SSDは意外に伸び悩むのでは?   

2009年3月22日



☆今月で千葉県民生活終了。房総早春の旅。   
まずはいつもの余談から。

今年は例年より春が早いのだそうで、ここ千葉県でもそろそろ桜の開花時期。 当サイトはこの3連休に房総早春の旅に出た。 というのも、実はこの4月から某県に出向となり千葉県民で居られるのも今月限り。 だから、最後の千葉県民生活を精一杯楽しもうというわけ。 (どこへ出向になったかは追々お祭りネタなどで明らかにしてゆこうと思う。)

というわけで気分次第の房総ぶらぶら日帰り旅行で、 行き先は特に決めず適当に車を流して行く。 ここ成田市から八街市、茂原市、大多喜町を経て国道297号を南下。

何となく頭にあったのは勝浦の朝市である。 勝浦市の朝市は石川県輪島、岐阜県高山と並んで日本三大朝市の一つに数えられている 由緒ある朝市なのだそうだ。

日本三大朝市の一つ、勝浦の朝市。
ローカル色豊かな地場商品群が魅力。

朝市は朝市通りという長さ300mほどののどかな商店街風の通りで行われている。 近くの市民会館にある駐車場に無料で車を止められるので、 当サイトのような観光客も気楽に行くことができる。

朝市とは言っても観光客も居るので、実際にはお昼近くまで開店している。 当サイトは10時頃到着したのであるが、閉店していた露店は少なかった。

規模は想像していたよりも若干小さめだが、来て良かったと思ったのは 露店の商品が観光客向けのそれっぽいお土産品ではなかったこと。 地元の果物・野菜とか、温暖な気候を活かした生け花とか、 勝浦は港町なので地元で捕れた魚で作った手作りみりん干しとか鮮魚とか、 ともかくほとんどの商品が観光商品化されていない地場商品なのがすばらしい。 最近のこの手の売り物はたいてい観光商品化されているので、 手作り商品群を見ているとちょっと嬉しいね。

側道に入っても小さな露店がある。
見ての通りの地場野菜販売。良い意味で観光地化していない。

この後に温泉に行くつもりなので、鯛とか鯵とかおいしそうだったけどちょっと鮮魚は買えない。 (あとでわかったことだけど、簡易冷蔵で鮮度を保ったまま持ち帰り可能なんだそうだ。大失敗、トホホ。) で、地元のイチゴと手作りお菓子を買って帰る事にした。 房総半島は関東一気温が温暖な関係もあって、イチゴは甘くておいしかったよ。

さて、勝浦からは県道178号を北上。 目的地は滝見苑・ごりやくの湯という露天温泉だ。

房総の山は標高は高くはないが、気候が温暖なせいもあって森が深く、 見た目以上に山深い。県道178号は山道をずいぶんと登っていく感じで、秘湯の雰囲気を醸し出してくれた。

温泉は露天からの風景がいかにも房総の山里という雰囲気でなかなかの満足度。 温泉と本館が長い渡り廊下でつながっているのも秘湯温泉の雰囲気が出ていてグッド。 露天温泉はやはりぶらぶら旅行の基本だ。

滝見苑・ごりやくの湯。
粟又の滝から勝浦側に数百m先にある温泉。露天がグッド。

「いい湯だね〜、ふぅ〜。」というわけで露天温泉を堪能し、 温泉を出てさらに山を登る方向へ車を走らせると... なんとわずか数百m走っただけで、なんか見たことのある風景が... 養老渓谷名物粟又の滝だ。

粟又の滝は養老渓谷の紅葉狩りでほぼ毎年行っている所なので、養老渓谷から滝までは行き慣れた道だ。 つまり、逆方向の勝浦側から上ると山深くて秘湯気分だけど、紅葉で有名な養老渓谷側から行くと 有名な粟又の滝のすぐ数百m先にある比較的行きやすい温泉なんだね。 要するに、お気楽に行きたい人は養老渓谷側から、秘湯気分を味わいたい人は勝浦側から 行くと良いというわけ。

というわけで、最後の房総ぶらぶら旅行を楽しんだ3連休であった。 (ちなみに、この日以外はひたすら段ボール箱に本などを詰める作業。 ペースが鈍く退去期日に間に合うのか心配になった。)

☆遅きに失した感もあるがSSDを購入。   
というわけで本題へ。今回はSSDを購入してみた編である。

SSDは以前から購入予定だったのであるが、予算をCore i7に回した関係で購入が遅れていた。 しかし、もうこの不況だから景気回復の意味を込めて買うしかないと思った事と、 もう一つはSSDの価格急降下はこの春でもう終わりだと予想していた事があって、購入に踏み切った。

