理性と感性が対決すれば...   

2009年2月12日



☆壊れていい時に限って...   
今回は久々の購買ネタ。

さて、経済不況克服のためお金を使うべきと考えている当サイトだが、口先だけでは意味が無いので実行している。 ボーナスの残金で購入したのは液晶モニタ。久々の買い換えである。

寮時代の当サイトのモニタ環境は3台体制であった。 メインがシャープ製LL-T17D4、サブがナナオ(EIZO)製のT760(19inch-CRT)、サードがサムスン製SyncMaster 151N。 メインとサブが机の前に置いてあって、サードは寝転びWeb用途とか実験時のモニタ用とかの各種雑用にといった具合だ。

しかし、問題が...

一つは今時ワイドでない液晶でVistaを使うのは辛いという事。 LL-T17D4は当時はまだ海外勢より品質的に優位だった国内製とは言え、 今の感覚ではさすがに古びている。

もう一つは引っ越しにより部屋数がワンルームから増えて、 居間のこたつ用にSyncMaster 151Nを取られたこと。 机だと冬は寒いし、やっぱWebやメール程度ならばこたつに入りながらやりたい。 一応レグザ(47inchの液晶テレビ)はフルHDのドットバイドット対応だが、 アレをWeb機用途に使うのは消費電力から見てもちょっとつらいし、 Web用途で47inchはさすがに大げさすぎ。

ではと言うことで、余っているからと19inch-CRTであるT760をこたつに乗せたところ、 こたつからミシッ!というちょっとヤバ目の破壊音が...

暖かいこたつで猫のようにウトウトしていたところ、 こたつがCRTに押しつぶされて圧死なんて笑い話にもならない。 CRTのブラウン管はガラスの塊なので重量は何と26.5kgもあるのだからね。 (それにCRTは奥行きが長いから、仮にこたつに置けたとしても画面が眼前になってしまう事が判明。)

同様に、引っ越し先では19inch-CRTの荷重に耐えられる場所が多くなく、 結局サブモニタとして机の上に置けなかったことだ。 あの重量は机の上にのせる時にも腰に気をつけなければならない位であり、 寮では堅牢な備え付け家具があってOKだったが、 ここ引っ越し先では机がゆがむ事を心配しなければならない。 そのためCRTは玄関脇の床に直置きでほとんど使われなくなり、汚れるままに無駄に置き場所を食うだけの存在になっていた。

もうCRTの時代ではない事は誰の目にも明らかだから、寮時代から「壊れたらすぐに買い換えだ!」 とずっと思っていたのだけど、なまじナナオの製品を買ってしまったためか こんなときに限ってこれが全然壊れない。1)

CRTの経年劣化で一番よくわかるのは画面の中央と周囲でのフォーカスの差および色調ばらつきだろうが、 1999年の年末に買った奴だからそろそろ劣化してもおかしくない訳だけど、 10年近く経ってもボケの無いクリアな画質なままなのだ。 そのうえ、新居になって使いにくい場所にか置けなくなったのだから、 使用頻度が減ってますます壊れる可能性は低くなってしまったわけだ。

でも自分も技術屋だから、これを開発した人のことを考えると壊れてもいない物を捨てるのも 非常にもったいない気がして困っていた。 う〜ん、どうしたものか...

と困っていたところにこの不景気到来である。 メモリ、HDDほどの暴落ではないが液晶モニタも不況期になれば価格は低下する。 景気回復の意味で今こそ財布のヒモを緩めるときだと宣言した意味もあって、 ようやくCRTを廃棄する決心が出来た。

今月は都合が良いことに日経WinPCの特集が激安液晶モニタの購入企画記事であり、 液晶モニタの価格推移予想を読める。 なるほど、現状が既に価格急落期の末期であり、 不景気とはいえここからさらに急激な価格下落は無さそうという予想な訳ね。 これを信じるとすればタイミング的にも狙い目だ。 (NAND型フラッシュの価格暴落がストップしつつある事を考えれば、液晶パネルも同様な状況なのだろう。)

