人々の網の目 - Web of People -


ホーム > あ行 > > 粟屋剛

粟屋剛さん(あわや・つよし/医事法学、医事法社会学、生命倫理学)
医事法・生命倫理研究室<http://homepage1.nifty.com/awaya/>
公開日:1996-??-??

 たとえ、それが常識と相容れなくても、たとえ、それが実感とは異なるとしても、単純な賛否を超えて問いを立てること。それが科学の一つの役割だろう。臓器売買や人体の商品化に関心を寄せる発信者はこう述べる。「そもそも、臓器売買はなぜ悪いこととされるのだろうか。自分が自分の腎臓を売ってなぜ悪いのだろうか。なぜそれは法律で禁止されなければならないのだろうか。……少なくとも、これらは、殺人が非倫理的であり法で禁止されるべきであることが自明であるほどには、自明ではない」(「臓器売買〜インドの事例〜」)。この言葉に衝撃を受ける人もいるだろう。だが、まずは賛否を抜きに、ここで公開されているインドにおける臓器売買の実情や中国における死刑囚からの臓器移植事情の報告に耳を傾けたい。これまで主にマスコミを通して聞き知ってきたことの一部は、少なくともステレオタイプである可能性に気づかされる。そして「事の是非は別として、事実として臓器は限りなく商品に近づいて来ている」(「臓器売買〜インドの事例〜」)という発信者の言葉が、事実を語っている可能性に気づかされるだろう。論文と関連づけて多くの写真が掲載されており、それらが発信者の指摘をうまく補っている。生々しい写真は、物事の理解を単純化し、発信者の緻密な議論を離れた雑な理解を促す危険性も否定できない。だが、ビジュアルの有効な活用方法であることも事実である。この両面を見つつ、ここでは発信者側の努力と評価したい。
 もう一つ、ナビゲーションの良さが際立っている点も評価すべきだろう。アイコンが巧みに用いられ、サイト内容を把握しやすくなっている。発信者自身によるサイト構築にこだわらず、シェアウェア作者に制作と管理をゆだねたのは、一つの見識かも知れない。このようなコラボレーションの今後の展開についても、注目していきたい。(2002-07-01記)


ホーム/ランダムリンク

Copyright (C) OKAMOTO Makoto 2002- All Rights Reserved.