パソコン時代の「終わりの始まり」。   

2008年5月13日



☆今年のGW旅行。   
皆様は今年のGWはいかがお過ごしだったでしょうか?

当サイトは両親の「どっか連れて行け攻撃」を回避するために先手で家族旅行を企画。 PCマニアである当サイトと非IT世代である両親の共通点は「お花見好き」程度しかないので、 目的地はこの時期にツツジのきれいな蒲郡プリンスホテル庭園とした。

前夜は三河湾スカイラインの山の上、眺望の良さで知られる「 天の丸」に予約を入れた。 (貧乏人の当サイトとしては、かなり力を入れているつもり。)

この天の丸は標高380mで山のほぼ頂上にあって、写真の通り天気さえよければ三河湾を一望できる。 当日はそこそこ晴れていたので、日中、夕刻、夜景と下記のような絶景を楽しむことができた。 (しかも、山の頂上とは言っても傾斜が緩いので、高所恐怖症の当サイトでも問題なしなのが重要ポイントである。)

眺望の良さが自慢の「天の丸」
三河湾と蒲郡の街を一望できる。左図は日中、中央は夕景、右図は夜景。

夕刻には霞も晴れて、三河湾の対岸にある渥美半島までも眺めることができた。 相変わらずの写真下手なのでダメだけど、本物はとても美しい景色。 (写真左図では渥美半島は霞んで見えないが、中央では対岸の渥美半島が見える。)

翌日は蒲郡プリンスホテルでツツジのお花見。 当日はカンカン照りの日差しだったので肝心の花がしおれ気味だったのがちょっと痛いが、 こんな感じの風景を楽しむことができた。 当サイトの好きな八重のツツジもあって、なかなかグッド。

蒲郡プリンスホテル庭園のツツジ
好みの八重咲きもあって、なかなかグッド。

ちなみに、ここは丘の上なので海岸沿いにある竹島を眺めることができる。 竹島は関東で言ったら江ノ島に相当する風光明媚な小島。 砂州を通じて島を結ぶ小橋があるのも同じだ。

訪れたときはまだ潮が引いていなかったので人が少なかったのだが(写真左図)、 潮が引く時間帯になると写真右図の通りとんでもない人手に。 潮干狩り客が殺到して、人が多いか貝が多いかと言う状況になった。

これじゃ半日もしたらアサリも居なくなってしまうわけだけど、 おそらく夜の満潮時にアサリを蒔いているんじゃないかな? (どこの浜でも事実上はそうなっていると聞くしね。)

潮干狩りなんて、もはや時代遅れの廃れたレジャーかと思っていたら、 今でも意外に人気なんだな、これが。

蒲郡プリンスから眺める竹島。
引き潮ともなると、とてつもない人数の潮干狩り客が押し寄せる。

☆シングルコアがやってきた!   
さて、引っ越し作業で暇無しの週末を送っている毎日なのであるが、 当サイトのマシンもそろそろ買い換えたくなってきた。 引っ越し作業ばかりの週末にも飽きてきたので、そろそろ禁断症状でPCをいじってみたい気持ちだ。

しかし、当サイト的に狙い目のAtomやNehalemやFusionはまだ発売されていないし、 エンコードに代表されるマルチメディア系の作業をあまり行わない当サイトにとって 現行のクアッドコア品などは購入する意味がほとんどない。 財布から万札を出して新型機を構築するのなら本人も納得のマシンにしたいわけであるが、 現行のT7200(Core 2 Duo のモバイル版2GHz)で何の問題なくすべての作業ができているのだから、 今ここで財布に負荷をかけるのは正しい選択とは言えないだろう。

また、ハイビジョンのキャプチャを目指してBDレコーダー購入の資金を貯めてきたわけだが、 これはピクセラの新型地デジBS対応キャプチャボード(PIX-DT012-PP0)購入資金へと移行した。 雑誌のレビュー記事などをみると、当サイトのメインマシンであるT7200で何の問題もなく キャプチャはできそうだし、その意味でもこれ以上予算を使えない状況だ。

そんなこんなで迷っていたところ、それならばということで PC仲間から友情価格でマザーとCPUを譲っていただける話が舞い込んできた。 (こういうのは持ちつ持たれつなんで、速攻で厚く御礼。)

で、物はというとマザーはN4L-VM DH、CPUはCeleron M 440(1.86GHz)である。

このマザー、正直言ってメモリとの相性問題が凄く多くて、PCマニア間の評判は正直よろしくないマザーなのだ。 だが、くだんの友人曰く「そういう噂だったから購入したけれど、何の問題もなく動いてしまったので...」 と、なんかつまらなさそうな顔をしていたのがPCマニア・スピリッツだねぇ〜と思ってしまった。

