奥州食い倒れの細道   

2007年10月8日



旧年中はあまりの忙しさに年1回という慎ましやかなペースでの旅行にすら1度も行けなかった当サイト管理人。 というわけで、今年は去年の分も含めて年2回の旅行がOK。

そんな中、秋田のお師匠様筋から食い倒れ旅行にお誘いされたので、早速食い倒れてきた。 とりあえず次のPCネタは書き上がっているのだが、 というわけで短編息抜きネタとして奥州食い倒れの旅日記を書いてみようと思う。 PCネタは近日中にアップする事をお約束して、いざ!食い倒れ!

☆にんにくとべごまつり。   
奥州には以前も行ったことがあり、その様子は このあたりで紹介したこともある。 そのときは当サイトの希望により奥入瀬渓谷などを中心にした紅葉狩り旅行となったわけだが、 今回は先方の希望(という事にしておいてください。)により食い気中心。 目的地は田子(にんにくと田子牛が有名)と大間(言うまでもなく最高級クロマグロで有名)である。

当サイトは成田在住のため、新幹線で盛岡まで。 滅多に使わない東北新幹線だけど、こういうときはやはりありがたい。

盛岡で秋田組(自家用車)と合流して、東北自動車道から八戸自動車道経由でいざ田子へ。 途中、飲み物を買うために立ち寄ったコンビニで「南部煎餅のみみ」なるお菓子を発見したりと、 食い倒れの旅にふさわしい出足であった。 (南部煎餅は有名な銘菓だけど、その製造過程で余った「みみ」の部分まで商品になるとは...)

田子ではにんにくとべごまつりというのをやっていて、 \2000なりでチケットを予約すると本場・田子牛でバーベキューが楽しめる。 初日食い倒れのメインメニューはこのバーベキューである。

会場は「にんにくドーム」とのことで、「お〜ぃ、もしもにんにくの形したドームだったらどうする?」 なんて笑い話もあったけど、さすがにそんなにベタな建物ではなくて、写真の通りちゃんとしたドームでした。

にんにくとべご祭り
カントリーダンスは三沢米軍基地関連の方々のボランティアだとか...

写真の通り各種イベントとかもあって、ともかくも田子牛バーベキュー以外にも 田子牛を使ったハンバーガーとか、煮込みとか、あぶり焼きとか、ありとあらゆる田子牛&にんにくのメニューがあって、 本人も友人も本日はメタボリックは見て見ぬふりモード。 いや〜、もう食べられませんって位、みんなで食いまくっていた。 (...って、あんまり食べてばかりいたので、肝心のバーベキューの写真を取り忘れた!)

ちなみに、イベントの最後は謎の地域舞踊「なにゃどやら」が演じられるとの事だったのだが、 宿泊食い倒れ組は初日中に大間の宿までたどり着かなければならないので、中途退場。 別途、日帰り組が笑える謎の遺跡「キリストの墓」の場所を教えて欲しいというので、これを教える事になった。 しかし、この周辺は謎の遺跡や「キリストの墓」に代表される笑える文化遺産が多くて、食い倒れの他にも怪しい古代史好きにもたまらない地域だね。

☆大間はもはや全国区のマグロ観光地。   
初日の夜は温泉に入って早寝。大間には町営の結構いい天然温泉施設がある。 しかも、温泉の浴場が改装されていて、以前よりずっときれいになっていた。 (マグロのおかげで町の財政も潤っているのかな?) 温泉は海の近くだけあってほんのり塩辛い塩化ナトリウム泉。 露天が無い事以外は不満のない、いい温泉である。

二日目は大間でクロマグロ食い倒れツアーである。 早朝に早速大間漁港を偵察 ...と、ちょうど函館行きのフェリーが出航するところであった。

大間フェリー埠頭と大間漁港
早朝、大間−函館間を結ぶフェリーが出航中でした。

対岸はもう北海道で、デジカメを望遠にすると夜景で有名な函館山が目前に見える。 もう10年以上前になるが函館に行ったときに登ったけど、 運良く快晴だったのであのすばらしい夜景を堪能できた。 よく定番の夜景写真としてあまりにも有名な函館山だけど、町の夜景以外にもイカ漁の漁火も幻想的でとても美しい。

あそこは、むさ苦しい野郎どもと行くとかえって後悔する位きれいな夜景で、 同行した仲間全員で「彼女と来るべきとこだよな〜、ここは。はぁ〜。」なんて嘆息していたのは懐かしい思い出だ。

対岸はすばらしい夜景で有名な函館山
野郎と行くと絶対に後悔する場所だ。(笑) 行くなら是非にも彼女と一緒にどうぞ。

というわけで偵察終了後はマグロの解体ショー&即売会である。

大間のマグロ解体ショーというと超マグロ祭り がかなり有名になってきた感じで、年ごとに観光客が増えてきている。 それはそうだろうね。テレビでマグロの一本釣りが何度も人気番組になっているのだから。 だが、最近は観光客が増えすぎたため超マグロ祭りだけでは観光客を捌ききれないのだそうで、 観光客の集中を防ぐ意味でこの季節の日曜日にはマグロの解体ショーが毎週行われているのだそうだ。