10年近くクリアな画質を保ったナナオ製T760
どこも壊れてないけど、時代の流れでついにドナドナ。

☆理性と感性の葛藤。   
問題はCRT代替モニタのプランニング(位置づけ)である。

メイン機のシャープ製LL-T17D4も購入してもう5年になる機種であり、もちろんワイド液晶ではない。 液晶と言えばシャープではあるがこのパネルはおそらく自社製ではないと思われるし、 購入を決断したのはDVI-I端子付き17inchで当時としては画期的に安い特売品を見つけたからである。 (確か数量限定\29800の特売品。)

サード機のサムスン製SyncMaster 151Nは安ければ何でもいい的に買ったものであり、 実際SyncMaster 151NはSyncMaster 152Smの法人向けデュアルヒンジ省略バージョン。 タダでさえ安い韓国製のさらに廉価版なのである。 (サムスンの名誉のために一言言っておけば、価格の割には画質は良かった。) どちらも貧乏人の状況をよく表しているね。

つまり、新規購入の選択肢としては3つある。

一つはメインモニタ用にガツッとこだわりの高級機を買って、LL-T17D4をサブへ回す選択。 この場合はワイド液晶は当然で、サイズ・解像度も最低ラインが24inch・フルHD(1920×1080)以上となり、付加機能・画質重視となる。 大画面の場合はフルHDを動画再生で生かすためにはIPSパネルかVAパネルである必要性があり2)予算的にかなり厳しくなるのがデメリットだ。

二つめは一応メイン扱いだが、性能と価格のバランスを取るコストパフォーマンス指向。 ワイド液晶だが、サイズ・解像度は20〜22inchクラス・WSXGA+(1680×1050)程度。 付加機能はHDCP対応だけで良く、パネルはTNパネルで妥協し、画質もほどほど。予算上限は\25000位かな?

三つめは激安モニタを買って、サムスン製SyncMaster 151Nをサブ機へ回す選択。 この場合はワイドである必要性すらなく、解像度もXGAで十分。価格の安さだけが選択肢となる。 安モニタ扱いなので予算は上限\12000程度。出来れば諭吉様1枚を超えないのがベストだが、この選択をすると 今時ワイドでない液晶(LL-T17D4)をメインとして使い続けなければならないのがちょっと...いや、かなり痛い。

もう一つの悩みどころはグレアパネルか、ノングレアパネルか...

えっ、おまえは本当にPCマニアかって?

いやいや、確かにその通り。 動画編集などの特殊事情がない限り長時間連続使用では決してグレアパネルを使わないと言うのはPCマニア界の常識でもある。 あの光沢は一見美しく見えるが、写り込みが激しく、また目の疲労もノングレアより強くて長時間使用に耐えないと言うのはPCマニアならば誰でもわかる。 キーボードを叩く時間が長ければ長いほど一見地味なノングレアパネルのありがたみを理解できるハズだ。

と言うわけで当サイト自身も今までグレアパネルは(プライベートでは)一切使ったことがない。 だが、秋葉原に行くと確かにグレアパネルはノングレアより一見して鮮やかに見えるわけ。 これだけ差があればPC事情に詳しくない一般ユーザーがグレアパネルへ流れるのもよくわかる。 最近のPC(メーカー品)はグレアパネルの採用が増えているのは、 PC初心者向けに受けの良いグレアパネルの方が実際に売れるからだ。

しかし、パッと見で判断するのは危険とは言え、ここまでグレアパネルが普及していると言うことは ひょっとして最近の技術革新でグレアでもPCマニアの使用に耐えるようになったという可能性もゼロじゃない。 何事も先入観で判断するのは危険という訳で、 高価なメイン用途機種でグレアパネルは論外だが、長時間使用しないという前提条件付きの サブモニタ、サードモニタならばお遊びでグレアパネル液晶を買ってみようかという 好奇心が沸き立ってきたというわけだ。 と言うわけで、この場合はリスク回避的意味で低価格機のみが選択肢となる。