購入したのはSLCの奴とかコントローラの高速な奴とかマニア受けの良い製品ではなく、 ごく標準的な製品。Patriot Memory製PE64GS25SSDRである。 メモリコントローラが同じだと製造メーカーが違っても基本的な特性は同じハズだが、 Webで感想を見てみるに安い奴の中ではそこそこ評判が良さそうな機種なので選択した。 (本当は128GBが欲しかったのだけど、さすがにCPU自身より高くては手が出ない。)

比較対象だが、家のマシンの多くが保険としてRAIDを組んでいる関係で、 HDD1台に組み直した。使用HDDはSeagate製Barracuda ST31000333AS。 わかる人はわかると思うけれど、例の製品1)である。

HDDは古い奴ならば家にいくらでもあるのだけど、 SSDと同時代のHDDで比較してみたかったのでこちらも買ってみたというわけ。 テスト後はレグザ(液晶テレビ)の録画用NASに回すので、1TB購入しても全然無駄にはならない。 (ちなみに、テレビをあまり見ない当サイトですら現状使用の250GB-NASは瞬殺。 ハイビジョン用途はHDDの大口顧客だね。)

今回のテスト品。
Patriot Memory製PE64GS25SSDRとSeagate製Barracuda ST31000333AS。

テストマシンは当サイトの手持ちでフラッグシップのCore 2 Duo(T7200)マシン、 そしてネットトップマシンの代表としてAtom330マシン。 それぞれSSD、HDDでテストしてみた。 (ただし、テスト期間の問題でライトユースしか試していない事には注意。) CeleromM-440マシンはメインマシンなので、 万一のことを考えるとHDD換装とかはしたくないので今回は除外した。

まずは簡単なベンチマークを測定。 これらは当サイトより充実したベンチマークを掲載しているPCマニアサイトが沢山あるから あまり掲載の意味が無いのであるが、とりあえず定番ということで。

Core 2 Duo(T7200)マシンでのベンチマーク結果
左図はSSD(PE64GS25SSDR)、右図はHDD(ST31000333AS)。
 
Atom330マシンでのベンチマーク結果
左図はSSD(PE64GS25SSDR)、右図はHDD(ST31000333AS)。

結果だが、一つはHDDより高速ではあるが最新のHDDと比べた場合はシーケンシャルでは50%の差に留まるという事。 SSDが本領を発揮するのは小サイズのリードであるというごく標準的な結論。 もう一つは、要するにDISKベンチマークではCPUの差は見えないので、 SSDとHDDのベンチマーク数値はCPUの処理能力にほとんど依存しないという事だ。 (SSDの512K-Readの値がCore2DuoとAtomで2倍弱違うのがちょっと妙だけど。)

ちなみに、噂のプチフリはどちらでも発生しなかった。 これが発生するとSSDの高速性は台無しになるとのマニア評価だが、 フルにアプリを入れて長期間使用している訳ではないので、今のところは問題が発生していないのだろう。 ただし、Atom330マシンでSSDの効果が相対的に弱いのは、プチフリと感じない程度の ミニ・プチフリ?が発生している可能性は残されている。

要するにSSDは確かに速いと言うことだけど、この数値が現実を反映しているかというと微妙に異なる。 これはドライブ自体のベンチマークであるから、体感速度とはちょっと一致しない。 実はCPUの処理能力で体感速度は変わる事がわかった。

☆SSDの体感速度はマシンの処理能力に依存する。   
使ってみてわかった事は、体感速度で見た場合SSDの高速性はマシンの他の性能部分にある程度依存するという事だ。 ベンチマーク上はCPUが何でもSSDはHDDより優れていて、また、ベンチマーク数値は(512KB-Readの差を例外とすれば) CPUパワーに無関係。しかし、体感速度上ではAtom330よりT7200の方がより高速になる印象だ。

つまり、十分に高速なCPUを搭載しCPUの処理能力が高い場合はHDDアクセスがボトルネックになっており、 その場合はSSDはかなり効果的な高速化手法。(価格の高ささえ我慢すれば)十分満足できる製品だ。

しかし、CPUの処理能力自身がボトルネックになっている場合はSSDの高速性は生かし切れていないように感じる。 当サイト以外でも古いノートPCにSSDを搭載してあまり高速化しなかった例をどこかのWeb記事で見たことがあるが、 I/Fの規格の問題もあるのだろうが、おそらくはボトルネック問題が大きいと当サイトでは考えている。 (当サイトが試したAtom330マシンではI/Fは通常のSATAだし、実際ベンチの結果はAtomマシンの方が若干速い位だから。)

