一般公開見聞録(核融合科学研究所編)   

2009年12月15日



☆奥三河に行ったら田峰城見物がお勧め。   
まずはいつもの余談から。

今回は11/14に帰省した時の話となるわけだが、 この時期は三河の山の中を走れば紅葉がきれいで気分よく走れる。 という訳で、週末\1000ETCの東名高速ではなく下道で帰省してみた。 経路は浜松の北側から国道257で山中を抜けて、新城から設楽町、足助を経由して名古屋方面に帰るというもの。

このときには紅葉はまだ若干早かったようだが、経路となった三河山間部の風情は楽しめた。 途中で寄り道したのは設楽町の田峰。 ここには田峰観音とか田峰城とか、歴史を感じる各種の史跡がある。

で、田峰観音にお参りした後に田峰城跡に行ってみたが、これがちょっとお勧めだ。

下道帰省の途中で立ち寄った田峰城跡。
丸太を組んだだけの城壁はお城というよりは砦という雰囲気。周囲は侘びた山村風景。物見櫓からの景色は最高である。

この田峰城には戦国時代に次々と付き従う戦国大名を変えていったという 山間の小豪族の壮絶な歴史があるそうだ。 (従う戦国大名を徳川家康にするか武田勝頼にするかで親族間の内乱があり、 裏切った親族の首をノコギリで切って虐殺したという首塚跡まである。)

しかし、今ではそんな話を感じさせない侘びた山里となっている。 村は国道257号から山道を登った上にあり、一見普通の山里に見えるが 実際にはかなり山の上にある。地元の方には失礼な表現かもしれないが、 忍者の隠れ里みたいな雰囲気と言ったらわかりやすいかな?  お城は写真の通り城と言うよりは砦といった雰囲気で、 天守閣はなく物見櫓と御殿のみだし、城壁も単に丸太を組んだ原始的な造り。

だが、それがいかにも山里のお城っぽくて良い。 こんな山里では石高もそれほど高くないだろうし、 鉄筋コンクリート製の豪勢な天守閣が建っていたとしたら逆に風情ぶちこわしである。

田峰城の見所は2つあるが、一つは物見櫓の絶景。
物見櫓は階段がほとんど梯子なのでちょっと上りにくいが、上ってしまえば文句なしの絶景が広がる。

このお城には見所が二つある。 一つは上記の通り、物見櫓からの絶景。

山の上にある物見櫓からは、写真の通り当貝津川の渓流や周囲の山々を気持ちよく眺めることが出来た。 (直下が崖ではないので高所恐怖症の当サイトもギリギリOKライン内。)

もう一つはというと...ノリの良い説明員の案内とサービスである。

館内は\200取られますけど、普通のお城と違ってほったらかしではなく建物や歴史について詳しい案内をしてくれる。 しかも、それだけではなく御殿内でお茶まで出してくれる。 で、いただいたお茶を飲もうとしたら、せっかくだから御殿の一番上段の間でどうぞとのこと。 殿様みたいな扱いだな〜と思っていたら... その後に別の方に「ははぁ〜。」って殿様扱いでお茶を入れていたのにはかなりウケました。1)

小さな村の小さなお城だから見学客も少ない。だから説明員もユーモアの利いた対応が可能なのだろうけれど、 今後これは結構人気が出るのではないだろうか?と思えたね。当サイト的にちょっとお勧め。 (説明員が代わっても同じ対応かどうかは不明ですけどね。)

☆日本のエネルギー効率は言われているほどには高くない。   
と言うわけで本題へ。 当サイトのフラッグシップ更新ネタを掲載すると宣言してから、もうどれくらいたったかな?  お祭りネタ、一般公開ネタと順延し、緊急にスパコンネタを追加したからもう3回も順延。

で...今回こそはと思ったのだけれど、実は11/14に一般公開に行っていたのだ。 このネタを順延すると、公開日が11/14だからこれも1ヶ月以上順延になってしまう。 う〜ん、どうしたものか... そんな事情で今回もPCネタではなく今回も一般公開ネタとなったのでした。 (PCネタをご期待の方、どんどん先延ばしで申し訳ないです。)

さて、今回訪問したのは核融合科学研究所。 核融合とは地上の太陽に例えられる究極のエネルギー対策。 究極の地球温暖化対策となり得る次世代技術である。

そうそう、先日出張先への移動中にまた経済情報を見ていたのだけれど、 今回の一般公開に関係する話として 日本のエネルギー事情について大きな間違いがあることに気がついたので、 まずこれを指摘しておきたい。