他にも狭幅ベゼルが好みとか色はブラック系よりホワイト系の方が好みとかあるけど、 言い出したらきりがないのでほどほどに。

☆お互いに欠点放置で利点を追求する戦い。   
まず、プランニングは簡単に決着がついた。

結局のところ画質的にTNパネルが事実上使えない動画系のフルHD用途ではPCをレグザ(液晶テレビ)につなぐという手があるから IPSパネルやVAパネルに高額投資するのは妥当な判断とは言えず、第一案は却下。 (レグザ購入時にPC接続時のドットバイドット表示にこだわったのはそのためだしね。) かといって激安液晶モニタを買うとワイドの選択肢がほとんど無くなるため、第三案も却下。 いくら貧乏人とは言っても、今時ワイドではない液晶を使い続けるのもちょっと... と言うわけで無難なバランス案の採用となった。

問題はグレア・ノングレアの選択だ。

となると、メイン機用なので使用時間が長く、理性的に考えればどう見てもグレアパネルは不可でありノングレアパネルが正解となる。 だけど、何かちょっとおもしろくない気もするね。 確かに上記の内容はPC界では定説だけど、自分で使ってみて初めてわかることもあるかもしれない。(自分への言い訳?) 当サイト自身がGPU混載などPCマニア界での異端説を唱えたこともあり、 今回はお試し版でちょっと衝動買いをしてみようか?という誘惑が...

選択肢としてはノングレアパネルと光沢フィルムを買って、光沢フィルムでなんちゃってグレア気分を楽しむという手と、 グレアパネルを買って写り込みに耐えられなくなったら非光沢フィルムでごまかすという手が考えられる。 前者は理性重視で無難な安全策、後者は感性重視で保険付きではあるがハイリスク。

IPSパネルとVAパネルに事実上の画質差が感じられなかった液晶テレビの偵察時と同様に、 悩んだときは何よりまず偵察し自身の理性と感性を事実でもって納得させるのが大切である。

と言うわけで、会社帰りに近所の家電量販店に行き、出張帰りに秋葉原に行く。 特に家電量販店では周囲の照明状況が一般家庭とは全然違うので注意が必要だ。 (余談だけど、液晶テレビの購入時に注意したことを一言。液晶テレビの場合では家電量販店の照明輝度に負けないように ほとんどの場合で画質設定が「ケバケバ画質」...いや、入力ミスった... 「鮮やか画質」に設定してあるので、これを「標準画質」に戻して偵察する事が重要。)

いやはや、偵察に行って事をはっきりさせるつもりだったが、実際に偵察するとさらに悩むことになった。 グレアパネルの写り込みはPC界の常識通りひどくて、技術的な改善の兆しがあまりない。 技術革新により写り込みが減っているから最近はグレアパネルも売れるようになったのだ... というシナリオに期待していたのだけど、残念ながら技術革新はあまり期待できないようだ。

ただし、家電量販店で写り込みが激しいのは照明の輝度だけではなく、 一般家庭より照明が高密度で配置されているからと言うのもわかってきた。 天井に蛍光灯が緻密に配置されているので光源を避けられるパネル角度が無い。 どこからどう見ても写り込むのですごく悪く見える。 しかし、一般家庭ならば照明は天井に一カ所というのが普通であり、 反射面がここに来なければなんとか...と言うのが一縷の望みだ。

また、鮮やかさに関しては想像していたとおりグレアパネルが優勢であり、 ノングレアは横に並べてしまうと明らかに見劣りする。 高輝度照明下ではこの差が強調されすぎるという知見があるので 一般家庭の状況では差が詰まるはずだが、それを考慮してもやはり鮮やかだと思う。 (こんな時はPC仲間に話をして一般家庭環境でのグレアパネルの写り込みを見てみるのだけど、 当サイトの近所に住んでいるPC仲間にはグレアパネルを使っている人が一人も居ないので状況がよくわからないのだ。)

ノングレアパネルでグレアパネル並みの鮮やかさを実現するためには、 入射光は散乱させるが透過光は直射という非可逆特性を実現する必要性がある。 だが、このような特性を持ったフィルムを光学領域で実現するのはやはり技術的に相当敷居が高いのだろう。

