専門は科学史、中国天文学史。講義で用いる科学史の文献リスト、クローン・出生前診断・安楽死の文献リストが充実している。リスト形式の入門編に加え、文章形式の上級編があり、さらに学習を進めるための参考文献の探し方、読み方のアドバイスがある。完成した資料を与えられて満足するのではなく、そこを出発点に学びを深めていって欲しい……。学生に対するそういった思いの現われだろうか。
もう一つ忘れてはならないのは、性暴力問題への取り組み。かつての在籍校での性暴力事件を一つのきっかけに、この問題に取り組むようになったという。公開されている数々のリソースは、男性教員として女子大学でこの問題にふれてきた経験に裏打ちされている。たとえば「私見・大学の授業などで性暴力について話すときの注意点」。ここにみられる配慮の細やかさは、自ら実践してきた発信者ならではだろう。性暴力は女性問題ではない、男性問題なのだという指摘を謙虚に受け止めつつ、丁寧に読み込んでいきたい発信だ。（2002-06-09記）