今日の不可能は明日可能になれ。(PLCアダプタ買いました。)   

2007年2月21日



☆我ながらよく働いた...   
去年は残業に次ぐ残業で遊ぶ暇がない当サイトだが、悪いことばかりではなかった。 働いたおかげで収入はドカンと増えていた。 ずっと貧乏暮らしだったから実感は無かったのだが、 昨年末に源泉徴収票を見てビックリ仰天だ。

収入は典型的な個人情報だから具体的な金額は書けないが、 一昨年に比べるとちょっと大きめの大画面テレビでも複数台買える金額だけ収入が増えたことになっている。 もちろん、これには残業代だけではなく定期昇給分(無いに等しいが。)や好景気による ボーナス増額分も含まれているとはいえ、我ながらシンジラレナ〜イ状態だ。

えっ、と思って残金を調べてみたら、いつもはスッカラカンのカードに結構な残金が...

当サイトの性格上、こんなあぶく銭を見つけた日にはアッという間にアキバで散財してしまうわけだが、 去年に限って言うと帰宅時間帯にはコンビニしか開いておらず、週末も月月火水木金金モードだったから、 計画性の欠けらもない性格にもかかわらず奇跡的に財力が温存できていたわけだ。

それにしても、今話題のホワイトカラー・エグゼンプション制度が導入延期になって本当に良かったと思う。 もしこの制度が導入されていたら、あれだけ働かされても収入はビタ一文増えなかったわけだからね。 この制度、最初は年収700万円以上限定という案だったが、 高所得者限定と言いながら結局は年収400万円以上という暴論が出てきたわけで、 実態はどこが高所得者対象やねん!という人件費削減制度だったように思う。

当サイトも一応は研究開発業務1)とは言いながら、場末の三流企業の宿命で 生産が忙しくなれば増援部隊として製造ラインにも立つわけで、 ホワイトカラーかブルカラーか実態はかなりビミョー

ともあれこの収入増である。知ってしまった以上は早く手を打たないとアッと言う間に散財することは間違いない。 当サイトはダメ人間ではあるが、不幸中の幸というかダメ人間であるという自覚はある。 なので、まず増収分の半分は自分でも容易には手がつけられないような状態で貯金。(でないと絶対に残らない!) 残金のうちから車検代と大画面テレビ1台分を確保して、残りをよく働いたご褒美として散財OKという事にする。

これからの秋葉原出撃では贅沢に肉の万世辺りで豪華なステーキでもOKなのかな!?  いつもはサンボの牛丼で十分満足している口なのだけど。 (サンボの牛丼...値段の割に結構旨いと思う。)

今回のお話はそんな期間限定ストレス解消の旅、散財秋葉原出撃の獲物である。

☆食堂でネットにつなぎたい。   
と言うわけで、秋葉原で購入した獲物の一つがこれ。 今何かと話題のPLCアダプタである。

なぜこれを購入したかというと、実はWeb記事を寮の食堂で書きたいと思ったからだ。

当サイトのWeb記事はデスクトップの静音VIA-C3マシンで書いている事が多い。 今年からはこれがCore 2 Duoマシンになるハズだが、 これは現状ではまだVistaアップグレード権利付きXPマシンなので、Vistaにアップグレードして安定稼働を確認するまでは 未だVIA-C3マシンがWebマシンなのである。(早く手続きせねば...)

しかし、実は今年に入って残業が減ってきて週末の休日出勤も無くなりつつある。 つまり、Web記事を週末に書けるようになったわけ。 そんな時、夜ならともかく晴れた昼間に自室に籠もってチマチマ書いていると少々気が滅入る。 もう少し開放的な場所で気持ちよく書きたいものだと思って場所を探していたら、 寮の食堂が雰囲気がよいことに気がついた。 (当サイトの寮は窓がとても大きくて開放的であり、休日の昼間は人気もないので落ち着ける。)

で、Web記事を書くわけだが、書きながら思ったことはインターネットに接続できないと不便だということだ。 必要な情報は自室でデスクトップからノートPCにファイル転送するが、 書きながらちょっとしたことを思いついても検索サイトにアクセスして調べられないのは辛い。 ノートPCには無線LAN(.11b)が入れてあるが、これが無線LAN黎明期のものすごく古い奴で、 寮の食堂は階下で鉄筋コンクリートの建物なので減衰が激しくて複数の壁を電波が貫通できないのだ。