また、アプリの起動が速いという意見が多いが、これは初回起動のみであり、 メインメモリにキャッシュされる2回目以降の起動では効果が大幅に減少。 初回起動ではHDDに大差を付けるが、最初に起動して速いと思ったのもつかの間、 使い続けるとありがたみが薄れる傾向にある。

ちなみに、当サイトのPC仲間からも「Crusoe時代の古いVAIOをSSDで再生したいが効果をどう思うか?」 と聞かれた事があり、当時はSSDの使用経験が無かったので 「推定だが、おそらく効果は薄い。」とメールした事がある。 CrusoeではさすがにCPUパワーが不足しているので、ここがボトルネックになってしまう。 そうすると、SSDへの換装はボトルネック以外の部分に投資している事になるので効果は限定的という訳だ。

その後、実際に効果は限定的だったという返信メールがあり、予想通りである事が確認できた。 HDDは当時の古い低速HDDなのでSSD換装でベンチマーク上はすばらしく数値が改善したが、 体感的にはあまり差がなかったとのこと。 ご本人は換装自身が楽しかったので問題ないとは言っていたが... (こちらはI/FがATAなのでI/F問題の可能性もあるが。)

去年SSDがPCマニア間でブレークした事は誰にも疑いようのない事実である。 しかし、そのブレークの陰には、PCマニアの使用PCは通常の一般ユーザーよりも 高性能なシステムを使用している場合がほとんどという事情が隠れていると思う。 SSDの性能を生かし切れる使用環境なのだ。

たとえばネットブックなどでは低容量SSDが使われている場合が多いが、 これはSSDの高速性を生かせる方向性ではないだろう。 低消費電力性とか落下時の耐故障性を考えれば十分に意味があるが、 ベンチマーク上はともかく性能に対する実際の付加価値は高級機種に比べると相対的に低いと思う。

☆SSDの普及を決めるのは性能ではなく価格という意見には賛成。   
これに対する回答は 日本HDD協会2009年1月セミナーレポート 〜HDD市場は急減速を経て再び成長軌道へ という記事に詳しく書かれている。 要するにネットブックにSSDが搭載されるのは、同記事から引用すれば 「ネットブックが搭載したHDDは1.8インチ型ではなく、2.5インチ型である。 小型軽量化が目的であれば、1.8インチ型を搭載すべきだ。しかし2.5インチ型が選ばれた。価格が低いからだ。 SSDとHDDの性能に関する議論、いわゆる速度や消費電力、外形寸法、重量などはあまり意味がない、と明快に断じた。」 とのことである。

同記事はHDD協会の発表だからHDD側にバイアスがかかっている可能性には注意が必要だが、 それを考慮してもこの主張には十分な正当性があると思う。 なぜならば、最近のネットブックではSSD化が進行するどころか逆にHDD搭載機種が増える傾向にある事を 思い出していただければわかるだろう。 不景気でHDDの価格が下がり、相対的にSSDの価格優位が薄まれば需要はHDD側に帰ってくるのである。

当サイトのテスト結果から見れば、SSD化は本来ならば金に糸目を付けない高性能ノートPCから進行する ハズである。実際、最近は高性能機種でSSDモデルの販売が始まっている。 しかし、ネットブックから高級ノートPCまで全分野を見れば、 SSD化の進行が去年のネットブックでの急激な普及に比べるとスローペース化している事がわかる。 台数ベースでの売れ行きはデータがないのでわからないが、 少なくとも機種数ではSSDモデルはネットブックでも少数派となった。 理由はきわめて簡単で、SSDの価格低下はNAND型フラッシュメモリの価格低下と完全に連動しており、 そのNAND型フラッシュメモリの価格低下が急激にスローダウンしているからだ。 (円安効果まで計算に入れると、SSDは値下がりどころか値上がりに転じているのが現状だ。)

SSDはこんなに高性能なのだから少々高価でも普及すると考えるのには残念ながら当サイト的には同意できない面が多い。 SSDは確かに高速だが、たとえばCPUが速くない場合は同じ価格差をCPU換装に投資した方が効果的な場合もあるからだ。 理由は単純で、今回のテストではAtom330+SSDマシンとCore 2 Duo(T7200)+HDDマシンを比べると 体感的には前者が高速とは言い難い。要は用途次第であろう。

また、SSDの価格下落が進行すれば200GBクラス (動画さえやらなければ一般ユーザー・ビジネスユーザーでは多くの場合これで十分。) も購入予算内となりその際にはHDDは負ける、という意見には賛成するけれど、 残念ながらそのクラスのSSDが1万円以下で買える時代は PC雑誌の予想記事よりもずいぶんと遅れた時期になると言うのが当サイトの予想である。