結局のところ、IPSパネルとVAパネルの差のように両者の差が技術革新で少なくなってきているから グレアパネルが流行ってきたという状況ではない事が偵察でわかってきた。 つまり、ノングレアパネルがグレアパネルの鮮やかさに追いつくという技術革新もあまり進んでおらず、 グレアパネルがノングレア並みに写り込みを抑えるという技術革新もほとんど期待できなくて、 過去の定説通りの状況のままである事が判明。 現状は、お互いに自分の短所を埋めることが出来ず、長所を一方的に主張し合う戦いとなっているわけだ。

現状では、たとえ高額でもかまわないから鮮やかで写り込みも無しという機種が欲しいと思っても、残念ながら選択肢は無いんだね。 (ならばスイッチ一つでグレア・ノングレアを切り替えられる電子式光散乱制御フィルムと言うのは考えられないか?  強誘電体ポリマーでの電歪等を利用して内部歪みを生じさせ、これによって表面に凹凸を付けたり外したりなんて出来そうだけど。)

ともあれ、このような状況での正しい選択とは何だろうか?

葛藤を意味するステレオタイプな表現で頭の中に天使と悪魔が出てくる表現があるけれど、 当サイトの頭の中には天使と悪魔ではなく理性と感性がケンカをしている状況だ。 感性が「グレアパネルきれいだよ〜。美しいよ〜。」と誘惑すれば、 理性が「こらっ、冷静になれ! 長時間使用に耐えられるわけ無いだろ。 どれくらいキーボード打ち続けると思っているんだ。」と説得する。 現状はそんな童話のような状態だ。

俺はグレアが好きだとか、ノングレアが良いのだ、というきっちりした価値観を持っている方ならば何も迷う事は無い。 どちらも一長一短なんだから、自分の好みを買うのが一番正しい判断だ。

しかし、当サイトのように迷っている場合は判断基準がいくつか考えられる。 このような場合は視点を変えてみるのがうまく行く場合が多い。 つまり、グレアかノングレアかを考え続けると延々と悩むことになって結論は出ないが、 そこはもう五分五分と見て、価値基準を変えるのである。

そうすると二つの点で優劣の違いが見えてくる。

一つは他項目が同一条件の場合グレアとノングレアではほとんどの場合でグレアの方が高価であるという点。 ノングレアを選べば同一メーカー同一ランク品でワンサイズ大画面版が買える場合は多い。 もう一つはグレアが流行っているのはセット販売のメーカー製PCであり、 液晶モニタバラ売りの場合ではグレアの選択肢はまだまだ少ないという事情である。 (これは、事情を熟知しており実を取るPCマニアの理性判断と、パッと見の感性を重視する 一般ユーザーの購買比率に起因するというのが当サイトの理解である。)

要するに液晶モニタ単独購入の場合はノングレアの方が選択肢が多くて、なおかつ他条件が同一ならばより安価なのだ。 動画編集やゲームがメインとか個人の好みとしてグレアが好きという場合はなんら問題ないが、 判断に迷った場合はあえてグレアを選択する理由は無いと言えるだろう。

おっ、理性派の判断を支援する結果だな。 ここが重要で、当サイトの用途の場合では本来ノングレアが正しいことはわかっているのだから、 言わば「わがままな感性」に説いて言い聞かせる理由付けが重要なのだ。

☆理性と感性が対決すれば...理性が勝つ。   
と言うわけで決着はついた。

既にノングレア液晶が2台あるのにまたノングレア液晶を買うのか?という 疑問符が頭の中から消える事は無かったし、グレアパネルの鮮やかさに未練がないと言えば嘘になる。 だが、購入したのはノングレアの液晶モニタだ。

ちなみに、普通に液晶モニタの判断基準とされている視野角・輝度・応答速度・コントラスト等は TNパネル液晶を選択した時点であまり強くこだわっても意味が無い。 高コントラストを謳う機種が単にケバケバ表現しかできない事例をPC仲間から聞いたことがあるし、 輝度は一定値以上高くても通常使用では意味が無い。 特に視野角にはカタログスペックに対してほとんど期待は出来ず、 TNパネルの場合は輝度・応答速度・コントラストは平均的な値があれば十分である。 (微妙な数値の善し悪しを比較することはあまり意味が無く、飛び抜けて悪い数値が無いことが確認出来ればそれでよい。)