実はこの問題を技術的に解消する事は意外に容易いと思われる。 実測してみたところ壁越しでも壁1枚ならなんとか貫通できる。(速度は大幅減だが。) だから、無線LANのアンテナを強力な奴に付け替えればいいのである。 おそらくルーター側とノートPC側それぞれにループ八木アンテナでも付ければOKだろう。 数エレ程度ならば手先の不器用な当サイトといえど数千円の出費で自作する事は十分に可能だし、 アマチュア無線用のものなら10エレ近いものも売っている。

だが、これは技術的には簡単でも法的には立派な違法行為である。 無線LANは総務省の技術基準適合証明を受けた構成以外で使用する事はできない。

外部アンテナなら、まっとうなメーカーでは アンテナ毎に使用できる機器の組み合わせを開示しているほどだ。 (例えばBUFFALOの場合、「××(無線LANアダプタ)と○○(外部アンテナ)では 出力が強くなり過ぎ電波法違反となる為、ご使用頂けません。」 といった記載が同社のWebサイトにある。)

余談だが、秋葉原では無線LANの電波を強めると称するグッズが堂々と売られているが、 結構多くの製品が総務省の技術基準適合証明を受けていないので注意が必要だ。 ではなぜこういう製品が堂々と売られているかというと、 「いや、これはアマチュア無線等へ転用するジャンクとしての販売です。」とか言い訳できて、 認証を受けていない製品を実際に無線LANで使うと違法行為だが、売る事自体は必ずしも違法行為ではないからである。 (秋葉原で得体の知れないパーツを買うことは楽しみではあるが、無線LAN関係では法律の点で十分な注意が必要だ。 自分で判断のつかない人は、まっとうなメーカー製を購入すべし。)

とっ、話がそれたが、要するに現状の機器では食堂まで無線LAN接続できないわけで、 あぶく銭が入ったからにはそこに手を付けようという魂胆なのである。

では、どう対策するか? 

可能なプランは現状では2つ。PLCアダプタと.11nに代表される新型無線LANだ。2) ただし、.11gや.11aでは今となってはもう古いし、 MIMO対応.11nとは言っても正式版へ移行する前のドラフト版では少々不安が残る。 一方、PLCアダプタは漏洩電力問題でもめているし、寮の食堂へは当然分電盤経由となるので接続性にも不安がある。

結局、どちらにも不安定要素があって悩んだが、.11nは正式版が出るまで待つという選択肢があるから、 消去法でPLCアダプタに決定。

☆接続は実に簡単。つながればだが、速度も十分。   
購入したPLCアダプタだが、初回購入なので当然親機と子機がセットになった奴を購入。 どのメーカーのどの機種なのかは今回は伏せさせていただく。

接続の利便性もかなり考えられており、困ることは何もない。 単につなぐだけで簡単にリンクを確立できた。 これで暗号化処理設定まで終わりであり、初期設定の簡単さという意味では非常に扱いやすい。 そういう意味では無線LANよりはずっと楽ではある。 設定の容易性という意味では無線LANよりずっと優れていると思う。

とりあえず速度を見てみた。 接続は下記の4カ所でテストした。

当サイトの住処は寮の一室であり、ドアの向こうは共通の廊下だ。 当然、室内とは異なり距離が近いとは言っても電源の系統は別だろう。 食堂や廊下のコンセントは、管理人さんに話して使用許可を取って使用させていただいた。 (ノートPCはバッテリー動作でもOKだが、PLCアダプタはコンセントに接続することが必須だから。)

速度測定にはフリーソフトの転送速度計測を使わせていただいた。(作者の方にはこの場を借りてお礼申し上げます。) 約280MBのファイルを転送して速度を計測している。