解体ショーで案内人の方が言っていたけれど、超マグロ祭りはあまりにも有名になって観光客が殺到。 で、去年は200kg級の巨大マグロを3本も用意したけれど、それでも解体後はあっという間に売り切れ。 結局、さらに4本追加して一日で7本も解体したけれど、それでもマグロを買えないお客さんがいて、 殺気立った雰囲気が怖かった...と冗談交じりに笑っていた。

当サイトは以前書いたとおり超マグロ祭りにも行ったことがあるが、 超マグロ祭りは観光客があまりにも多くて、確かに通常の日曜日に行った方が気楽に見られると思う。 通常の日曜ならば解体ショーも30〜40人位の人出で、マグロ1本の解体を見るにはちょうど良い感じだ。 上記の話が本当とすると、超マグロ祭りでは総解体量1トンを超えるマグロをさばいているわけだが、 それにもかかわらずマグロ不足とは大間の超マグロ祭りも全国区になったというわけだね。 (ちなみに、今年の超マグロ祭りは10/20.10/21開催。)

大間の解体ショーでは必ず100kg以上のマグロを解体する事に決めているそうである。 今回も164kgもの大型マグロが解体されていて、超マグロ祭りの超ド級200kgクロマグロには負けるけど、 大間以外で行われる解体ショーでは100kg以下が多い事を考えればそれでも十分に巨大マグロの解体が見られるわけだ。

海の黒ダイヤ、大間のマグロ
今年から地域ブランドが法整備され、「大間まぐろ」として登録されたそうだ。
このシールは本物の大間まぐろ以外には貼れないブランド物の証である。

上記写真のマグロに貼ってあるシールは、大間産マグロを証明する「大間まぐろ」シールである。 今年から地域ブランドが法整備されて法的効力を持たせることが可能になったそうだ。 なので、本物の大間産マグロ以外ではこのシールは使えない。

ブランド物は偽物が出没するようになって一流とよく言われるけど、偽物のおかげで 魚沼産コシヒカリや薩摩の黒豚は生産量の何倍もの量が流通しているのだそうである。 大間産のマグロも今やマグロ日本一の地位を確立しつつあり、偽物の流通を防ぎ ブランド価値を維持する意味でもこういう法整備はタイムリーだね。

で、早速解体ショー開始。 最初はいかにも巨大な海の魚が、あっという間にバラバラになって、どんどん美味そうな雰囲気になっていく。 マグロは5枚に下ろすのが基本なんだそうで、 最後は右写真の通り本当に美味そうなマグロのお肉...って状態になって、どんどん食欲も加速。 ちなみに、中落ちならタダで試食させていただけます

174kgの巨大マグロを解体
解体開始直後は巨大な魚なわけだが...解体が進むにつれてどんどん美味そうになっていく。

ここまで来ると、「こりゃ、もうたまらん(涎)。醤油をくれっ...」という状態なんだが、 そこはグッと我慢して、まずはクール宅急便で実家の両親に中トロと赤身を発送。 その場で梱包して宅急便料金を上乗せするだけで発送できるのは便利この上ないサービスだ。

とりあえず親孝行を済ませた後は、本人たちが食い倒れる番である。 予定通り、以前出かけたときに評判の良かった大間崎の海峡荘へ向かう。

で、以前は赤身のづけで作ったマグロ弁当を食べたわけだけど、 今回は「まぐろだけ丼」の裏メニュー「中トロだけ丼」を注文。 (表メニューまぐろだけ丼は\2000だが、丸秘料金を+αするとマグロがすべて中トロになる。) 普段は冷凍物しか食べていない貧乏人なんだから、今日くらいは思いっきり贅沢してやる〜。

必殺の裏メニュー、中トロだけ丼。もちろん大間まぐろのみの逸品。
表メニューには無い裏メニューなので、いつも食べられるとは限りませんのでご注意ください。

この後も、ここでまぐろ弁当を購入して旅路の途中でお弁当を堪能。 このまぐろ弁当にしたって大間まぐろの赤身の漬けがどっさり乗っている。 大間まぐろといえばマグロの最高級ブランド、お米で言ったら魚沼産コシヒカリみたいなものだから、 東京で食べたらいったいいくらする事やら。

以前と同様にマグロの中落ちを塩胡椒で焼いたのを無料で食べられるサービスも健在で、 これを考えれば\1000のマグロ弁当は本当にお買い得。まさに旅路の果ての食い倒れ。 う〜ん、満足、満足。

ちなみに、海峡荘の真ん前は本州最北端の大間崎。 海岸から海を見ると、ここ大間崎は海水が本当に透明で海底がよく見える。 とても海とは思えない透明度で、これならマグロも生臭くならなくて新鮮だろうね。