PC用途ならばだがこれらの数値の微妙な差はグレア・ノングレアの差ほどには大きな影響力を持たなくなってきているのが現状だし、 こだわりを見せるならばTNパネルで数値にこだわるのではなく、最初からIPSパネルかVAパネルを探すべきだろう。(高価だけど。)

しかし、時代の進歩のおかげで、普及価格帯機種の数値でもLL-T17D4やSyncMaster 151Nよりは十分に高性能スペックだ。 たとえば、応答速度は今の液晶ならば廉価版でも5ms位は出るが、上記の手持ちマシンはそれぞれ20ms、25msでしかない。 しかし、応答速度25msのSyncMaster 151Nで何か不満があるかというと、現状の用途がこたつでのWeb・メール用で 動画はほとんど見ない状況なので不満を感じたことはない。 現状では普及品の5msでさえ当サイトの用途ではある意味でオーバスペックなのだ。

と言うわけで、20〜22inchクラスで通常レベルの視野角・輝度・応答速度・コントラストを持ち、 解像度はWSXGA+(1680×1050)クラス。端子がD-SubとDVI-I各1ポートでHDCP対応。 実機の偵察で最低合格基準を満たす画質であること。 この条件を満たす機種で一番安い奴という選択を行った。

決めたのはAcer製X223Wsd。他機種より価格が安くて20inchの価格で22inchが買えたからだ。 景気回復を考えれば出来れば国産にしたかったのだけど、 廉価機種だと国産でも中身は結局台湾製パネルだしね。

購入したのはAcer製X223Wsd。
写真の通り写り込みはなく、画質・機能共にごく普通。これで激安価格なのだから満足度は高い。
(壁紙の青空部分に色むらがあるように見えるのはデジカメ画像編集時のムラで、実機にはありません。)

使ってみた感想だけど、画質・使用感はPC用途としては可もなく不可もなく、ごく普通。 TNパネルであると言うことを考慮しても視野角が若干狭く、視野移動で色調がわずかに変わる印象はあるが 目くじら立てるほどではない。 下からのぞき込むような場合には色調が完全に破綻するが(白色が黄色っぽくなる。)、 液晶テレビと違ってPCモニタではそんな使い方をすることはまずないしね。

そして、他の特性は必要にして十分という感じである。 LL-T17D4よりずいぶん新しい製品なのだからもう少し高画質を期待していたのだけど、 この間の技術革新は画質ではなく価格と画面サイズに振り向けられたという事なのだろう。

ただし、価格は同一スペック機種中でダントツの激安価格。 「安かろう悪かろう。」の可能性を恐れていたのだが、そうではなかったので満足度は大きい。 高級機でIPSパネルやVAパネルを使うことでこの微妙な問題点が仮に解消されたとしても、 PC用途の場合では価格差に相応する価値かといわれれば微妙だ。 液晶テレビならば視野角による色調変化の問題でこれと同じTNパネルは推奨致しかねるが、 PC用途ならば特に目くじら立てるほどのことではないと思うからだ。

サブプライム不況克服に向けた消費拡大としての意味はどうだろうか?

台湾の液晶パネルメーカーにしてもこの大不況で苦境に立たされているのだろうし、 これらの企業が万が一潰れれば市場の寡占が進む。また、 液晶パネルが台湾製だったとしても、偏光フィルムやバックライト、電子チップ部品など、 そこで使われている部材の多くが日本製である。 つまり、液晶モニタの場合は台湾製を買っても投入資金の何割かが日本に帰ってくるのである。3) と言うわけで、不況克服効果も問題なしだ。

問題は理性と感性の葛藤の決着。 ノングレアパネルで本当に良かったのか...

