人々の網の目 - Web of People -


ホーム > あ行 > > 麻生建

麻生建さん(あそう・けん/ドイツ研究)
GermanStudies<http://home.q04.itscom.net/asoh/>
公開日:不明

 ドイツ語によるナビゲーションにとまどいつつ、視線を下のほうに落とす。そこには"To the first visitors: Click here at first!" というメッセージ。クリックして次のページに進むと、現れるのは日本語のナビゲーション。だが、ほっとした瞬間新たなメッセージが目に入ってくる。「ここからでも可能ですが、できれば前のページに戻って最初の3項目の上をクリックしてください」。首を傾げながら、もう一度トップページへ戻る。「Einladung」と書かれた最初のアイコンをクリックすると、そこにあるのは「ドイツ研究への誘い」と題した一文。なるほど、わかった。「Einladung」とは「招待」のこと。一連の手間は発信者からの少々手の込んだ招待状か。見事に術中にはまったのかもしれない。
 さて招待状の中身は重厚だ。ドイツにおける日本の存在感と日本におけるドイツの存在感を比較すると、「ドイツにおける日本の存在感」ばかりが大きくなっている「一方通行に近い状態」にあるという。そこで問う。「こうした状態を放置しておいてよいのであろうか?」と。そして類似した状況にある他者への関心を呼び起こそうとし、対話を継続する必要性を訴える。一連の議論には、日本におけるドイツ研究をライフワークとする者ならではの強い危機感と使命感が感じられる。
 この二つの思いが具体的な形となったのが、公開されている二つの資料 ‐「Informationen ueber Deutschland」と「ドイツ語圏の学術機関の情報と奨学金」- といえるだろう。前者はドイツへの関心の目覚めに、後者はドイツへの関心の深化に資するところが大きいはずだ。さて、この「ドイツ語圏の学術機関の情報と奨学金」では「このページの読者」として、「ドイツ語圏の大学・学術機関における研究を志す人であれば誰であれ、分野に関わりなく役に立つことが目ざされています」と述べられている。これは印象的だ。読者対象を明言することは往々に読者を限定する方向 ‐特にページが読者を選ぶという方向‐ にいきがちだ。しかし、ここでは読者がページにあわせるのではなく、ページが読者にあわせることが志向されている。ドイツとの対話をはかる後進をはぐくもうとする発信者の姿勢の現われと思いたい。(2002-03-03記、2002-03-18補)


ホーム/ランダムリンク

Copyright (C) OKAMOTO Makoto 2002- All Rights Reserved.