アメリカに学ぶものがあるとすれば...   

2009年11月25日



☆基礎科学を直近の経済効果で判断することの愚かさ加減。   
さて、今回こそはPC更新ネタのハズであった。 お祭りネタ、一般公開ネタと2回順延しているのでさすがに今回は... と思ったのだが、今回は世情によりスパコンネタとさせていただいた。 スパコンという地味な分野が世論の注目を浴びるという事態が発生し、ホットな話題だからだ。

スパコンというのは通常は地味な分野で、当サイトのようなマニアを別とすれば一般国民の興味を引く事はない。 こんな事に興味を持っていただけるだけでもある意味ありがたい機会である。(←皮肉ではなく本心で。) これは日本という国の今後の有り様を国民に考えていただく上では好機と思ったからだ。

民主党の事業仕分け作業により次世代スパコンが限りなく凍結に近い見直し。 最終決定ではないが、意味のないプロジェクトとの判定を受けた。 そして、世論の強い反対意見に圧される形で復帰予定とのこと。 この判定については納税者として意見を述べる権利があるので、 発言させていただこうと思う。

科学技術には理学から工学に至るステップがあって、 波及効果と効果が出るまでに至る期間には隔たりがある。 たとえ話としてはこんな実話があるのだが、役に立つ話と思うので書いてみたい。

ファラデーが電磁誘導という概念を発見したとき、 電流と磁界の関係をコイルに電流を流して磁石を置いてコイルの動きを見せることで 実演するデモを行ったことがある。 このときは専門家相手の実験ではなくいわば役人への説明みたいな講演だったので、 専門家ではない人が多く来ていた。

「ほら、電流を流して磁界をかけるとコイルに力が生じて動くんですよ。 逆もできて、磁界中でコイルを動かすと電気を起こすこともできるんですよ。 おもしろいでしょう。」

そのときに、この実演を見た税務官はこう言ったそうだ。

「確かにおもしろい実験だけれど、これが一体何の役に立つのです?」

そういわれたファラデーはこう言い返したそうだ。

「そうおっしゃりますが、将来あなた方は間違いなくこれに税金をかける事になりますよ。」

ここで読者の皆様に一つ質問を。 「電磁誘導」という概念の無い近代文明を想像できる方は一人でもいらっしゃるだろうか?  電磁誘導の無い世界では発電は出来ないから、要するに電気のない世界である。 (全部使い捨て電池ってならば一応電磁誘導なしでも電気を起こせるけど、言うまでもなく非現実的。)

PCは半導体ではなく、歯車を使った階差機関で演算?  エネルギーを各家庭に送るのは石油石炭を蒸気機関で配送?  Webは無くなって情報の移送は全部紙の手紙へと逆戻り。 当サイトは間違いなく「近代文明は成り立たない。」と言い切れると思う。

そして、税務官の本業でも思い切り税収減額である。 この時代から歴史が過ぎ去った今、「電磁誘導」という概念がもしこの世に無かったとしたら、 エレクトロニクスはもちろんのこと、家電、重電、全部存在しない産業である。 GDPは限りなく縮小し、税務関係でも税収は限りなく減額していた事は間違いない。 現代の税務官から見れば、まさに神様仏様ファラデー様なのだ。

このように、基礎科学の成果というものは直近で経済効果を出すことは出来ないが、 長期にわたる成果という意味で金額で換算した場合には全GDPに匹敵する効果金額になる場合がある。 基礎科学の効果金額を直近で求められたら地球物理学、天文学、素粒子物理学といった分野には1円も税金投入するなという事になってしまうし、 基礎科学の成果をどの分野に求めるかを事前に察知しようと思ったらファラデー級の頭脳が必要。

我々は現代に住んでいるからこそ電磁誘導の経済的価値を知ることが出来るが、当時の時代でそれを見抜くことが出来た人物は ファラデーただ一人である。「基礎科学だからと言って経済効果が予測できないのは仕事をサボっている証拠。」というのは明らかに結果論。 そんじょそこらの人間に予測できるものではない。(現に上記の税務官は見抜けていなかった。)

例は他にもあって、数学の確率論はまさにそうである。 確率論が数学の世界に初めて出てきたとき、当時の数学者にさえ「こんなものはカジノでしか役に立たない。」と酷評されたのである。 しかし、現代では物理学の根底から品質管理まで確率論に支配され、およそ確率論無しで進歩できる科学分野は存在しない。

また、直近の例ならばここで紹介したBファクトリーが良い例になるのではないだろうか?