当サイトのコンセント周り事情は結構混雑していて、 普段は4つのコンセントからそれぞれ6〜7個口のテーブルタップを4つ使ってPC機器周辺に引き出している。

だが、PLCアダプタは可能な限りコンセント直結で使用する事が推奨されている。このため、他の機器の電源を 空いているコンセントにつなぎ替えたりテーブルタップ自体を遠方のコンセントにつなぎ替えたりして 壁面コンセントを2つ空けて、PLCアダプタはコンセントに直結で計測している。 PLCアダプタ1台のために壁面直結のコンセントを準備するのは、PCマニアの電源環境としてはある意味かなり贅沢な使用環境だ。

なお、最初は持ち運びに便利なノートPCを子機側に使用して計測してみたのだが、 PLCアダプタよりもむしろWindowsMeとCrusoeの処理能力がボトルネックになっている節が見受けられた。 TCPでは受け側の処理能力次第で見かけの速度が落ちることが多くあるのだ。 (正確を期すならUDPで計るべきところ。) また、ノートはWindowsMeなのでWindows9X系列とNT系列のOS間では同一系列間に比べ速度が落ち気味になる事が多い。

このため、重くて持ち運びが大変だったが子機側にもPentium4-3GHzのデスクトップマシンを持ち込んで計測した。

接続位置 速度(親機→子機) 速度(子機→親機)
同一位置の2つのコンセントに並列して設置 23.74Mbps 21.88Mbps
室内でもっとも離れた窓側とドア側のコンセントに設置 22.55Mbps 21.13Mbps
室内の窓側コンセントと廊下の最隣接コンセントに設置 リンク確立せず
室内の窓側コンセントと食堂のコンセントに設置 リンク確立せず


結果的には非常に興味深いものとなった。 まず、リンクさえ確立すれば速度はかなりのものである。 参考までに100BASE有線で接続した場合の結果を示すが、77.39Mbpsであった。 (貧乏人なのでGigaEthernetへの置き換え完了はまだ先。)

有線LANの様なより線ではなく電源ラインのように高周波伝送を考えられていない ラインでこのように高い速度を出すのは容易ではないはずで、 それを考えればかなり高い速度と言えると思う。

なお、各種Web記事等で障害となる事が確認されている携帯電話の充電器と、 当サイトが相当悪さをすることを発見した電気カミソリの充電器については はじめからコンセントから外してある。だが、それ以外のACアダプタ等については そのまま接続して計測してある。それらをすべて外せばもっと速度が上がるのかもしれないが、 PLCアダプタをコンセントに直結する環境でさえPCマニア的には贅沢をさせている訳であり、 PCマニアの動作環境としてACアダプタ一切無しという環境は万が一にもあり得ないからだ。 (そもそも今回使用したPCはデスクトップなので、コンセントにつながなくては絶対に動かない。)

いろいろといじった結果では、やはり携帯電話の充電器が悪さをするようで、 また、それ以外では先に述べたとおり電気カミソリの充電器も相当凶悪だ。 両者を接続すると室内でもっとも離れた接続の親機から子機へのデータ転送では、 22.55Mbpsから4.82Mbpsまで速度が落ちてしまった。

ベストな対策として製造メーカーではノイズフィルタ付きテーブルタップを使うことを推奨している。 だが、7〜8個口のノイズフィルタ付きテーブルタップを4台も購入したら、 それだけで増設ターミナルが1台買えてしまう金額になる。 従って、この方法もマニア度が上がって使用コンセント数が増えるほど予算的に困難になるという難しい面がある。

☆PLCアダプタではつながらない場所でも、無線LANならつながる...という逆のケースもある。   
と言うわけで、 ベースが.11bだから基準が甘いにせよ速度面ではかなり満足だが、ただしいいことばかりではなかった。 リンクの確立という意味では、PLCアダプタは当サイトのような電源環境をかなり苦手とするようだ。

PLCアダプタの売りは1階と2階の間のように無線LANではつながりにくい環境でも つながるのが売り文句である。 しかし、当サイトの住環境では室内でしかリンクが確立しなかった。 (室内なら有線LANでも十分使えるし。)

1Fと2Fの間でリンクしなかったのはやむを得ないとしても、 廊下のコンセントとは同一室内コンセント間と一見あまり変わらない距離である。 しかし、コンセント間の距離は見かけの距離とは一致しない。 自室ではない廊下のコンセントは電源の系統が別のため実質的な距離がずっと長い上に、 分電盤上を経由するためリンクが確立しないのだろう。 (分電盤経由では動作保証されない事は説明書に明記されている。)