それは日本のエネルギー効率に関する話である。 GDP1ドルを生み出すのに必要なエネルギーを石油に換算すると、 日本は0.09トンで世界トップ。ドイツが0.13トン。アメリカが0.25トン。 中国に至っては1.02トン。日本のエネルギー効率は中国の10倍以上良いのだそうだ。

と...これだけ読めば気分良く優越感に浸ることが出来る内容だ。 だが、実態はそうではないのである。

それは真のエネルギー効率とはなんぞや?と考え直してみればよくわかる。 このデータはGDPあたりの石油換算消費エネルギーである。 問題は「GDPあたりの...」と言う点である。

各国の真のエネルギー効率を比較する指標としてこれは正しい指標だろうか?

たとえば、当サイトの場合、自分の仕事でもコスト分析をする際にエネルギーコストはもちろん考える。 その際の製品は当然自分が開発した材料であり、比較対象はライバル企業が作る類似製品の推定値である。 全然異なる分野の製品と比較しても何の意味もない。 インスタントラーメン1袋の製造エネルギーと同一重量の製鉄の製造エネルギーを比較しても 何の意味もない事は簡単におわかりいただけると思う。

ところがこの比較はどうだろうか? 同じ製品やサービスで比較をしているのであろうか?

そうではない。分母はGDPである。つまり、同じエネルギー使用量であっても 作っている製品の付加価値が高ければ数値が小さくなるのである。 真のエネルギー効率ならば同じ製品を作っても日本は中国の10倍以上低いエネルギーで製品を 作れるはずだが、誓って言うがそこまで効率は高くはない。

もちろんその場合でも日本の方が効率が高いことは間違いないが、 まかり間違っても10倍も良いなんて事はないだろう。 日本でも中国と同様に低付加価値製品を作れば効率指標は大きく落ちる事は間違いない。 中国の指標が低いのは同じエネルギーを使っても高い付加価値を付けられない 低付加価値製品の製造が主流であるためという事情に大きく影響を受けている。 日本ではそのような低付加価値製品は国内生産ではペイしないから輸入で済ましている。 だからエネルギー効率が一見高く見えるのだ。

この指標は低付加価値製品群を作っている国が不利となる指標であり、 単純に省エネ技術力の優劣を比較する指標としてはまったく使えない。 日本のように低付加価値品を輸入し、高付加価値品を輸出する国に有利となるからだ。 真のエネルギー効率を比較しようと思ったら、分母は単純なGDPではあってはならない。 その数値は同一製品群である必要があるし、その場合は製品の品種が多すぎて統計値が得られないとするならば、 せめて産業構造の差異による補正値を導入しなければならない。

この数値は産業のエネルギー効率だけではなく、いかに高付加価値の製品を作っている割合が高いか? という産業構造の影響が指標に混入してしまっている。 日本の数値が抜群に高いのは省エネ技術が進歩しているから...というだけではなく、 (国際競争力の低下を指摘されながらも)まだまだ高付加価値製品を作っている産業構造だからだ。つまり、「GDPあたりのエネルギー使用量」なる指標は本当の意味でのエネルギー効率指標ではないのだ。

☆究極のエネルギー対策・地球温暖化対策。「地上の太陽」実現を目指して。   
と言うわけで、日本の省エネ技術は世界に冠たるものであるとは言え、 世間で言われているほどのずば抜けた優位性があるわけではない。 産業構造の差異を差し引けば対中国比でも優位性は数十%程度まで縮小すると思う。 日本の省エネ技術は優れているからビジネスチャンスは増えるだろうが、 単純に省エネ技術でダントツだからエネルギー問題では頂点に立てるというのは 国策を誤る間違った判断であろう。

そこで、日本の将来を考える上では省エネ技術だけではなく、 エネルギーそのものをいかに輸入に頼らずに得ることが出来るかという点が非常に重要となる。 また、地球温暖化対策という面も重要である。 仮に日本でアラブ諸国に匹敵する大規模油田が 発掘されたとしても、地球温暖化問題があるから中長期的には石油石炭にはもはや頼れない。 (もっとも、石炭発電には二酸化炭素の地下貯留という手は十分考えられるから、 今後の技術開発次第では絶対にダメとは言い切れないけれど。)