Bファクトリーはその優れた測定能力でB中間子、反B中間子のCP対称性が破れている事を実験的に証明して見せた。 どんな優れた理論も実証されなければ机上の空論であるから、 この成果が小林・益川先生のノーベル物理学賞受賞につながっている。 小柴先生が超新星ニュートリノの検出に成功してノーベル物理学賞を受賞したカミオカンデも同様である。 しかし、Bファクトリーやスーパーカミオカンデの経済効果を計画の段階で聞かれたらなんと答えられるのであろうか?  「人類の進歩に貢献します。」という正論が仕分け人に通じるとは思えない。

つまり、その成果を直近の効果金額で求めるのは愚考の極みなのである。

☆スパコンが科学発展に果たす役割は格段に増している。   
だから、基礎科学の研究では直近の効果金額を求めるべきではないし、 その発展に必要な技術には長期的・計画的な継続投資が必要である。

しかし、巨大スパコンはもはや不要な大艦巨砲主義、現代の戦艦大和という意見がある。 それが事実ならば科学の発展に時代遅れなものに多額の費用をつぎ込む事には確かに意味がない。 もっと有用な研究設備の投資費用に予算を転用した方がよいだろう。

しかし、スパコンに投資しないのは正しい判断だろうか?

まず、現代の研究に置いてはスパコンの重要性は格段に増している事を指摘しなければならない。

当サイトは大学時代に「理論」と「実験」が車の両輪のような関係であり、 どちらか一方が欠けても学問は進歩できないと教わった。 実験が無ければ理論は机上の空論となり、理論が無ければ実験は自然界の膨大なパラメータに埋もれ、成果を出すには偶然に頼るほか無くなる。 理論は実験の羅針盤なのである。

しかし、学問の中には実験による検証が非常に難しい分野もある。 生命進化の研究とか、天文学とか、地球物理学、地球温暖化研究といった分野である。 これらの分野では規模や時間スケールが格段に大きいので、 実際にラボでパラメータを振って研究する事は非常に難しい。 また、核融合のように実機での試験が膨大な投資を必要とするので、 出来る限りシミュレーションで問題点を事前に予測して実験ミスを防ぐ必要がある分野もある。 (実験ミスで炉体が歪めば膨大な修理費用が必要となる。) さらに産業分野では費用以上にタイムロスが致命傷になる場合もあるだろう。 先に特許を出願されればアウトである。

今やシミュレーションは「理論」「実験」に続く第三の研究手法と呼ばれるまでに進歩しており、 研究手法としては欠くことに出来ないものになっているのだ。

また、演算性能という点でもまだまだ改善の必要性がある。 当サイトは自分が勤めている会社で材料研究をやっているが、 今までコンピュータシミュレーションで材料を開発したことはない。 この分野ではシミュレーションで材料が開発できたというだけで一つ論文が書ける位であり、 今までのスパコンは正直あまり役に立っていない分野であった。

しかし、この事実はスパコンが役に立たないという単純な話ではない。 なぜシミュレーションによる材料開発が今のところあまり成果を出せないかというと、 スパコンが役に立たないからではなく現在のスパコンを持ってしても 材料開発を行うには演算性能が不足しているからである。 そのために、かなり荒っぽい近似を導入せざるを得ないのだ。

シミュレーション実験では、次世代材料を開発する前にまず現在の材料特性を シミュレーションで再現できるか?という点を追求する。 でないとシミュレーション結果に信頼がもてないからだ。 しかし、実際には単純なマクロパラメータでさえ実験事実をうまく説明できない場合が多いという話を聞いたことがある。

と言うわけで、今のところ当サイトは絨毯爆撃的にパラメータを振った実験をする事で仕事をこなしている。 (理論の助けを借りられるように勉強するのは当サイトに課せられた課題。) しかし、我ながら情けない事ではあるが、こんな研究方法は正直時代遅れなのだ。 (このままじゃ近い将来リストラされるかもね〜。)