問題は、食堂までは無線LAN(.11b)はつながらないが廊下のコンセント近くならつながる事である。 当サイトの狙いは食堂でのインターネット利用だったが、それが不可能だっただけではなく、 無線LAN(それもかなり旧式な.11b機)でもつながる場所でさえリンクが確立しなかったことだ。

PLCアダプタは確かに無線LANでは電波が届かないような環境でも接続できる場合があると報告されている。 だから、無線LANではつながらない場所でもPLCアダプタならつながるという売り文句は嘘ではない。

しかし、当サイトの様な逆のケースもあるわけで、 リンク確立のために必要な環境条件が無線LANと異なるというだけであり、 無線LANよりもつながりやすいと思うのは残念ながら期待が大きすぎたようだ。 マイクロ波の減衰や反射が分電盤や携帯充電器の存在という別の条件に変わるだけであり、 つながりやすさという意味ではPLCアダプタと無線LANは条件によって 勝ったり負けたりの関係にあると言える。 無条件でPLCアダプタが無線LANに対して優位という訳ではない。

☆ノッチフィルタはよく効いているが、コモンモードフィルタはあまり役に立っていない。   
さて、ここまでならPC雑誌系WebサイトのPLCアダプタ評価記事と変わりないだろう。 それだけなら当サイトで扱う意味はないのであるが、 雑誌記事に掲載されていない簡単な実験を行って見たので報告してみたい。

PLCアダプタで最大の問題とされているのは電力線からの漏洩だ。 電力線はより線ではないので原理的に高周波の漏洩には弱い構造だ。 つまり、伝送線路のハズがいつの間にかアンテナになってしまうのである。

まず、テレビへの影響を見てみたのだが、画面のノイズ等テレビへの影響は無し。 また、SPEED TESTサイトで ADSLの速度を計測したのだが、下記の通り誤差範囲のわずかな違いだった。 PLCアダプタの普及でVDSLでの速度低下懸念が伝えられているが、 VDSLとは異なりADSLでは使用周波数帯が重ならないため問題ないのだろう。

これらに関しては特に問題は無いようで、この点では十分合格点だ。 ただし、問題は短波放送帯だ。

次に、スペクトラムアナライザで周囲の電波環境を観察してみた。 最初の測定は下記の条件で行った。 分解能帯域幅とビデオ帯域幅の比率は通常は1:1〜1:10程度に設定するのが普通だが、 今回はAUTO設定ではなく手動で1:1000とかなり大きく取った。 これは通常設定だとばらつき誤差が結構大きいためである。 (正常設定範囲内でありUncal状態になっていない事は確認済み。)

本当ならば漏洩が懸念される周波数帯で帯域内特性がフラットな広帯域アンテナを使用して測定する必要があるのだが、 この周波数帯ではそのようなアンテナは大きくなりすぎるので使用周波数帯の異なる手持ちのアンテナで代用している。 仮に広帯域アンテナがあったとしても、室内では大きすぎて展開できないだろう。 従って、本測定は陸上競技で言う追い風参考程度と思って欲しい。

フロアノイズレベル
PLCアダプタを動作させていない状態。
(中央のピークがおそらくラジオNIKKEIの電波。)
隣り合うコンセントで接続した場合のノイズ
ラジオNIKKEIの帯域にはノッチがあるが...
窓側とドア側のコンセントの場合
遠距離では漏洩が増える。
なお、図は上端が-90.0dBmで、2dB/DIVである。

スペアナにつないだアンテナは室内設置のため通常のように室外にアンテナを置いた場合に比べて短波放送の電波はかなり弱めのハズであるし、 自由空間と違って鉄筋コンクリートの室内は漏洩電磁波が反射波として戻ってくるため漏洩電力は高めに出るはずではある。 ただし、電力線がおそらくコンジットパイプを通っているだろう事を考えれば、木造住宅より漏洩自体は少なくなるハズという側面もある。 この辺りは住宅事情によりかなり状況が変わると思われるので注意が必要だ。