これは去年と今年の状況の違いを見ればわかる。 この状況を箇条書きにしてみた。 要するに容量向上ペースも価格下落も今年はHDD側が反撃に出る巻き返しの1年であり、 NAND型フラッシュ側は守勢に回らざるを得なくなると予想している。2) 特に、半導体の微細化には多額の設備投資が必要なので、 不景気の逆張り投資が行われずライン投資の延期が行われている現状では こちらへの期待ができない意味は大きい。 また、直近でNAND型フラッシュの容量向上が行き詰まる訳ではないだろうが、 中期トレンドで言うと容量向上ペースという意味では壁に突き当たっていた側がHDD側からSSD側(NAND型フラッシュ側) に入れ替わり、守勢と攻勢の立場が逆転すると予想している。

☆現状のトレンドが続くと読むのは...   
最近は出張が多く新幹線の中でよく経済誌を読むのだけど、 ちょっと疑問なのは経済アナリスト分析は現状のトレンドが続くという前提で書かれているのがほとんどで、 トレンドの転換点を読める能力のあるライターが少ない事である。 たとえば、サブプライムローン問題で倒産・吸収合併したアメリカの投資銀行などは、 この問題発生以前には「驚異の成長戦略」などと経済アナリストたちに散々に持ち上げられていた。 お金を出して雑誌(情報)を買うからには当サイトではプロレベルの洞察力を期待している訳だけど、 経済誌に関しては事実としてのデータ取得以外の意味はあまり考えない方が良さそうだと最近は思っている。

と同様に考えれば、SSDの去年の急激な普及を考えれば 今年もSSDが伸びまくる年に見えるのはやむを得ないかもしれない。 SSDが意外に伸び悩むというのは当サイトの妄想かもしれないし、 去年のような急成長が続くという考え方が正しい可能性ももちろんある。 しかし、単純に現状の延長線上にトレンドを捉えるのはサブプライムローン問題を例に出すまでもなく危険だ。

今年はそういう転換点になるのではないか...という話を考えてみたのが今回の内容。 だが、こういう意見は先に示したHDD協会の記事以外に見たことはないので、 当サイトの予想が的中するかどうかは、当サイト自身の分析・予測能力がどの程度のものかを 自ら占う指標になると考えている。

もちろん長期トレンドではSSDの普及は間違いないところだし、 いくら不景気とは言っても通年でマイナス成長になる事はさすがに無いだろう。 SSDの成長率はHDDのそれを凌ぐだろうし、価格も低下していく。

ただし、SSDの普及は当初の想定よりもかなりペースはスローダウンするというのが当サイトの今回の予想だ。 去年の急速な普及を思い出せば、今年の年末には「あのバカ騒ぎはいったい何だったのだろうか?」 と思えるような地味な普及拡大になると予想する。 おそらくあの狂乱はもう起こらない。

SSDの普及が進むか進まないかはHDDとの価格の相対ポジション次第であり、 今年はSSD側に若干不利な状況となるというのが当サイト的予想。 その最大の理由はNAND型フラッシュメモリの容量単価下落ペースが、 容量面から見ても単価面から見ても去年から急激にペースダウンする事によると推測している。

というわけで結論。SSDは失速する訳ではないが、去年を思えばかなり伸び悩む。 今年はそのような1年になると予想している。 ちなみに、この予想が正しいかどうか1年後に検証記事を書くことをお約束しておきたい。

最後に話は変わりますが、引っ越し準備のためおそらく次回は更新が遅れます。 その点、ご容赦くださいませ。



1)
HDDは時々会社を変えて購入してみるのだけど、各社雰囲気が違うのがおもしろい。 Seagate製は性能・信頼性・静音性に関しては信用していた(例の件で過去形表記)のだけど、 価格が他社より高いのが難点だった。しかし、 例の事件でGB単価も他社品と同等以下に。 日本で正規販売の製品は問題無しとの言葉を信じて購入してみた。

当サイトの購入比率が一番多いのは現段階では日立。 静音性と性能と価格のバランスが良いと思う。 SAMSUNGは選択肢が少ないし、WDは価格が安いのは魅力だけど、 買ってみたら静音性の面でちょっとうるさめだった。 (機種にもよるからWD社全製品の評価ではないけれど。)

ちなみに、その昔はQuantum社の製品を愛用していた。 だが、そのQuantumはMaxtorに買収され、そのMaxtorもSeagateの傘下に。 HDD業界は再編の動きがとても速い業界だね。

2)
以上は、先ほどの記事 と同じ意見だが、別段記事内容をパクった訳ではなく、容量単価の下落ペースについてはここで、 技術革新速度についてはここで、記事より先に予想していた通り。