌル感抜群なのだ。 単純硫黄泉とのことだけど、このヌルヌル感は間違いなく炭酸水素イオンによるものだろう。 (腐っても一応は化学が専門なんで...) なかなかすばらしい泉質である。

湯からあがってみると湯治の全国番付表が掲げてあって、ここ法泉寺温泉は東の前頭であった。 ヌルヌル感から考えれば納得。 ただ、最近近くで熊が出たのだそうで露天温泉が一時中止になっていた事だけがちょっと残念。 この泉質で露天温泉だったら、ほぼ満点なんだけど...

で...湯に浸かりながら今年のベストとワーストを考える。 いや〜、いい温泉なんで...考えるのを忘れてゆったりしてしまうな〜。

☆今年のワーストは「勉強が足りません。」   
今年は20回の更新をし、そのうちPCコラムは12回、一般公開ネタが2回、お祭りネタ等その他が6回。 引っ越しのゴタゴタがあったとは言え、ちょっとPCネタが低下気味だった。

で、まずはワーストから。 今年のワーストは「死ぬ気で使えるようにするのか?諦めるのか?」とした。

この選択、内容が間違っている部分があったからワーストとした...という訳ではない。 実は間違いにも「良い間違い。」と「悪い間違い。」があるのである。

良い間違いとは何だろうか?  良い間違いとは議論の中で出てくる仮説の類である。 世の中にはまだまだわかっていない事がたくさんあって、 わかっていない事を議論すれば各種の仮説に近い主張が出てくる。 これらは最終的に定説となる1説を除いては間違いとなるわけだが、 これらの間違った仮説に意味が無いわけではない。 いや、それどころか自由に議論することがとてつもなく重要なのだ。

これは逆を考えてみればよくわかる。 たとえば掲示板などでは相手の揚げ足取りに終始する。 自分を高く見せるには何かを主張をすることはとても不利だからだ。 主張をするということは要するにテーゼを示すことであり、 一つでも反例があれば論破される。 だから朝から晩までひたすら揚げ足の取りあい合戦で、 その結果読むに値する建設的な議論が出てくることも少ない。

結果、当サイトはここ何年かは掲示板への書き込みは一切していないし、それどころかほとんど読まなくなった。 それだったら苦労しながらでもプロの論文を読んだ方が百倍も有用である。 (もっとも、論文はプロが同じプロ向けに書くものだから内容のレベルが高くて、 たとえばスパコン系の論文のように自分の専門外だと読解にすごく苦労するけれど...) だから、ネット上では何かを議論するときには間違いを恐れずに何かを主張するべきなのだ。

では、なぜこのコラムが「悪い間違い」なのかというと、 それは間違いが事実そのものに対する間違いだからである。 問題について考えるときには間違いを恐れる必要性はないが、 この間違いはそもそも議論の必要性がない事実そのものについてである。 つまり、要するに勉強不足による勘違いが原因なのだ。

正直な話、これは情けない。(言われたわけではないが)知ったかぶりと言われても仕方ない。 必要な知識には上限は無いのでどこまで勉強すれば語る資格があるかというのは難しい問題であるが、 主張の正誤ではなく事実そのもので間違えるのは問題外である。

で、正直情けないのでGPUのハードウエアの本を買って読むことにした。 しかし、この方面のハードウエアの専門書は今のところ無いんだね。 仕方が無いので代打としてプログラミングの本を買った。 プログラミング面からハードウエア内部を読み解けば理解できるだろうという読みだ。

まぁ、本業系の群論とか配位子場理論とかを勉強しなければならない事情もあるし 読了までにどれくらいかかるかわからないが、 とりあえずやれるところから手を付けている。 何事にも脳天気な当サイトのこと...読み終わったらまた一つネタが書けると思っているしね。

