DVDプレイヤーとして余生を送る




我々パソコンマニアの間ではDVDをパソコンで見ている人は多いであろう。

しかし、パソコンのモニタは画面が小さいのが欠点だ。 (たるさんは普段19inchのEIZO製T760と15inchのFMV付属モニタと SUNのデュアルスキャンモニタGDM-1662BのDOS/V用改造品の3台体制である。 ちなみにFMV付属モニタとSUNのデュアルスキャンモニタはもらい物だ。 一方TVは26inchなので、サイズの差は歴然。)

確かにモニタで見た方が画質は良いのであるが、 画面サイズの差はいかんともし難い。 DVDはやはり大画面のTVで見たいものだ。 というわけで、リサイクル企画第二弾として、ご老体パソコンを TVの脇に置けるDVDプレイヤーに変身させよう。

今回のリサイクルはMustang-GX R543というメディアGXマザーである。 チップはCyrix製の486互換CPUである5X86の180MHz版をコアにビデオと ノースブリッジを一体化したものを使用している。たるさんがWindows95で 使用した感じではペンティアム133MHzにはちょっと届かないかな?といったところだ。

しかも、このマザーはFDDインターフェイスがイカレたということで、 廃棄寸前の所を筆者に救助されたいわく付きマザーなのだ。 (まあ、DVD再生にはFDDは不要だが...)

まずDVD再生について考えてみよう。このCPUパワーでは当然の事ながら ソフト再生は不可能である。このため、ハードウエアデコーダーカードの ジャンクを探す事となった。

試してみたカードは以下の3種類である。


1.謎のLuxSonor製チップLS220搭載デコーダー



2.M3309+PURE-3DのTV出力
(ページ作成時には本体を里子に出してしまったので
箱のみの撮影。すんません。)



3.ジャミングDVD2



ハードウエア再生とは言っても、ほとんどのカードがペンティアム166クラスのPUパワーを要求していて、いずれのデコーダーも486クラスはお呼びでないらしい。 といって、このまま引き下がっては産業廃棄物を増やすだけだ。 何事もチャレンジと割り切って試してみよう。

では、これらのカードは実際にはどれくらいのCPUパワーを 必要とするのであろうか?

動作確認は下記の2種類で行った。
映画:惑星ソラリス(これを選んだのは単純にたるさんの趣味だ。)
アニメ:青の6号Vol.2(アニメとCGが両方含まれ、爆発シーンが多いので採用)
再生負荷はアニメの方が高いようだ。

1.謎のLuxSonor製チップLS220搭載デコーダー
R543レベルでは何とかコマ落ち無く再生できるようだ。 ただし、まさに下限である。 試しに、マザーをGA-486AMに、CPUをCyrix製5X86-120MHzに換装したところ、 ごくわずかではあるがコマ落ちが発生した。 同じマザーでDX4-100、DX2-66およびDX-50の40MHz動作とすると、 セッションの切り替え部分で一瞬画面が止まってしまう。 また、動きの激しいシーンで許容範囲を超えるコマ落ちが発生した。 さすがにパワー不足のようだ。

2.M3309+PURE-3DのTV出力
M3309からメディアGXにオーバーレイした画像を、 PURE-3DのTV出力端子経由でTVに映し出そうという凝った方法である。 ただし、このM3309というカードはデジタルオーバーレイ方式であり、 残念な事にメディアGXの内蔵ビデオでは満足に動作させられなかった。 はっきり言ってアイディア倒れである。 デジタルオーバーレイ方式はドライバの制約がかなりきついようだ。 ちなみに、Celeronマシンで動作させた場合だが、字幕が汚かった。 これはビデオを再生支援回路を搭載しているRAGE-PRO等に置き換えると きれいになる。

3.ジャミングDVD2
一番使えたのがこのカードである。 こいつはCPUパワーの低下に対しては信じられないくらいの抗堪性を示す。

推奨CPUはPentium166以上なのに、CPUパワーを下げても、 リモコンの対応能力を下げることで極力コマ落ちを発生させないようにするのだ。 推奨CPU以下のスペックのCPUで動作させても、リモコンの応答が渋くなるだけで コマ落ちがまったく発生しないのは立派である。 結局コマ落ちがわずかに発生したのは486DXの40MHzになってのことだ。 (しかも、映画1本見て2〜3カ所程度)

ただし、やむを得ないことではあるが、せっかくリモコンが付いているのに CPUが遅くなるに従ってキーを押しても反応しない頻度は高くなる。 メディアGXではキー押しの取りこぼしは無いが、5X86-120では数回に1回の反応、 DX-40では完全にシカトを決め込む。(マウスでの操作はOK)

