中国は湖南省江永県。この地に数百年に渡って伝わるとされる女性だけの文字、女書を扱う。公開されているのは、後に『中国女文字研究』(明治書院、2002年)として結実する1993年以来の研究成果。冒頭の問いかけが印象的だ。引用しよう。
「なぜ、この地方の女性たちはこの文字を創ったのでしょうか?この4つ問いかけにゆっくりと答えていくさまは、読み手を現地へと誘う紀行文の趣きがある。実は各ページの記述は別個になされた学会報告や調査報告に基づく。しかし、いずれのページにも違和感はなく、統一感を保ったまま読み進められる。ここでは、一つの完結した作品世界が広がっているといえるだろう。タイトルに掲げられた「World of Nushu 女書世界」に偽りはない。関心の対象をコンパクトにまとめ、一つの作品に仕上げている発信者の力量に深く感心させられる。(2002-08-21記)
だれが、いつこの文字を創ったのでしょうか?
いったい、どのように女性たちはこの文字を学び、伝えたのでしょうか?
この文字にどんな価値があるのでしょうか?」