「会計学、組織論、経済学の各境界領域にある学問だと管理会計を理解しております。……。実践的なものに深入りしても、学問的な意義がないでしょうし、実践を離れては成り立たない領域です……」。
専門である管理会計という学問の位置づけ、そしてそこに生じる悩みをこう語っているのが印象的だ。実学志向の強い学問、いや実学そのものといったイメージが先行しがちな領域だけに、このような率直な発言はありがたい。さてイメージではない実像は、大学での「原価計算」講義資料から読み取れるだろう。原価計算総論、原価予測、実際原価計算総説、部門別原価計算、総合原価計算、標準原価計算、直接原価計算と、全7章構成の重厚な講義資料からは、その先にある管理会計という学問の奥深さが十分にうかがえる。(2002-03-26記)