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榎本正樹さん(えのもと・まさき/現代日本文学、情報文学、情報文化論)
@eno Masaki Enomoto's WebSite<http://www.asahi-net.or.jp/~fy5m-enmt/>
公開日:1996-04-21?

 目につくコンテンツは3つ。村上龍書誌情報<http://www.ryu-info.com/>、インターネット演習、そしてWebNikki。村上龍著作書誌情報と村上龍参考文献案内とで構成される村上龍書誌情報は明らかに人の関心を掻き立てる。だが、いきなりそこに飛びつくのは仕方がないとしても、そこで完結して欲しくはない。青山学院女子短期大学での1996年以降の演習内容を記録したインターネット演習についても同じことを言いたい。なぜなら、WebNikkiに目を通してこそ、村上龍書誌情報もインターネット演習も、よりその深みを感じられるはずだからだ。
 この日記、その始まりの時点で「フィクションとしての日記」(1996-04-28)の実践を宣言していることに気がつきたい。インターネットで公開された日記、つまりまさにWebNikkiの特性は、第三者に読まれることを前提にしていることだ。である以上、その記述は読み手の存在を意識せざるを得ない。その意識から生まれるのは、「書き手の主観性の前に、すべての事象がフィクション化される」日記であり、「『物語化』され」た日記であろう(1996-04-28)。この見立てに誤解がなければ、ウェッブ日記が社会心理学者の関心をひき、その特性が明かされるより前に、ウェッブ日記を「フィクションとしての日記」と規定し、その名もWebNikkiと題して日記をつけ始めた発信者は、まさに慧眼の持ち主といえるだろう。
 だが、これ以上、多くを語るべきではない。過去から現在に下ってみてもいい。現在から過去に遡ってみてもいい。とにかく、まずは自分の目でこの日記の世界に浸ってみて欲しい。たとえば、村上龍と出会い(1997-07-03)、構想一年を費やして村上龍書誌情報を公開し(1999-03-23)、Kyoseichu.comを立ち上げていく(2000-03-01)過程が見てとれるはずだ。一定の距離感を保ちつつ、ふれあい、むすびあう研究者と作家の関係が見てとれるはずだ。そして、この関係を見てとるのと、とらないのとでは、村上龍書誌情報の受けとめ方もずいぶんと異なるだろう。発信者が持つリアリティを感じてこそ、一つひとつのリソースは生きてくる。冒頭に「いきなりそこに飛びつくのは仕方がないとしても、そこで完結して欲しくはない」と述べたのはこういうわけなのだ。(2002-08-15記)


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