さて、このCeleron-Mだけど、コアはYonahである。 YonahコアはCore 2の1世代前のコアであり、4命令デコードにも対応していない。 しかし、ノートPCなんかでは過去には結構使われていて、当サイト的な印象はまぁまぁ悪くはない。 Celeron-Mなんでシングルコアだしキャッシュなんかは結構小容量に省略されているわけだが、その使い勝手やいかに。

で、CPUもほとんどローエンドだし、セカンドマシン用に昔の軽いOSで...と最初は思っていたのだが、 こいつでVistaを動かしてみようか?という気になってきた。 Vistaは結構ハードウエアの敷居が高いとの評判だが、今までローエンドマシンで動かしてみた事が無かったのだ。

N4L-VM DHとCeleron-M 440でローエンドVistaマシンを構築
基本スコアはさすがに3.2でしかないが、まぁまぁの使い勝手だった。

というわけで、早速Vistaを購入。(今回はセカンドマシンなのでホームプレミアム版である。) ローエンドVistaマシンを構築してみた。

パフォーマンスツールの結果は基本スコアで3.2であり、決して快適とは言えない点数である。 しかし、実際に使った印象としてはヘビーユース以外では何ら問題なしという感覚であった。 律速はゲーム用グラフィックであり、次がグラフィックス。 確かに最新チップセット以外でのチップセット内蔵ビデオチップでAeroは辛いという評判が気になっていたのである。 だが、Aeroも決して高速では無いものの十分に実用的なレベルである。 (ちなみにチップセットは、Vista登場時にVista対応面ではちょっと力不足と言われた945GMである。)

このCelerom-MはシングルコアでSMTも装備されていない。 つまり純然たるシングルスレッド動作にしか対応していない。 しかし、ライトユースならばそれで何ら問題ないのである。

では、ちょっと負荷を増やしてみようと言うことで、本格的に使うことを前提に セキュリティースイートをインストールしてみた。 ソフトは重装備で安全性が高いが負荷も大きいカスペルスキーで構築した。 また、ちょいテレ(ワンセグチューナー)が余っていたので、 それを取り付けてワンセグでテレビを見ながらこの記事を書いているのであるが、 別段CPU性能不足によるコマ落ちが生じる訳ではない。 (いや、コマ落ちはたまに生じるのであるが、それはHDDのDMA動作によるものである。 それが証拠に、同じコマ落ちはデュアルコアのT7200でもHDDアクセスにより同様に起こる。)

Vistaは重いとの評判を信じ切ってT7200マシン以外にはインストールしていなかったのであるが、 ひょっとするとゲームやエンコード以外のライトユースでは想像していたほどには重くないのかな?

というわけで、最初は単なるテスト用と思っていたのだが、結局こちらが事実上のメインマシンになってしまった。 RAIDも標準搭載なのでHDDをRAIDでミラーリングさえすればメインマシンとしての信頼性も確保できるわけだし、 メモリも必要最小限とはいえ2GB搭載したのでこれならこれで問題なしだね。 (メインマシンは必ずミラーリングまたは同等以上のモードにして保険をかけておくべきだというのが、 PCマニアとしての当サイトからのアドバイス。最近はHDD容量が大きいから、一度吹っ飛ぶとダメージもでかい。)

と言うわけで、今この廉価版静音マシンをRAID1で安全に組み直してメインで使っているのだけど、 3Dゲームさえやらなければ性能的に大きな不足は無く、このコラムもこのマシンで書いている。

そうそう、友人の言っていたメモリの相性問題であるが、 当サイトの手持ちメモリ(超怪しい激安サードパーティーDDR2を1GB2枚で使用。) でも何の問題なく動いてしまった。 相性問題はマザーだけではなくメモリ側でも時間とともに徐々に解消されていくものなので、 マザー発売当時とは違って今では大きな問題にはならなくなっているのだろうね。

☆一般ユーザーはもうおなかいっぱい。   
というわけで、Celeron-Mなどという廉価版低性能CPU+Vistaでも ライトユースなら十分に実用になる事がわかってしまったわけだが、 これはCPUベンダーにとっては福音なんだろうか?