☆今年のベストは提灯記事を見抜いた事。   
では、今年のベストはどの記事だろうか?  それは意外にも「CPU負荷率が低いのが高性能の証拠って???」であった。

この記事は書きたくて書いたものではない。 酷評だけならサルでもできるという当サイトの主張から見れば、これ自体が完全な酷評系である。 つまり、書く側から見ればサルでも書ける内容であり、正直なところ内容のレベルが高いわけではない。

当サイト自身の判断では今年のベストは「SSDは意外に伸び悩むのでは?」だろうと思っていたのである。 なぜならば、これを書いたときにはSSDはPCマニアから大絶賛されている状態で、 こんな事を書こうものなら集中砲火を受けることは明白な状況だったのである。 (掲載にはかなり勇気が必要だった。)

しかし、現段階で「SSDが去年以上に売れまくっている。」と考える人は皆無であろう。 SSDは性能面で優れたintel製と東芝製だけが売れまくっているが、 この2品種を除けば(失速とまでは言わないが)あまり売れなくなっているのが現状である。 SSD市場全体を平均化して見れば、もはや去年のあの勢いは無い。

また、HDD相手の容量単価競争でも負け始めている。 容量単価でHDDの方が低下ペースが早くなって、SSDは相対的にジリジリと少しづつ高価になっている。 「今年はHDD側が反撃に出る巻き返しの1年となる。」という当サイト予想は(今のところ)的中しているのだから、 世の中の大勢が見抜けなかったトレンドの転換点を予知できたという意味で当サイト的にはこれを1位にしたかった。

ところが読者の評価がその記事を1位にすることを許さない。 「CPU負荷率が低いのが高性能の証拠って???」が絶賛されたのである。 要するに、CPU負荷率が低いことを動作に余裕がある証拠とする提灯記事に PCマニアたちは強い反感を抱いているということである。

特筆すべきはプロのプログラマの方からも読んでいて痛快であるという評価を頂いたことである。 プロの方から見ればCPU負荷率が低いことを動作に余裕がある証拠とする主張は、 自らの並列化対応に対する苦労を否定されるに等しい。 しかし、プロは職責上の守秘義務があるから 自分のサイトでそのことを具体的に書くわけにはいかないという事情があるのだろう。 だから、はっきり書いていただいて痛快だったという感想になるわけだ。

この評価を頂いて良かったと思ったのは、PCマニアの方々が宣伝に安易に踊らされる立場ではない と言うことが証明できた点である。

ユーザーニーズに合致しない製品を無理矢理宣伝で売ろうという戦略は、 まったく売れなかったVistaに象徴されるように今や完全に崩壊した。 常勝Windowsの敗北はマイクロソフトのブランドイメージを大きく傷つけた。 だから、intelやAMDはマルチコアのコア数を強調して売る戦略を転換した。 ギリギリのタイミングとは言え、正しい方向性へと舵を切ったのである。 (このまま単純にコア数を増やしていたらPC用途ではマルチコア戦略が崩壊していたのは間違いないところで、 その場合はintel、AMD双方ともマイクロソフト並にブランドイメージを傷つけていたことだろう。)

当サイトも研究開発業務を仕事としているからわかるが、 ユーザーニーズに合致した製品を作るというのは製造業では基本中の基本。 その基本を外さないと言う意味で、大げさに言えば、 無茶な主張が通らなかったのはPC業界の正しい発展にも寄与しているハズである。

☆来年は局面打開の年となるように願ってます。では皆様良いお年を。   
それにしても今年は経済面からみてもPC界にとっても、 そして当サイト自身にとっても停滞の1年だった。

正直な話、PC界はジリ貧の停滞期に入っているように思える。 さらに追加すれば、これは景気の話というよりは技術停滞の話のようにも思える。 事実、大ブレーク確実と言われたSSDですら停滞期に入ってしまった。

しかし、CPUベンダーが単純にコア数を増やす戦略から脱却したことでわかる通り、 変化の芽は芽吹き始めている。 今年が停滞の1年だったとするならば、希望的観測かもしれないが来年は局面打開の1年となるのではないだろか?  いや、そうであって欲しいね。