発信者は日本語の方言を研究する国立国語研究所第2領域地理的多様性グループの一員。研究員として取り組んだ数多くの成果のうち、ここでは方言地図と『方言文法調査ガイドブック』を公開している。前者は方言の用例をマッピングして視覚化したもの、後者は「方言の文法を調査する際に求められる基本的な知識と具体的な項目を提示する」もの。いずれもより広範に利用されることを願って、過去の研究成果を電子化したものだろう。ただガイドブックはPDF版のみでの公開という点が気になる。勝手な望みとは承知しつつも、htmlのような参照しやすい形式での公開を望みたい。ところで、もう一方の方言地図では、地図そのものに加えて、方言地図の作成に用いる白地図・記号セットが公開されている。実際に方言地図を作成する方法を説明する一文も附され、行き届いた配慮に感心させられる。方言研究者にはこのセットを利用してぜひ新たな方言地図の作成に取り組んで欲しい。そして作成した方言地図をここと同様広く公開して欲しい。そのようなサイクルが生まれ、方言研究がサイト名称にあるように「宇宙」のごとく広がっていけば、発信者の苦労も報われるというものだろう。（2003-07-21記）