当サイトはPC用途ではシングルスレッド性能重視な感覚を持っている事は皆様おわかりかと思う。 しかし、シングルコアとはいえVistaならばそこそこ高い性能は必要と思ってきた。 当サイトのPC環境では、T7200でVistaに移行する前は、フラッグシップがPentium4-3GHz、ライトユースのWeb機がC3-800MHzだった。 Pentium4はともかくC3はシングルスレッド性能面で見ても性能が低くWindows2000での動作ですら 必要最小限の性能だったから、(インストールしたことはないが)Vistaではおそらくまともには動かなかっただろう。

しかし、C3とは言わないまでも、1.86GHzのYonahコアならばVistaでも必要最小限の性能が得られるとなるとどうだろうか?

これより2ランク位上位のCPUならば一部のヘビーユーザー以外には十分な性能なハズであり、 今秋葉原で売っているCPUならば、よほど意図的に低性能CPUを探して買わない限り、 ほとんどのCPUがこれ以上の性能レベルである。

そうなるとやれNehalemだなんだかんだと言っても、Vistaが売れないのと同様な理由で 廉価版CPUで十分という判断が出てくる可能性は十分にある。 (Vistaの売れ行きがイマイチで未だにXPを欲しがる人がいたりするわけだが、 この状態を放置するとクアッドコアが主流になる頃になってもデュアルコアで十分と思う人が出てくる可能性は高い。)

このあたりの事情は当サイトが下手くそに書くよりも ムーアの法則がIntelに逆襲する 〜Nettop/Netbookの脅威というWeb記事をお読み頂いた方が詳しいと思うので、興味のある方はご一読いただきたい。 内容は書いてある通りであり、放っておくとハイエンドコア...とくにクアッドコア以上の マルチコアはサーバー用途とか一部のヘビーユーザー用途以外、 特にPCを単なるツールとしか用いない非PCマニア層には完全に見放される可能性が高いと思う。 そして最大の問題点は、そのような非PCマニア層がセールスにおける最大のバリューゾーンであるということだ。

AMDなどは既にこの状態に危機感を持っていて「nagara」キャンペーンを行っているのがおもしろかった。 「nagara」は日本語の「〜しながら」の「ながら」である。 たしかに「ながら」はマルチコアに非常に有利な動作状態であり、この使い方だとシングルコアはすぐに馬脚を現す。 こういう使い方がメインになるようにユーザーのユーセージモデルを誘導できればマルチコアは売れるようになるだろう。

しかし、このようなキャンペーンを行って需要を喚起しなければならない事自体が、 現段階では「ながら」的な使い方が普及していない証拠となる。

Aをしながら、Bをしながら、Cをする...という状況は並列動作が3〜4程度が限界であり、 無限に並列動作アプリを増やせる訳ではないと思う。 CPUの処理能力はコア数を増やせばいいわけだけど、人間が関与しない複数の「ながら」キラーアプリは存在せず、 結局は肝心の人間の処理能力(対応能力)に限界があるからである。 (読者の皆様はテレビを見ながら同時にキーボードで文章を入力できますか?  当サイトはタイムシェアリング的にしかできません。)

つまり、「ながら」は仮にうまくユーセージモデルを変えることができたとしても、 マルチコアのコア数をせいぜい2〜3世代延命できるだけで、本質的な問題解決にはなっていない。

☆地デジ・キャプチャボードが直近唯一の救済策?   
それよりも、一時的な延命策ならば地デジキャプチャボードの販売解禁の方がずっとCPUベンダーにとって福音だと思う。 こちらもマルチコアのメリットが生かせる数少ない用途だからである。 キャプチャしながら...も「ながら」の一種であるから、 ある意味ではAMDの主張通りとも言えるわけだけど、通常の「ながら」と違うのは、 こちらの用途は非PCマニア層でも十分な需要があることだ。 (もっとも、非マニア層は自作PCを使わない場合も多いから、 完成品のPCでは以前からこの分野でデュアルコア需要があったわけだけどね。)

旧来のシングルコアCPUマシンにこいつを取り付けてキャプチャしたときに、 自動的に「ながら」動作が増えるのでシングルコアCPUを買い換えようか? という需要は必ず発生すると思う。

もちろん、これでデュアルコアからさらにクアッドコア、オクタコアとコア数が増えていく需要があるわけではなく、 1コア程度増えて終わりなわけだから、これも一時的な救済策でしかないとは言える。

余談だけど、以前当サイトではハイビジョンをそのままの解像度で焼くために BDレコーダーの購入に向けてお金を貯め始めた件を書いたことがある。 しかし、近く発売されるピクセラの地デジキャプチャボードはハイビジョンも録画できる機能があるとのこと。 これには大きく期待しているし、当サイト的には購入は必須だ。 当サイト的にはT7200がデュアルコアであるメリットはほとんど無かったわけだけど、 ようやく当サイト的なキラーアプリが現れる事になりそうだ。

