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人々の網の目 - Web of People -

 関係雑誌目次一覧がよい。目次が電子化されているのは『日本漢学研究』『太平詩文』『東海近世』の3誌。いずれも一般にはまず見かけることのない雑誌である。恐らくは、ここで電子化されなければ、事実上は限られたサークル内での流通にとどまるだろう。だが、一見ささやかにみえるこの電子化は、この3誌の存在を世間に知らしめ、その存在を訴える。この3誌に潜む研究者コミュニティーの存在を語りかけてくる。たとえば『日本漢学研究』。この雑誌は国立国会図書館が編纂する雑誌記事索引や国立情報学研究所が構築する総合目録データベースに収められている。しかし、これらの巨大データベースを通じてみえてくるのは、どこかでだれかが出している一雑誌の姿に過ぎない。よほど想像力を働かせなければ、この雑誌、『日本漢学研究』に集う人々の姿は見えてこない。だが、発行者らの手による電子化に遭遇すると、また違った印象を受けるだろう。データベースの一部分でしかなかった雑誌がリアルな存在感を持って感じられる。そこに集う人々の存在をリアルに感じられる。ささやかではあっても、発行者による電子化こそがもたらせる、効果とインパクトだろう。(2003-04-11記、2003-04-26補)

[追記]
 当初は「研究者コミュニティーの存在を語りかけてくる」までの短文であったが、意を尽くしておらず、今回続く文章を大幅に補った。(2003-04-26記)


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