という事情があるにせよ、それにしても結構大きな漏洩シグナルだと思う。 最大でフロアノイズレベルより約17dBcアップとなっており、 ノッチが効いていてラジオNIKKEIの周波数帯に被っている訳ではないが、 シグナルが被っている他の短波帯放送を同じ室内で受信する事はかなり厳しいと思われる。 実際に短波受信機で聞いてみた訳ではないのでアレだが、おそらくほぼ不可能と言って良いレベルだと推測する。3) (もっとも、規制上の測定距離は10mであり今回の1.5mよりはかなり遠い。また、購入者自身の電波障害に関しては自己責任ではある。)

ラジオNIKKEIの周波数帯ではノイズレベルの上昇は1dBcあるかないか程度であり、 ノッチフィルタはかなりよく効いていると思う。 (おそらくはLCを使った物理的なフィルタではなく、 OFDMの性質を使ったFFT処理によるデジタルフィルタであろう。)

しかし、電力線からの全般の漏洩を防ぐとされるコモンモードフィルタの効果があまり見えないのはなぜだろうか?  学者さんの指摘によれば電力線の複雑怪奇な接続トポロジの結果コモンモードフィルタが効力を発揮しづらいためと言われているが、 その指摘は概ね正しいように思えるスペクトラムだ。

要するにラジオNIKKEIや7MHz、14MHzのアマチュア無線帯といった 漏洩を抑えなければならない帯域はノッチフィルタでちゃんと抑えてあるが、 それ以外では思いの外漏れているという事だろう。 (写真は掲載していないが、ラジオNIKKEI以外でも7MHzや14MHzのアマチュア無線帯域にもちゃんと同程度のノッチがかかっていた。)

一概にフィルタと言ってもいろいろあるが、ノッチフィルタはよく効いているがコモンモードフィルタは あまり役に立っていないと言えると思う。 漏れていないのではなく、漏れているが問題となるような周波数帯は抑圧している。 (というよりはじめから使っていないと言った方が正確かな?)...というイメージだろう。

また、同一位置の2つのコンセントでつないだ状態に比べ、離れた状態でつないだ状態の方が 漏洩電力が大きくなる。これは、漏洩電力を少しでも減らすために、可能な最大速度が得られる範囲内で 送信電力を最小とする電力制御が行われているためと思われる。 (焼け石に水的な側面はあるにせよ、漏洩防止技術としては正しい。)

PLCのノイズについてはPCの電源ノイズと同じレベルという意見も一部にあるが、 実際のスペクトラムを見ておわかりいただけるようにこれは現実とは明らかに異なる。 PCの電源をすべて切ってフロアノイズを測定してみたが、 図に示したフロアノイズ(PLCアダプタが動いていないだけでPCは稼働状態。)とあまり変わりない状態だった。 つまり、(当サイトが使用するPC電源に限った話ではあるが)PC電源はこれほどのノイズは出していない。 ちなみにPCの位置はスペアナのほぼ真下であり、距離的にはPLCアダプタより近い位置にある。

☆PCマニアから見ても...   
さて、食堂にはつながらなかったPLCアダプタだが、 その接続の簡易性とつながった場合の速度から考えて使い方次第では結構使えるアイテムだと思う。 (漏洩問題さえ裁判沙汰にならないレベルに抑制できれば...という条件付きだが。)

ただし、無線LANとは異なる制約事項が沢山あって、総合的に見た場合は必ずしも無線LANより優位であるとは言えない。 壁面コンセントをまるまる1つ空けるのはPCマニアの電源環境では大幅なマイナスポイントだし、 現状のままでは無線LANと比べた場合ケースバイケースで使いやすかったり使いにくかったりする。 速度的には手持ちの.11bより十分に優位だが、無線LANもドラフト版.11nでMIMOに対応しており、 PLCアダプタに十分対抗可能な速度は可能だとも思う。

アマチュア無線家から訴えられた事からわかるとおり漏洩電力問題は現状では未だ対策万全とは言えないと思う。 ノッチ帯域内では結構抑圧が効いているが、 特にノッチがかかっていない帯域ではかなり激しいノイズが放射されており、 この周波数帯では短波帯通信の受信に大きな影響が出ることが懸念される。(受信機での実機評価を準備中。)