それにしても、DVDが486DX-40MHzクラスで見られると思う人は 早々居なかったのではないか?  もちろんたるさんもその一人だ。

おもしろいのはDVD再生のボトルネックであろう。

一部の例外を除いては486用チップセットはDMA転送をサポートしない。このため、 DVDデータの再生カードへの転送はCPUがPIO転送で行うこととなる。 その結果、データ転送能力がボトルネックになるのだ。 実は486DX40でも若干のコマ落ちで動作すると書いたが、DX4-100MHzでは それ以上にコマ落ちが激しい。単純なCPUパワーでは当然DX4が 上であるにもかかわらずだ。

CPUのやっていることはDVD-ROMからデコーダーへ画像データをひたすら 転送しているだけのことである。DX4-100ではトータルのCPUパワーはDX-40より 上だが、I/O周りの動作が33MHzとなる。 この為、肝心のPIO転送のバスアクセス部分でCPUパワーが不足し、 コア部分が速いことによるCPUパワーの差をもってしても I/O周りの速度低下を埋められないのであろう。

さて、話しが少し脱線した。以上の結果、および唯一リモコンが付いているという 利点から採用デコーダーはジャミングDVD2と決定した。

では、早速製作に入ろう。

ジャンク再生という目的上、マシンに割り振れる他のハードのスペックは かなりきついものだ。メモリーは4MBのSIMMを4枚、HDDはたったの 171MBである。しかも、ケースも廃棄物を再生したため HDDのマウント金具はないし、マザー取り付け用のサブフレームすら無い。 これらは板金加工+根性で取り付ける事とする。

まず、このマザーはFDDインターフェイス不良のためインストールが問題となった。 このような場合は、他のマシンでブート環境とDOS用ドライバを入れて、 まずCD−ROMが使えるDOS環境を作り、 次にHDDから起動後、CD(DVD-ROMドライブ)からインストールするのが良いだろう。 OSはメインメモリが少ないので、あえてWindows95である。

次に、DVD再生専用機ということでいかに静音化するかが問題である。 幸いにしてマザー付属のCPUファンは静粛性がそこそこ高く、 一番うるさいのは電源である。そこで、電源をファンレスに交換した。 ファンレスといっても高価なものではなく、秋月で買ったジャンクの SW電源ユニットに-5V系電源回路とPowerGood信号回路を自作で追加したものだ。

まあ、システムとしては消費電力が高くないようなので、 これでも問題なさそうである。実際、長時間の連続運転でも問題なかった。 また、通常の電源ユニットのファンを5V駆動に改造するのも、 そこそこ効果があるようである。



基本的にDVD再生専用機なのでパソコンとしての機能は徹底的に 削った方が使いやすい。 というわけで、まず設定終了後にマウスとキーボードをはずしても エラー無く起動するように設定しておく。 BIOSでキーボードレスでもPOSTでエラーストップしないように設定するのも重要だ。 また、DVD再生ソフトをスタートアップフォルダに登録しておく。

さらに、Windowsの電源をいきなり切れるように工夫することも 使い勝手を高める工夫だ。 まずHDDのアクセスランプを目立つところに引き出し、 電源OFFのOKサインとする。次にmsdos.sysを書き換えて、 再起動時にスキャンディスクがかからないように設定する。 最後にHDDのパワーセーブモードをBIOSで最短時間セットとし (このマザーの場合は1分)電源OFF時にHDDのヘッドがシッピングゾーンに はじめから収まっているようにする。 HDDはWindowsの起動時のみにアクセスされ、再生時にはまったく無用の 状態になることが分かったので、こうすればいきなり電源をOFFしても クラッシュしない。

こうすることでモニタが無くてもTV出力だけで操作でき、 電源とDVDメディアを入れてから電源OFFまでリモコン一つで 用が足りるマシンとなる。HDDが回転していないことさえ確認すれば、 いきなり電源を切ってもクラッシュしない。 起動に時間がかかるのが難点であるが、まさにDVDプレイヤー感覚である。

メディアGXの180MHzでメモリー16MBというサイテーな環境であるが、 ほとんどの処理はハードウエアデコーダー内で処理されるため、 OS起動時を除いてはスワップは発生しない。 試しにメモリを32MBに増やしてみたが、Windowsの起動が わずかに速くなった以外は、何の効果もなかったので16MBに戻してしまった。 DVD再生にはメインメモリの容量は無関係のようだ。

ジャンクを使い回したため、制作費はDVD−ROMドライブ¥5000+ ジャミングDVD2¥3000といったところだ。 リモコンですべての操作が完了するのでVGA画面をモニタに写す必要もない。 これで、使えない旧型廉価486系マザーも最後の余生を送る場を 与えられたわけである。めでたし、めでたし。



−注意事項−
この記事を参考に自分でDVDプレイヤーを作ろうと考えている方々へお願い致します。
お約束になりますが、すべて自己責任で行ってください。
問題が発生した場合でも責任は一切負いかねますので。