当サイトはPCマニアなんで、可能な限りPC系でキャプチャしないと示しがつかない。 けど、従来はハイビジョンをキャプチャしようとすると、 もうほとんど瞬殺の超レアなキャプチャボードを購入した上に、 相当にバリバリの処理能力を持ったCPUに買い換えなければならないわけで、 それこそ例外的に最新鋭CPUが生きる世界なのである。

それがピクセラならばハードウエアの支援により通常のバリューゾーンCPU程度でも キャプチャできるらしいので、期待しているわけだね。

☆CPUベンダーの力だけでは、この閉塞状況からは抜け出せない!?   
話を戻して、結局のところ当サイトがCPUパワーに注目しているのは「CPUマニア」だからであって、 PCにおけるCPUの性能需要というのはCPUベンダーの思うがままには伸びないというのが正しい未来予測かもしれない。 マニアは性能に関して高性能であれば何でも簡単に許してしまう悪癖があるけれど、 ビジネスとして考えるならばそもそも市場がこれから伸びる方向に向かって開発していく必要がある。

とすると、NehalemがCPUコアの抜本的刷新を見送ったのは、ある意味で問題ないと言えるかもしれないし、 開発の方向性がサーバー用途向けやHPC用途向けなのも納得できる。 (intelがCrayと提携したのは、まさにその典型例だ。もっとも、HPC需要はサーバー需要に比べるとまだまだ小さいけど。)

この場合はシングルコア性能の向上にあまり力を注いでいないのも正しい判断だろう。 サーバー用途ならば、むしろsunのようなスループットコンピューティング的な方向性が正しい判断だし、 HPC用途ならばオンチップメモリコントローラ搭載やQPIやSIMDの強化が効果的に効くだろう。 そして、どちらもマルチコアが十分に活用できる用途である。

Nehalemがサーバー用途向けも視野に入れている事は1 for 1の原則に従って消費電力を抑制したことからも伺える。 サーバー用途ではスループット向上と同時に、最近のトレンドとして消費電力抑制が求められているからだ。 データセンターでの電力対策は、今やサーバー用CPU選択の最も重要な要素の一つになっている。

当サイトはPC用途でマルチコアが実用的になるためには、 大部分のソフトが...いや、最低限でもキラーアプリがマルチスレッド対応になる必要性があると以前から強調してきた。 何度でも何度でも強調するが、このステップ抜きでPC用途でマルチコアが実用的になる事はあり得ない。

しかし、当サイトがこの問題点を最初に指摘してからもう5年になるが、 未だにマルチスレッド対応ソフトは時代の主流になっていない。 ドッグイヤーといわれるこの業界で5年といえば、他業界ではなんと35年相当の年月である。

秋葉原でソフト売り場に行ってみるとよいだろう。 目をつぶってグルグルと数回売り場を回って指を伸ばし、最初に指に触れたソフトを見てみよう。 もしそこがマルチメディア系アプリ売り場でも無いのにマルチコアによりガンガン性能の上がるアプリだったとしたら、 あなたはかなりの強運の持ち主だ。サマージャンボ宝くじはたっぷり買っておいた方が良いだろう。

この進歩の遅さはハードウエアの進歩の早さとは対照的であり、 ソフトの進化はハードの進化よりワンテンポ遅れることを熟知していたつもりの 当サイトでさえここまで対応が遅れるとは正直思っていなかった。 このネタは対応ソフトの充実により5年後の現在ではそろそろ正しくなくなりつつあると最初(2003年当時)は思っていたのである。 アマチュアである当サイトでさえそう思っていたのであるから、 ソフトのマルチスレッド対応を心待ちにしていたCPUベンダーにとって現状は忸怩たる思いだったに違いない。

そんな思いについにしびれを切らせたのであろうか?

最近のx86系CPUの開発方針を見ていると、当サイトは「ついにパソコン需要は見限られたのか?」と思えてくる。 「見限られた。」というのは言い過ぎとしても、軸足がPCから離れつつあるのは間違いないと思う。 CPUの開発方針を見ている限り「もはやパソコン中心の時代は終わったのか?」としか思えないのだ。



5/14 C3がC7と誤記されていたのを訂正。 5/18 文末で意味が逆になっていた誤記を訂正。ご指摘どうもありがとうございます。