冒頭で述べられているように、主たる目的は学生のための情報提供。しかし、業績リスト等に見られるように教育以外の発信も盛んだ。発信者自身が述べているように、「研究・教育・行政の3職務をコツコツとこなし続けている普通の教授の本当の姿が、自ずと表れている」サイトだ。だが、研究・教育・行政のどれかというよりは、一人の学者としての活動にも注目したい。調布駅南口事件、草加事件といった少年冤罪事件に関するコーナーがそれだ。朝日新聞都区内版の小さな記事をきっかけに、関わることになった調布駅南口事件。事件の経過報告をサイトを開設した1996年11月以来休むことなく続けてきた。「調布駅南口事件に関与して」(「子どもの権利通信」78号、1998-02)で述べた「弁護士とは異なる立場からの貢献可能性」の自覚に基づくのであろうが、並大抵の努力ではなかっただろう。特に「研究・教育・行政の3職務をコツコツとこなし続け」と述べる発信者が、事件の公判と行政の仕事の中心でもある教授会が「バッティングした時には、解雇されてもやむをえないと決断し、教授としての基本的任務である教授会の方をサボることとした」と言い切る、その信念にはこちらの身が引き締まる。職務に優先する使命を前にした学者の良心がここにある。(2002-05-11記)