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榎木英介さん(えのき・えいすけ/発生学、研究問題)
たまごの部屋〜発生生物学と進路の広場<http://www.asahi-net.or.jp/~en7e-enk/>
公開日:1996-04-20

 元来はアフリカツメガエルを用いた発生学の研究をしていたとのこと。このため発生学の魅力やアフリカツメガエルの生態を語るコーナーが充実している。「高校生、大学学部生、一般の方を対象に、発生学のおもしろさ、不思議さ、その魅力を、なるべく難しい物質の名前を抜きで語ってみたい」という言葉通り、説明はわかりやすい。
 だがそれだけではない。視線は研究という行為の本質に終始向けられている。たとえば「遺伝子の解析に発生学が終始している今、発生の本質が忘れ去られているような気が」するという指摘。あるいは「まだ、全部の要素を見つけ切っていないからだ。しばらくはそれが続くだろう。でも、そのあと、どうなるのだろうか。ゲノムプロジェクトが終わったあと、どうなるのだろうか」という指摘。研究の醍醐味を語りつつも、それに溺れることがない。そして研究の意味を不断に問う。あえて一言に集約すれば、バランス感覚のよさ。この姿勢には感心させられるばかりだ。
 この姿勢を反映したものとみるべきだろう。発信者は「研究問題メーリングリスト」<http://www.researchml.org/>を主宰する等、大学院生や若手研究者の研究活動を様々な形で問い続けてきた人物でもある。この手の話題はややもすると単なる愚痴のはけ口になりかねない。しかし、ここは一貫して建設的だ。研究問題を若手研究者や大学院生の待遇改善問題だけに矮小化はしない。待遇問題を重視しつつも、視野を広げて「研究における知の開放と共有」の可能性を探っていく。その一つの手段として、研究問題を扱うNPO法人「研究問題」の設立を模索する。いままさに進行中のこうした取り組みの端々に、発信者のセンスが光る。(2002-05-21記)


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