いかにもというベタな感じではあるが、こんなモニュメントもありましたよ。

本州最北端の大間崎
いかにもという感じのベタなモニュメント。

当日は晴天で海も穏やか。 というわけで、大間の男たちは休日にもかかわらず海の黒ダイヤを求めて東へ西へ。 向こう岸の函館山をバックに、マグロと格闘中。

これらは見た目はただの漁船だが、多くは最新鋭の魚群探知機...というよりは 津軽海峡を潜行する某国の潜水艦でさえ探知できそうな、 ほとんどソナーシステムといったレベルの最新鋭機器を装備して、海の黒ダイヤを追っている。 マグロは乱獲で漁業資源が減少し今後は漁獲高制限が行われるそうだし、というわけでさらに高値となりそうなので、 今年はもう思う存分大間のマグロを堪能してきたわけだ。

当日もマグロ漁をやってました。
最近はテレビ番組でも有名になったけれど、マグロ漁はまさに一攫千金の世界。
海の男は海のダイヤを求めていざ津軽海峡へ...

☆平泉・中尊寺とお蕎麦の食い倒れ。   
で、三日目は帰路途上で奥州平泉・中尊寺へ。 当然、中尊寺近くでも食い倒れるわけだが、 初日は田子牛、二日目は大間まぐろと豪華系だったので、 三日目は質実剛健に食い倒れ。 平泉駅前・泉屋の泉そばで食い倒れた。

この泉屋という老舗のお蕎麦屋さん、泉そばという名物を注文すると 口上付きとなるのがおもしろいサービスである。 本当は予約した場合のみなのだが、お客が少ない時間帯だったせいか、 予約なしでも口上をサービスしてくれた。

口上とは、そばづくし料理の説明だけではなく泉屋の屋号の由来の説明で、 それは奥州藤原氏三代秀衡の三男・藤原忠衡が、頼朝の手を逃れてきた義経と、 偶然彼の地を訪れた西行法師を引き合わせ、 いつも2人が藤原家の「そば」に居て欲しいという意味を込めて蕎麦を振る舞ったのが由来なのだとか。 泉屋の屋号は泉三郎忠衡の頭文字から名付けられたのだそうだ。

平泉名物、泉そば。
まずは、そば茶とそば菓子が出てくる。で、次にそば刺身、ごま和え、そば(+そば湯)が出てくる。
ちなみに、そば菓子が3つあるのは、それぞれ泉三郎忠衡、義経、西行法師を表しているのだそうだ。

口上では義経公供養に捧げられた御神酒も振る舞われる。 車を運転する事のない人限定だが、これもサービスの一環として無料。 そば刺身は、刺身というよりはお寿司のカッパ巻きを酢飯ではなくそばで作った感じの料理だったが、これが結構いける。

部屋の奥には子供を抱きかかえた女性の掛け軸があって、口上ではその掛け軸の意味も説明してくれる。 幼い牛若丸を抱きかかえる常磐御膳の姿なのだそうだ。

で、いくら食い倒れの旅とは言っても、当然ながら中尊寺にも行ってきた。 まずは、中尊寺手前の高館義経堂へ。ここは義経が藤原泰衡に打たれた地である。 義経堂は小高い丘の上にあって、北上川を中心とした周囲への眺望がすばらしい。 (衣川の合戦で有名な衣川は北上川の支流にあたる。)

高館義経堂。衣川の合戦で敗れた義経最後の地。
松尾芭蕉の「夏草や兵どもが夢の跡」の句であまりにも有名。
丘の上からは北上川が美しい。まさに夢の跡である。

ここを訪れた松尾芭蕉が「夏草や兵どもが夢の跡」と読んだのはあまりにも有名な逸話である。

中尊寺にも行ったが、弁慶堂というお堂があって、中には弁慶と義経の像が納められていた。 お寺ならば仏像と相場は決まっているのだが、武者像とは珍しい。

弁慶堂(左)と金色堂を覆う鞘堂(右)。
金色堂は松尾芭蕉の「五月雨の降り残してや光堂」の句であまりにも有名。

有名な金色堂は残念ながら写真撮影一切禁止であり、外から鞘堂を撮影するだけで精一杯なのが申し訳ない。 金色堂は思ったよりも小さかったが、金色堂の名に恥じない黄金の世界だった。

五月雨の降り残してや光堂...というわけだが、なぬ?  食い倒れ旅行を芭蕉の句2つで教養人っぽく見せかけようとしても無駄だって?

う〜む、バレましたか...

余談だが、義経堂から中尊寺に向かう途中、 複数の見知らぬ中学生が「こんにちは。」と声をかけてきた。 平泉の中学生は今時の中学生に珍しく礼儀正しいぞ。

さすがは奥州平泉文化の本拠地。 平安末期には平泉は京都に次ぐ大都市だったそうで、 今でも東京なんぞよりよっぽど文明度は高いのかもね。