当サイトはPCマニアであり特にアマチュア無線には肩入れする立場ではない。 既得権の保護はPLCアダプタ導入による公共への新規利益との相対的バランスで決まるべきものであり、 これにより得られる公共の利益が既得権の棄損を上回れば導入も検討すべきとは思う。

しかし、その立場の当サイトから見てもこのまま継続的にPLCアダプタを使い続けるか?と聞かれれば、 このスペクトラムを見てからでは、う〜ん...と考え込んでしまう。 漏洩電力の法的な測定距離は10mとされているが、寮の場合、部屋の中心から2mも離れればそこは隣室だからだ。 (一度漏洩した電力は電波として空間を伝搬するから、壁でほとんど反射・吸収するとはいえ 隣室に迷惑をかけないという確証が得られる距離ではないと思う。)

当サイトは既得権保護に必ずしも賛成だけではないが、 今回のPLCアダプタでは残念ながら食堂へはつながらなかった上に 漏洩電力問題で電波天文学者やアマチュア無線家に嫌がられる事をわざわざしなければならない理由もない。 特に隣室への障害ゼロという保証が担保されない限り、その点で不安が残るのがイヤだ。 (もし仮に隣室で電波障害が発生しても、おそらく隣人は原因を特定できないだろう。)

自分の判断を他人に押しつける気は毛頭無いが、と言うわけで 現状ではもう一段の漏洩電力対策が加えられない限り当サイトではしばらくはタンスの肥やしになりそうだ。

☆技術で解決が王道。政治(規制緩和)で解決はやめるべき。   
さて、PLCアダプタの可否については推進派、反対派で激論が戦わされている最中である。 この問題を扱うサイトを見ると、賛成にせよ反対にせよ、感情的なまでに激しいやりとりが繰り広げられている場合がほとんどだ。 この点で、当サイトはPLCアダプタを購入(つまり、最初は問題が比較的少ないと予想。)したが、 結局使用を控えるという判断をした(つまり、慎重に考えた上で判断を変えた。)わけである。 つまり、思考はトリ頭並だけど検討結果次第で判断を変える柔軟性は持っているつもりだ。

ここから先は当サイトの個人的感想を書くけれど、この意味において 推進派・反対派に関わらず実験結果を無視して「結論先にありき。」の方からご意見を伺おうとは一切思いませんので、 そのおつもりでお読みください。(熟慮の上で判断を変える柔軟性がある方なら、当サイトとは逆の判断でも歓迎致します。) また、PLCアダプタは複数社から発売されているが、他機種の状況は不明なため 下記は当サイト購入機種に限った話とお考えいただきたい。

電波は公共財であり、その電波状況を悪化させる技術はまだまだ技術的に未完成であると考えざるを得ない。 UWBのような場合には電波自体が情報を伝えるわけだから、一定の電力を空間に放出する事は動作原理上許容せざるを得ない。 (電力の許容値をどのレベルに置くかは問題にせよ...) しかし、PLCアダプタの場合は原理的には漏洩はゼロでも通信自体には何ら問題がない。

PLCアダプタ推進派は現状の規制を厳しすぎると言うが、当サイトには 昔アメリカで排ガス規制法案であるマスキー法に反対したビッグスリーの姿が思い浮かばれてならない。 規制緩和は時代のトレンドではあるが、ディーゼル車の粒子状物質規制や京都議定書でわかるとおり、 こと環境問題に関しては規制強化が世界のトレンドである。 (漏洩電力問題も立派な電波環境問題であろう。)

自動車の世界の場合、実はその後自動車の世界を制したのは日本車であった。 ホンダのCVCCエンジンが当時世界で一番厳しいと言われたマスキー法基準をクリアしたのである。 アメリカ車の環境対応の遅れと業績の失速について本田宗一郎は後に 技術で解決すべき問題を政治で解決しようとした事が原因というような意味のことを言ったと聞いている。

もし推進派が規制緩和で突破しようと思ったら、おそらくこれと同じ構図にはまる事になると思う。 セオリー通り漏洩抑制技術開発に努めるのが王道で、一見遠回りでもPLC技術の未来を永続的に支えると思う。