で、当サイトが考える新エネルギー源とは... 短期では太陽電池、そして中長期が核融合発電となる。

太陽電池は極めて有望な発電方法だと思う。 日本の技術力が生かせる分野だし、何よりエコである。 しかし、太陽光発電には任意のエネルギー使用には2次電池が必須という致命的な弱点がある。 欲しいときに都合良く得られるエネルギー源ではないのである。 また、今回の一般公開ではプロの方の指摘として、一般家庭用としては太陽電池は極めて有望だが、 大規模工場のような産業界の大電力使用には耐えられないという問題点が指摘されていた。

と言うわけで、太陽電池は化石エネルギーの枯渇を先延ばしにし地球温暖化の進行を遅らせる事は出来るけれど、 これだけで日本の電力事情を輸入エネルギーゼロ状態にしたり地球温暖化を阻止する事はできない。 同様に風力などの自然エネルギーもかなり有望ではあるが、完全な代替案にはなり得ない。 完全な代替案には発電量そのものを需要に応じてコントロールできる方式が不可欠となる。

そんな中で本命視されてきたのが核融合発電である。 核融合の概念は当サイトが小学生時代からあって、実は当サイトも子供の頃に 講談社のブルーバックスという本で核融合の話を読んだことがあり、 子供心に夢を膨らませたものである。

ところがこの核融合発電、当サイトが子供の頃には21世紀には実現されているハズであったが、 2009年の今も実用化されていない。 問題はその技術的ハードルの異常なまでの高さである。そのために、 こう言っちゃ研究所の方には申し訳ないが、今のところ永遠の次世代技術状態となっているのである。

そんな中、核融合科学研究所の一般公開があったのは幸いだった。

で、実際に一般公開に行ってみると... まず、一般公開では子供向けのわかりやすいデモが行われていた。 プラズマって何ですか?というお話である。 (子供の科学離れは超の付く重要問題だから、子供向けのデモが多いのは国家研究機関としては正しい対応だろう。)

輝きが美しい子供向けのプラズマ実演実験。
プラズマが磁場の影響を受ける様子を示す実験(左図)と、オーロラの原理を示す実験(右図)

上記写真の右図はオーロラの原理を示す実演である。 放電電極の下側に地球を模した球状の電極があり、その上がドーナツ状に輝いているのが見える。 これがオーロラの再現である。地球にはマントル対流による磁場があるので、 その磁力線に拘束された荷電粒子が極方向に落ちてきて輝くわけだ。 (ただし、これはあくまで子供向けの簡易なデモであり、実際のオーロラの挙動はずっと複雑。)

あと、核融合炉の内部へは当然入れないわけであるが、 その様子をバーチャルリアリティーな3D動画で見せるデモも行われていた。

核融合炉にはいくつかの方式があるが、ここ核融合科学研究所で行われているのは 磁場閉じ込め型。しかも、その磁場閉じ込め型の中でも日本で開発されたヘリオトロン と呼ばれる方式を採用しているのが特徴である。

核融合炉の断面模型。
非常に高い組み立て精度が必要で、核融合炉全体で数ミリの溶接誤差さえも許されない。

バーチャル画像はここには掲載できないので、後で見学した炉体の断面模型の写真を掲載しておくが、 この炉体は非常に複雑な構造をしている。 バーチャル画像では自分で炉内を仮想的に歩く事も出来たが、目が回りそうな複雑な形状だった。 磁場閉じ込め型には他にもトカマク型とか磁気ミラー型と呼ばれる各種の方式あり一長一短があるのだそうだが、 たとえばトカマク型では炉体はもっと単純なドーナツ状の形をしているのだそうだ。

このヘリオトロン方式の複雑な炉体形状は、建造に非常に高い精度が必要なのだそうで、 そこで溶接工等の作業員に極めて高い技術力が要求されるらしい。 炉体の歪みは特性劣化に直結するのだそうで、磨き抜かれた熟練溶接工の職人芸無しでは作れない。 上記の炉体模型も展示用に作られた模造品ではなく、 実際の炉体本体を作る前に必要な精度が得られるかどうか確認するための事前調査用のものだそうである。

また、組み立て精度だけではなく、構成材料の品質も非常に重要なのだそうだ。 例として、プラズマから炉体金属を守るグラファイト板の話があったが、 高強度高純度グラファイト板を造る技術を持った会社が近くにあるので助かるなんて話があった。 (高温だと金属は強度が落ちるが、グラファイトは高耐熱性があるだけではなく逆に高温で高強度化するので適している。)