実際、当サイトのような場末の三流企業ではなく成長分野を支える一流企業では既に変革が起こり始めている。 例えば2次電池産業などがそうだろう。 ハイブリッドカーの進歩で2次電池の重要性が格段に増しているが、 シミュレーションベースでの材料開発で成果が出始めているそうだ。

と言うわけで、スパコンに投資することが無駄金になるかというと決してそんなことはない。 当サイトの分野でもあと10年位先にはシミュレーションによる研究が研究手法として重要な立場になると思う。 (そうなったら当サイトのような体育会系技術者はあっという間にリストラだけど、 それは時代の流れと思って甘んじて受けるか、それまでに勉強して技術と学問を身につけるか、どちらかだね。) つまり、研究手法としては時々刻々進化中な部門であり、つまり今後の成長が見込め、成果が出しやすい分野と推測すべきであろう。

☆「2番ではダメなのか?」論は正しいか?   
ではスパコンが重要なことはわかった。 でも、世界一を目指す必要性はないだろうという意見がある。 某議員の主張した「2番ではダメなのか?」論である。

この主張、今では当の本人が「2番手ではダメであることを官僚に説明させるための誘導尋問だった。」と言っているので、 (実録動画を見た限りでは、正直、後付の言い訳に見えるけれど...)一応は愚論を装った知恵者の誘導尋問ということにしておこう。 たしかに、この質問に対して明瞭な反論を言えなかった官僚の対処能力には問題があるかもしれない。

この「2番手論」には、現在アメリカがスパコン分野で優位に立った経緯を説明するのが良いと思う。

思い出していただきたい。 日本のスパコンが世界一となった前機種は地球シミュレータであった。 2年半の長期にわたって世界の頂点に立ったのである。 このときのアメリカの危機感・不快感は「コンピュートニク」という言葉に象徴されるように並大抵のものではなかった。 翌年のスパコン開発支援計画はアメリカの全科学技術政策の内で優先順位第2位であったから危機感の程が伺える。 また、それ以降もスパコン開発に対する政府の投入資金額は増額の一途をたどっている。 翌年の予算総額は必ず前年よりも高額であり、タダの一度も減額したことがないのだ。

また、アメリカの場合は軍事関連のスパコン投資金額は公表されないから、 実態としての政府支援は公表された金額よりもさらに格段に高額だそうだ。 軍事調達におけるアメリカの購入コストは、高価と言われる日本の次世代スパコンよりもさらに高価であるという話がある。 (一説には1台10億ドル以上で、総額50億ドル以上を投入。)

しかし、アメリカが地球シミュレータに敗れてから世界の頂点を奪還するのには2年半もかかったわけだが、 その間にアメリカ政府の支援政策が揺らいだことは一度も無かった。 (政策にブレがないという意味では残念ながらアメリカの方が優勢であり続けた。)

まして、地球シミュレータに全ASCIプロジェクトマシンが敗れたときに、 政府高官からは「君たちの苦境はよく理解しているから、頑張って欲しい。政府として支援は惜しまない。」という趣旨の発言がなされており、 「日本の次の2番ではダメなのか?」などという愚論は一度も発言されていないのである。

アメリカはスパコンが今後の技術開発において国力の源である事を熟知しているからこそ支援に投資を惜しまない。 日本は確かに財政赤字が巨額だから、支出を減らさなければならないのは事実ではあるが、 財政赤字金額という意味ではアメリカのそれは日本を凌ぐ。

もしスパコン開発が技術開発として時代遅れならば、なぜアメリカはあれだけの高額投資をするのであろうか?  しかも、それは単純な購入資金ではなく開発資金を含んでいるのである。 次世代スパコンが現代の戦艦大和ならばアメリカ自身がそれ以上の高額予算を巨大戦艦建造にばらまいているわけだが、 アメリカ政府側からそれが無駄金であるという批判はほとんど出ていない。 スパコン投資が無駄金ならば当のアメリカ自身が大盤振る舞いで無駄金をばらまいている事になるが、そうではない証拠である。