厳しい基準を設定しアマチュア無線や電波天文とも共存共栄できる技術開発に努める事が肝心。 反対者に抵抗勢力のレッテルを貼って政治的な規制緩和で実用化しようとするのは、回り回って「人を呪わば穴二つ。」となると思う。

「今規制緩和しなければ諸外国に乗り遅れる。」という声があるが、これを車の世界に置き代えて考えれば 「国際競争に打ち勝つために車の排ガス規制を緩和しよう。」という発想であり、これが成立しない事は簡単におわかりいただけよう。 つまり、実際は厳しい基準に適合できる技術力があってこそ世界市場を制覇できるという事は 自動車の世界でホンダがすでに示していると言えるだろう。

とはいえ、簡易性・無線LANとの相補性の面で見た場合、潜在的には大きな魅力があるのも事実である。 つながる場合に限って言えばだが、ワンタッチですべての接続が可能になるメリットは大きいと思う。 もはやPCはマニアだけの存在では無いのだから、漏洩問題があるからと言って 技術を捨ててしまうのには惜しい味があるとも思う。(いわゆる鶏肋って奴ですな。)

自動車だって排ガス規制はあっても有害物質排出ゼロではない。 確かに現実の漏洩は想像していたよりは大きくて、このままではちょっとマズイかなとは思うけど、 PLCアダプタは原理的に禁止されるべきという意見には同意しかねる面も感じている。 問題は許容可能な漏洩値がどのレベルなのかを (感情的な水掛け論ではなく、政治的思惑も抜きで)純科学的・客観的に再考することだろうね。

こういう問題を解決する旨い方法とは、漏洩抑制技術の開発にインセンティブを与えることだと思う。 企業の姿勢を声高に非難するのは簡単だが、それでは水掛け論が収まるとは思えない。

省エネ機器のトップランナー方式のように漏洩防止技術開発が企業の利益になるような法的枠組みを作って、 共存共栄の道に誘導することが大団円への最短コースでは無かろうか? (例えば複数社からPLCアダプタが発売された場合は、漏洩電力レベルの高い企業から割り増し税を取って、 これを漏洩レベル最小の企業への優遇税制財源とするとかね。そうすれば躍起になって漏洩防止技術の開発に励むと思うぞ。)

ちなみに、当サイトの立場はPLC積極推進派でもなく、絶対反対派でもなく... 強いて言うなら漏洩問題が技術的に解決されるまで慎重待機派と言った感じだ。 今の技術水準ではちと早いとは思うが、利便性等で捨てるには惜しい味があり、 明日の技術革新に期待と言ったところである。

「今日の不可能は明日可能になる。」4)が当サイトのモットーだし、そうなって欲しいと思う。



1)
余談だが、この制度はホワイトカラーという言葉の定義まで変えてしまっている。 ホワイトカラーは本来事務職を意味するが、この制度での定義は裁量労働制の職業全般を意味する。 つまり、本来なら研究開発職の当サイト管理人は残業代ゼロにはならないハズだが、 この制度の中ではゼロとなりえる。

山一証券や北海道拓殖開発銀行が潰れた頃なら残業代ゼロと言われても協調の余地はあった。 しかし、企業がバブル期同様の高利益を出し、役員報酬が跳ね上がっている今、なぜサラリーマンだけがこんな目に遭うのか... 隠された本音を別とすれば、納得できる説明は不可能と言えよう。

2)
中継機能付き無線LANアクセスポイントを中間地点に置くことも考えたが、 設置場所が他人の部屋になってしまうため断念せざるを得なかった。

3)
これを実機で確認するため短波を受信できる受信システムを入手検討中。

受信機もピンからキリまであって、PLCアダプタ動作下でラジオNIKKEIの受信確認をするだけなら 家電量販店で\2000〜\3000の専用ラジオを買えばいいわけだが、 これだと今回のテストで使用した後は間違いなくタンスの肥やしになってしまう。 で、もうどうせならあぶく銭のある内に本格的な受信機とアンテナを買うという手を考えている。

4)
ロケットの父と呼ばれるツィオルコフスキーの言葉より。