宇宙人はいるか?(SETI@homeを見て考えたこと)その2





しかし、それでも宇宙人はいて欲しい。そう考えるたるさんの希望をうち砕く パラドックスがあるので、まずそれを紹介しておこう。

☆フェルミのパラドックス   
フェルミというのは偉〜い核物理学者である。 このフェルミ先生が言うには、もし地球外知的生命体が存在したならば、 既に地球に来ていたはずであるというのだ。 それは、どういう事か?

簡単に説明してみよう。もし地球外知的生命体が500年程度の 時間間隔で隣の惑星系に宇宙植民できるテクノロジを持っていたとしよう。 (これは決して無謀な仮定ではない。人類でも、このレベルまで あと数百年で到達できると考えられている。)

そうすると、居住可能な惑星系を持つ恒星系が平均10光年毎に 1つ存在したとすると、375万年程度で銀河系全体に 宇宙植民できる計算になるそうだ。

一見すると、とてつもなく長い時間のようであるが、 宇宙スケールで考えるとこれはほんの一瞬である。 つまり、もし銀河系の他天体に、知的生命体文明がほんの375万年 地球より早く発生していたら、地球は彼らの植民惑星になっていて 人類の出番は無かっただろうというのである。

もちろん、そんな事実は無いので、残念ながら 地球外知的生命体は(少なくとも今までは)いないという事になる。

う〜ん、さすがにノーベル賞まで取った大先生の言う事だけあって 説得力がある。しかし、厳しい結論ですな! (繰り返しになるが、たるさんは宇宙人には是非いて欲しいのである!)

☆ドレイク方程式   
では、銀河系に知的生命体は約1000種族いるという推測値は 何から計算されたのであろうか?
それが下記に示したドレイク方程式 という計算式である。

N=R×f×n×f ×f×f×f        
変数 変数の意味 変数の推測値
銀河系に存在する知的生命体種族の数
(電波による通信が可能な技術レベルを想定)
0.01〜2×1011種族
銀河系で1年に生まれる恒星数 10〜20個/年
恒星が惑星系を持つ確率 0.1〜0.5
その惑星系に存在する生命に適した惑星の数 1〜2個
その惑星に生命が発生する確率 ほぼ1
その生命が知的生命体に進化する確率 0.01〜1
その知的生命体が科学技術文明を築き上げる確率
(電波による通信が可能な技術レベルを想定)
0.01〜1
その知的生命体の文明としての寿命 100〜1010


計算してみたのだが、推測値のバラツキが大きすぎてよくわからない結果となった。 とは言え、2×1011種族というのは いくら何でも大きすぎだろう。 なんせ、全銀河の恒星数が1×10〜2×10個 程度だからだ。こんなに身近にいたらSETI@homeプロジェクトで 捉えられなかったはずがない。

昔、本で読んだ約1000種族という値はもっとも中間の値を使ったという ところだろう。(約1000種族というのは最大値と最小値の対数平均値に近い。)

ところが、推測値を見ると変数によって予測範囲幅が桁違いに異なっている。 だいたい×f× n×f までは精度が良いが、 ×f×f は精度が悪い。特にがひどいことがわかる。 ここまで幅があると、それ以前の変数をまじめに計算した意味がないではないか!

これは、neまでが、天体現象なので 観測によって精度良く測定されているのに対し、 以降は進化論・文明論になって 予測精度がガクンと落ちてしまうことに問題があると思われる。

☆よっしゃ! ムリヤリ再計算してみるど!   
よっしゃ、ではこの精度の悪い 以降の変数を無理矢理たる流に 再計算してみようではないか!(無謀???)