結論から言えばノングレアパネルは正解というしかなく、 直感的な感性は用途を考えれば妥当な判断をもたらさない。 感じ取る判断は論理が客観的ではないので、状況が変われば気持ちも変わってしまう。 要するに移り気なのだ。

パッと見の感性と言うのは芸術的ではあるけれど、 液晶モニタは当サイトの用途では10分見て終わりというものではないし、 やはりPCの世界は理性が支配する世界なのだろう。

頭だけで考えて...とか、理屈をこねて...とか言うのは悪い表現で使われることが多いのだけど、 PCの世界ではやはり感性よりも理性が良い結果をもたらす場合が多いのだろうと思っている。 もし当サイトが直感的にグレアパネルを買っていたらどうなったかが気にかかるが、 当サイト的使用状況を考えれば満足していたとはやはりちょっと思えない。 判断に迷うケースはいろいろな場合で発生するが、 葛藤が理性と感性の衝突である場合は理性を優先した方がPC界では正解になる確率が高いと思う。

と言うわけで...当サイトの心の葛藤をごまかす意味で、光沢タイプの液晶保護フィルムも買ってみた。 「やっぱグレアパネルにすべきだったか...」と思ったときはこれを貼ってごまかす。 おそらく1時間もキーボードを打てばきっとフィルムをはがす羽目になって、 後悔の念も消えるだろうと思っている。

理性と感性が対決すれば...PC界では理性が勝つ。 これが今回の結論である。



1)
その昔CRTの全盛期、PCマニア間では「女房を質に入れてもナナオのモニタを買え。」と言われたものである。 特に名機T560iの画質はほとんど神話と化していた。 当サイト周辺でも先輩がそれを使っていて、確かに高画質で欲しかったけど高くて買えなかったものである。 T760の頃には元祖トリニトロンのSONY等が画質面でも結構追いついてきてT560iの頃のようにナナオが飛び抜けてダントツの高画質という訳では無かったが、 その分価格差も縮小しており、T560iのあこがれがあったのでやっぱりナナオにしてしまったと言うわけだ。

2)
液晶テレビではやれIPSパネルが良いVAパネルが良いという話があるが、当サイトはIPSパネルでもVAパネルでももはや差はほとんど無いという意見である。 ただし、TNパネルは論外だ。TNパネルはPC用途だから許されるのであり、明らかに映画鑑賞には向かない。 実際、手持ちのSyncMaster 151NはWeb用途では特に不満はないが、動画を見ると視野角(特に上下)の変動ではっきりわかるほど色調が変わってしまう。 ところが、液晶テレビではIPSパネルとVAパネルの微差でさえAVマニア間では喧々囂々の議論なのに、 なぜPC用液晶モニタになるとフルHD規格でTNパネルが許容されてしまうのだろうか? 本当に不思議だ。

買った液晶モニタはWebやビジネス用途専用で解像度が偶然フルHD規格なだけだというのならばOKだが、 フルHDという解像度をあえて買うからには、キャプチャ・動画編集をやったり液晶テレビ代わりにも使うという前提である。 最近の視野角拡大フィルムの進歩はあるだろうからSyncMaster 151Nよりマシにはなるとは言え、 現状でTNパネルがIPSパネルやVAパネルと同画質とはとても思えない。 (事実、よほどの低画面サイズ廉価版機種で無い限り液晶テレビではTNパネルは使われない。) つまり、TNパネルのフルHDモニタと言うのはパネル製造側の事情による普及であって、ユーザーには基本的にはメリットがない。 また、パネル製造時にサイズ規格が統一される事による価格の低下がうたい文句だが、 現状ではWSXGA+(1680×1050)TNパネルとの価格差はほとんど無いのが現実だ。 現状でフルHDをあえて買う必要がある場合はIPSパネルかVAパネルをお勧めする。 (視野角ではIPSパネル優位と言われているが、VAパネルでもTNパネルに比べれば比較にならない位に出来がよい。)

3)
経済界では「鵜飼い経済」という言葉があるそうだ。 たとえば、韓国メーカーはDRAMにしても液晶パネルにしても日本に完勝したように思われているが、 じつはコアパーツを日本の部材メーカーから買わなくてはならないので、鵜飼いの鵜のように利益を吸い取られてしまう。 事実、韓国の対日貿易赤字はとてつもない金額であり、韓国の全貿易黒字の半分以上の金額が日本一国のみに対する貿易赤字として消えていくそうだ。


2/14 誤記訂正
文章の終わり部分でグレアとノングレアが一部逆表記になっていたミスを修正。 それにしても我ながらよくやらかす当サイトだ。トホホ。 ご指摘どうもありがとうございます。