2番手論であるが、世界一になれたかなれなかったかのわずかな性能差で 科学技術の優劣が決まる可能性は確かに低いかもしれない。 しかし、2番でよいという冷えた技術開発で成果が出せるか?というとかなり疑問である。 頂点を狙ってさえトップに立てるかどうか?という状態なのに、2番手狙いでブレークスルーが成し遂げられる訳がない。 しかも、実機の性能だけではなく、それを作る技術開発力という意味ではマイナス効果はさらに増額される。

スパコンにはスパコン用の技術が必要であり、CPUがパソコン用だからといってパソコンだけで作られたスパコンはこの世に存在しない。 かつてMacを使ってLINPACKで高性能を出したバージニア工科大学のマシンでさえネットワークにはInfiniBandを使用していた。 パソコンだけで作られたマシンでは何万ノードあろうともスパコンとして設計されたマシン1台にすら及ばない性能であり、 PC用パーツが使われているからと言ってスパコンがパソコン技術のみで実現できるわけではないのだ。 (コア技術がどこかを取り違えないように。スパコンにはスパコン用のコア技術が必要である。)

スパコンが今後の科学技術発展における重要性を増している以上、 事実として世界一を「目指す」チャレンジ精神の有無がアメリカの復活をもたらしているわけだから、 同様な政策の有無は長期的には技術開発力に大きな差異をもたらすのだと思う。

☆外部調達論はダブルスタンダード。   
また、外国製の方が安いのだから外部調達すれば良いという意見があるが、 これには1980年代のアメリカがSuper301条という非関税障壁を設けてまで日本製スパコンの外部調達を阻止した歴史が参考になると思う。 過去の経緯を考えれば自由調達になってもアメリカが世界最速のスパコンを経済利益だけで日本に売るとは思えないが、 百歩譲ってそうだったとしても自国が不利なときは非関税障壁で有利になれば自由貿易ではダブルスタンダードと言われても仕方あるまい。

しかし、当時は日本製の方が高性能・低価格だったが、日本製スパコン購入による調達をアメリカ政府が阻止したときに アメリカ国民から「何製であるかはユーザーには意味が無い。日本製の方が安いから日本から買えばよい。」という世論は出なかったのである。 それはスパコンで負けることがいかに国益を損なうかをアメリカ国民自身が熟知し、 アメリカ国益という観点から政策を支持していたからであろう。

そう言った背景があって現在のアメリカの復権がある。 当サイトは日本のスパコン調達に非関税障壁を設けよと主張するつもりは公平性の観点からサラサラ無いし、 ユーザーから見てコストが安ければスパコンが何製であるかに意味が無い事はたしかだ。 だが、そのお金は国民の血税が資金源になっている事を忘れてはならない。

旧地球シミュレータを使った地球温暖化研究において日本の気候予測モデルが多数採用され、
IPCCのノーベル平和賞受賞に貢献できたのはなぜだろう。

アメリカから外部調達すればよいという話があるが、
アメリカ自身が達成出来なかったことをアメリカからスパコンを買うことで実現できたのであろうか?

アメリカどころか中国やロシアもスパコンを作っている。 CPU自身を作る技術がない国がCPUやGPUを外部から買ってまで自国でスパコンを作ろうとするのは何故なのか?  それはもちろん長期的な国益を彼らが考えているからであろう。 (中国やロシアのスパコンが価格性能比でもアメリカ製より優位であると思われますか?)

だったら、そのお金は外部調達ではなく自国の産業が国際競争力を持てるようにするために使うことを考えるべきである。 アーキテクチャの優劣ではなくCOTSであることが競争力の源であると主張するならば、 外国製の購入ではなくまだ日本がCOTSとして一定の競争力を持つ 組み込み用プロセッサやゲーム用プロセッサのスパコン利用を考えるべきである。 確かにPC用CPUでは日本に見るべきプロセッサは存在しないが、 COTSという意味では日本にも有力なプロセッサは存在する。 そのために知恵を絞るのが国家戦略というものであろう。

この意見に対しては「外部調達」が良いのか「自国開発」が良いのか、 新聞社などで納税者に対する無作為抽出世論調査を行っていただけるとおもしろいと思うのだけど、 どこかやってくれませんでしょうかね?