勝手に都合良く数字を並べても、「宇宙人はいるハズ!」 という自己満足は得られない。 かといって、専門家でもないたるさんに完全な科学的考証など無理な話である。 (できるんだったら、もう専門家が精度を上げているハズだ。) ここは、屁理屈でもいいから根拠が欲しいところだ。

と言うわけで、無い知恵を絞って考えたのが 「エルゴード仮説」の導入である。

えっ、エルゴード仮説って統計熱力学の話でしょうって?  その通り! だから、この仮説を進化論や文明論に持ち込んだら、 その筋の専門家から張り倒されること必定である。 まあ、お遊びって事で笑って許してくださいよ。

ここで簡単にエルゴード仮説について説明しておく。 これは、統計熱力学において使われる概念で、 ある多粒子系の集団平均が、それを代表する1粒子の 時間平均と等しくなるという仮説である。 (ただし、時間平均は十分に長時間取らねばならないとされる。)

これをドレイクの式に当てはめてみよう。

まず、 以降の各変数は各惑星での生命体進化の平均確率を表している。 ここで無謀にもエルゴード仮説を使うと、その確率は ある惑星での生命体の時間平均で置き換えられる事になる。

ここで、ハッとお気づきになるだろう。 ある惑星として「地球」というサンプルがある事を。

☆エルゴード仮説で変数置換   
地球が誕生したのは約46億年前とわかっている。 また、はじめて地球に生命が誕生したのは約40億年前との事だ。

次に、知的生命体すなわち人類の誕生はいつからなのであろうか?  これは猿人の時代からと考えて良さそうだ。 猿人の時代がいつから始まったかは諸説あるが、化石から見ると 約320万年前のアファール猿人から、ミトコンドリアのDNA解析から見ると 約500万年前からという事になりそうだ。

無線通信気技術の発明はいつからだろうか?  電磁波を発見したのは周波数の単位Hzで有名なヘルツだが、 かれは通信としての実用化はしなかった。 つまり、1895年のマルコニーによる無線実験の成功と 考えていいだろう。(同年のポポフという説もある。) つまり、たったの107年前である。

それを計算して表にまとめてみたのが次表だ。 なお、文明の寿命は残念ながら置換できなかった。

変数 エルゴード仮説で置換後の変数 地球での時間平均確率
(最後の項のみNの最大・最小値)
:その惑星に生命が発生する確率 生命誕生からの経過時間/地球誕生からの経過時間 40億/46億=0.87
:その生命が知的生命体に進化する確率 人類誕生からの経過時間/生命誕生からの経過時間 320万〜500万/40億=0.00125〜0.0008
:その知的生命体が科学技術文明を築き上げる確率
(電波による通信が可能な技術レベルを想定)
無線通信発明からの経過時間/人類誕生からの経過時間
107/320万〜500万=2.14×10−5〜3.34×10−5
:その知的生命体の文明としての寿命 その知的生命体の文明としての寿命
(置換できず。)
100〜1010
N:銀河系に存在する知的生命体種族の数 置換後の値を使ったN 最大値:46500
最小値:2.33×10−6


むうぅ、最大値と最小値の幅は少し減ったが、まだ幅が広すぎる。 ちなみに、最大値と最小値の対数平均値は0.33である。 高校時代の本に書いてあった約1000の種族から 0.33種族に格下げか...トホホ。

☆何もわかっていない文明の寿命   
まず、この計算であるがの値がまじめな学者さんの値でほぼ1 なのに対し、たる流再計算では0.87だから、ハチャメチャ論理の割には 結構当たっていると言えよう。

問題なのは文明の寿命で、学者の説でも 100〜1010とバラバラだ。 100年と言えば、人類が明日滅びた場合の値だし、 1010年といえば現在までの宇宙の年齢にほぼ近い。 つまり、偉い学者さんも、この点については何の定説も無い状態である という意味に捉えて間違いなかろう。

たる流再計算は変動幅を3桁ほど縮めたが、焼け石に水と言ったところだ。

詰まるところ、宇宙人がいるかどうかは、我々人間の文明がどれだけ 長続きできるかどうかにかかっているのである。 (なぜならばの実績値が伸びるから。)

明石海峡大橋の夜景
(このような科学技術文明は銀河系内では地球だけの存在なのか?)

そして、たる流再計算(平均値使用) によればN=2すなわち銀河系内に人類以外の知的生命体文明が 最低限存在するためには、人類が少なくともあと43万年は 今の文明を維持し続けなければならない事を示しているのだ。

つまり、宇宙人がいるかどうかは、まさに地球人自身の問題なのである。

宇宙人よ。必ずどこかにいてくれよ。 たるさんは連絡を待っているぞ!




今回の写真は 森田 敏雄 氏のWebサイト Free Photos から著作権フリーの画像を 頂いて使用させていただきました。森田氏に深く感謝いたします。