核融合炉LHDの制御室。
よくニュースで出てくるロケット打ち上げのコントロールルームに似ているね。

さて、次にLHDの制御室も見学。 これはロケット打ち上げのコントロールルームそっくりで、 いかにもビッグサイエンス系らしい雰囲気がある。

これほどの大規模実験となると1回の実験に必要な期間も非常に長期にわたるのだそうで、 いいアイディアを思いついたからと言って翌日から実験という訳には行かない。 炉体の冷却(超伝導電磁石を使用しているので、稼働前には超伝導コイルを液体ヘリウムで冷却する必要がある。) とかを全部含めれば1回の実験に7〜8ヶ月近くかかるのだそうである。 と言うわけで、制御室がこんなに大規模なのも納得。

ちなみに、液体ヘリウムの貯蔵と液化には下記の写真の通り、凄い規模の設備が装着されていた。 液体ヘリウムは学生時代に化学実験で少しだけ使用したことがあるが、 同じ液体ヘリウム使用といっても当サイトのような化学分野での使用量とは全然比較にすらならない規模である。

超伝導電磁石用ヘリウム液化装置とヘリウム貯蔵タンク。
当サイトのような化学実験と違って液体ヘリウムの使用量も超大規模スケールである。

☆日本独自のヘリオトロン方式を採用。   
さて、と言うわけでLHDの本体へ。 このLHDが採用しているヘリオトロン方式というのはいくつかの特徴があるのだそうだ。 その一つが原理上連続稼働が容易であるという点。

先ほど述べた磁場閉じ込め型の方式の内で、現時点でもっとも性能が高いのが トカマク型と呼ばれる方式だそうだ。 世界各国共同で建造する次世代炉ITERもトカマク型を採用している。 しかし、トカマク型は原理上プラズマ自体に電流を流すことが必須で、 これによる不安定性のため連続稼働が難しい。 最悪の場合は電流が途切れてプラズマが急激に失われるディスラプションと呼ばれる現象が発生する事もあるそうだ。 (ただし、研究が進んだ結果、現在では発生抑制は可能。) このため、核融合炉連続稼働時の状況を探ったりするのにはヘリオトロン方式が適しているそうだ。

また、見学の後で専門家の講演も聴いたけれど、 発電手法としての商業化時に連続稼働の容易性は有利なのだそうで、 講演者の個人的見解としながらもITERがトカマク型だったとしても 商業発電炉にはヘリオトロン系の技術が生かされると信じているとのこと。

大型ヘリカル装置LHDの本体。
日本で開発されたヘリオトロン方式を採用しているのが最大の特徴である。

見学の後では講演を聴いたが、おもしろかったのはプラズマは流体であるという点だ。 荷電粒子が磁界の中で飛び回っているのだから粒子モデルかと思ったら、 シミュレーション上でも流体モデルとして扱われる場合が多いという。 (MHDシミュレーションという。) 実際あとでスパコンの展示パネルも見たが、粒子コードだろうからスカラ機なのかな?と想像していたら 流体分野に適したベクトル機が使われていた。 (スパコン本体は公開されていなかったので見学できなかったのが残念。)

シミュレーションの話でおもしろかったのは、 カルマン渦の話から入ってプラズマの挙動を解明するシミュレーションである。 なんせ炉体の中心は高温プラズマで1億℃以上になる。 しかし、1mほど離れたところにはプラズマ保持のための超伝導電磁石がある。 つまりそこは絶対零度にほど近い液体ヘリウム温度(約4K)である。

要するに単純計算で1cmあたり100万℃という想像を絶する途方もない温度勾配があるわけで、 これをコントロールして効率アップを図るには電磁流体としてのシミュレーションが欠かせないそうだ。 (乱流を上手くコントロールすれば断熱壁と同じ効果を持たせることも可能になるそうだ。)

☆永遠の次世代技術からの脱却。   
さて、このLHDにおける研究が通常の素粒子物理学のような分野と違うところは、 単純に科学の進歩を目指しているだけではなく最終的には発電という産業としての実用化を目指している点にある。 当サイトは子供の頃から核融合の話を聞いてきたが、21世紀には実用化と言われた時代が 今では30〜50年後と言われるようになっている。 で、当サイトが心配だったのが永遠の次世代技術状態から脱却出来るのかどうか?という点。

この点では、今回の講演では明確に「核融合は実現可能。」と断言されていたところが頼もしかった。 核融合による発電は、出来る出来ないで言えば実現出来ることは研究の結果はっきりしていて、 あとは時間の問題なのだそうだ。 核融合が21世紀には実現可能と言われていたのは、当時の低い技術水準での予想段階の話。 しかし研究自体が着実に進行し、現段階では予想ではなく約30年後を想定した着実な計画として取り扱える段階らしい。