と言うわけで、日米の立場を入れ替えて考えてみれば、 世界一を目指すという事に意味が有るか無いかは明瞭におわかりいただけると思う。 アメリカが復権を果たしたのは政府の政策に揺らぎが無かったからであり、 もし2番手でも良いなどと判断しようものならば競う前から日本が自分で勝手に転んだ形となり、ライバル国は大喜びであろう。

☆少なくとも当サイトが納めた税金分については使用に問題なし。   
今までの次世代スパコン計画に問題がなかったというつもりはない。 迷走したのは事実だし、それで仕分け人に付け入る隙を与えたのも事実。 指摘の中にはまともなものもあって、総合的・継続的な計画が無く単発プロジェクトになってしまっているという意味の指摘はまさに同感である。 また、リーマンショックが原因とは言えNECの離脱を招いてしまったのは管理運営能力を問われても仕方ない面は確かにある。 だが問題点は修正すればよく、凍結ではなく継続投資に対する正しい戦略を練り直せばよい話である。

当サイトは高B/F比用途でベクトル機を押す立場だったから、 今回のコラムが富士通に対する提灯記事ではない事はご愛読者様には簡単におわかりいただけると思う。 (NECとintelの提携の成果は、残念ながら今回の件には全然間に合わないしね。) しかし、今回の話はアーキテクチャの優劣とは次元が違った話である。 少なくとも当サイトが納めた税金の分は使っていただいて結構だ。 どうぞ、許可させていただく。

最大の愚策は投資をせずに今までの投入資金を全額無駄金にする事である。 仕分け作業だけで「こんな話が続くようでは、次の参議院選挙では...」などと言うつもりはないが、 国家百年の計を考えない議員には国民の意見を聞いていただくほかは無い。

日本はブロガー数が世界一のブログ大国である。 だが、当サイトの意見に賛成の方、反対の方、どちらの意見でも国民として意見を表明する事自体に価値がある。 (もちろん、文部科学省のサイト への記載でも良いが、官僚に乗せられていると感じる方もいらっしゃるかもしれない。) 仮に当サイトの意見に反対であったとしても公平な論点でありさえすれば正論としてOKであるし、 皆様ももしブログをお持ちでしたら、一度ご自身のご意見を記載してみては如何だろうか?  「予算の限りなく凍結に近い見直し」と、その後の「予算復帰予定」が国民の支持によるものかどうかがはっきりするだろうから。

当サイトの意見としては、もちろん次世代スパコン計画は継続せよと一国民として強く主張するものである。1) アメリカに学ぶものがあるとすれば、それは揺らぎのない一貫した支援姿勢であろう。


1)
当サイトはPCマニアサイトなのでスパコンネタを取り上げたわけだけれど、 他にも科学技術政策に関するおかしな話はたくさんあると思う。 (興味のある方には、他の科学振興策に対する仕分け作業も調べてみることをお勧めする。) たとえばSPring-8に関する費用負担の件がそうである。

SPring-8は日本の大規模プロジェクトの中では最大級の成功プロジェクトと当サイトでは考えている。 ここまで上手く行ったプロジェクトはそうそうあるものではない。 使いたくても現在でも順番待ちが多いそうだ。(兵庫県はさすがに遠いので一般公開を見に行けないのが悲しくて仕方ない。)

にもかかわらず受益者負担増とは?  かつて民主党の某トップ級議員は東京湾アクアラインの海ほたるがガランガランの閑古鳥状態なのを見て 「宝の持ち腐れ。」と揶揄した。 それは確かにその通りで、通行料金が非常に高額だったからである。どんな設備も使われなければ意味が無い。 と言いつつ、SPring-8に対しては真逆の方針で自らガランガランの閑古鳥状態に追い込もうとするとは何事かと思う。 確かに官僚の癒着・天下りは大問題だが、官僚バッシングのパフォーマンスさえ演じれば支持率が上がると思ったら大間違いである。 (まして郵政問題では天下りの大盤振る舞いを許している自己矛盾があるわけだしね。)

少なくとも当サイトは国力が増せば投入した税金が無駄金にはならないことは理解しているつもりだ。 自国の産業を自ら衰退に追い込むような愚策は直ちに中止すべきである。

誤記訂正
5年半→2年半