発信にあたっての目的意識が明確だ。いわく、「法と医療、医療と自然、そして法と自然、という事柄に関心を抱く人々へのより深い問題提起の場となること」「私の講義を聴いてくれている学生への掲示板とすること」「全ての人々に私の教官としての活動内容を公開する場と」すること。こうした目的は題目に終わってはいない。いずれもサイトの内容に反映されている。たとえば、問題提起と広告と題されたコーナーは「深い問題提起の場となること」を、また研究費の支出明細を公開するコーナーは「教官としての活動内容を公開する」ことを文字通り実現しているといえるだろう。
なかでも医療と法との関係にかかわるイシューごとにページが特設されている点に注目したい。扱うテーマは臓器移植、人工妊娠中絶と不妊治療、そして角膜移植。いずれも論争的であり、異なる意見への寛容さが重要となるテーマである。それだけに各ページに掲げられた「丁寧に考えていかねばならない」という、よりメタな問題提起には目が覚まされる。各テーマについて自身の論文を公開し、推薦する文献を記す配慮もうれしい。また法思想史研究者である自分が「なぜ、医療と法との関係を考察対象とすることになったのか」を語る姿勢には頭が下がる。特に「今の時代の問題を法的に考える、これが法思想史の実践そのものである」という一言には心打たれるものがある。ただし最近では更新が進んでいないようだ。だが扱うテーマがいずれも今の問題である。発信者の労苦は承知の上で、それでもあえてよりいっそうの充実を願いたい。（2002-04-13記）