では残る問題は何かというと、それは商業発電としての実用化の問題。 つまり、出来る出来ないという話は純粋に科学的な問題であり、その解決にははっきりと目処が立ったが、 実用化に関してはそれ以外に長期的安定稼働が可能かとか、コスト的にペイするかという問題がある。 それらの残された問題点を解決するために今後も研究が進められていく事になる。

たとえば、コストは大問題である。 次世代トカマク炉ITERの経費は建造費・運用費総額では約2兆円にもなるそうである。 全然別ジャンルとは言え、当サイトも仕事上で各種の試作材料を作るけれど、 確かに試作材の製造コストは量産化時とは比較にならない位高額になる。 しかし、そのような事情がある事を考慮しても2兆円はさすがに超高額な費用負担。

こうなると、この費用を他の代替エネルギー源開発費用に投入する方が良いかもしれないという意見は出てくるだろうし、 ここで大幅なコスト削減手法を開発しない限り核融合は実用化出来たが商業発電としては コスト的にペイしないなんて事にもなりかねない。

だから、LHDを使って安全性や信頼性を落とすことなくコストダウンできる手法も研究しているわけだ。 これらの技術開発は核融合の実現そのものと同レベルで重要な研究課題であろう。

石炭以外の化石燃料は後100年は保たない事がはっきりしている訳だし、 地球温暖化対策を考えれば、たとえ化石燃料が枯渇しなくてもこれをガンガン使い続けるわけにもいかない。

とすれば、技術的なハードルが高くても商業的実用化の研究はやり遂げなければならないだろう。 核融合はコスト的には現段階ではハイリスクタイプの研究になっているが、 実用化できたときのリターンが桁外れに大きいから研究費用を別分野に転用するというのも別の意味でのリスクが大きい。 要するに英知を結集してやり遂げるほか無いのだ。

☆後世に感謝される技術を残すべく、怯まずコツコツ地道に研究。   
まとめると、要するに核融合は科学としての発電実現には完全に目処が立ったので、 課題は発電産業としての実用化問題に移行しているという事。 そのハードルこそ非常に高いが、核融合は資源小国日本のエネルギー問題を根幹から解消し、 地球温暖化に対する究極の対策となり得る。 つまり、リターンの大きさを考えればハードルの高さに怯むべきではないと言うことである。

当サイトは研究開発をやっているが、 日本が開発分野で強みがあるのはすぐに利益に直結しない地味な改良をコツコツやっていくのが得意だからである。 逆に言うと、今流行の新興国がこの分野で意外に脆いのは利益に直結しない中長期のコツコツした改良の積み重ねが苦手であるからだ。 (新興国の研究者が能力不足という訳ではなく、経営者がすぐに成果を出せとばかり即効性を求めるのが原因。)

核融合研究は十年単位のコツコツした改良の積み重ねで性能指標を高めてきた経緯がある。 (性能指標の数値向上は階段状のステップアップではなく、斜面を登るように地道な改良の積み重ね状態になっている。) だから、このような地味にコツコツというタイプの研究は日本に向いていると思う。 高温超伝導体のように、天才の出現によって突然一気に成し遂げられる...といったタイプの研究ではないからである。

また、核融合炉の建造には核融合技術自体以外にも広い分野の総合力が必要であり、これも日本に向いている。 (特定の技術に優れていれば良いというタイプの研究分野ではないから。) ヘリオトロン方式が最終的な核融合発電所に採用されるのかどうかを別としても、 各国との共同開発の上で日本が世界に貢献できうる分野であることは間違いない。

核融合発電の電力で生活できる時代が当サイトの生きている間に実現できるかどうかはグレーゾーンかもしれないが、 今研究を怠れば確実にその分だけ実用化は先送りになる。 まじめな話、我々が将来に残すべきは温暖化した地球ではなく、未来社会の人たちに我々が感謝されるような技術開発であるべきだと思った。

核融合発電は難易度こそ高いが、実用化された際には化石エネルギーの枯渇や地球温暖化という人類最大の問題を一気に解消できる技術である。 専門家各位は事業仕分けを心配していた節があるが、少なくとも当サイトはゴーサイン。 商業発電実用化に向けて頑張っていただきたい。



1)
「うむ、苦しゅうない。」な〜んて言ってみたくなったりして。 もっとも、当サイトの場合、殿様は殿様でも名君ではなくバカ殿なのがちょっと悲しいけどね...