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安彦一恵さん(あびこ・かずよし/現代倫理学、ドイツ観念論、科学論)
ABIKO-Homepage<http://www.sue.shiga-u.ac.jp/WWW/prof/abiko/abiko.html>
公開日:1996-02-02

 公開文献データベースと題された文献目録群が圧巻。リベラリズム、相対主義、ファシズム論、価値論、正義論、徳倫理学、ランドスケープ論、資本主義論、ポストモダン/モダニズム論、共同体主義、歴史論等々。いずれもここで公開されている目録の名称だ。これらをみれば「群」という表現が決して大げさではないことがわかるだろう。ここからは発信者の関心が分野の枠を超えて大きく広がっていることが感じとれる。目録のクオリティも高い。特にリスト化された文献一篇一篇にキー・パーソンとキー・タームが附されていることに注目したい。まさに労作という言葉にふさわしい。
 さて、目録や年表はそのクオリティが高ければ高いほど、いきおい便利で役立つ「ツール」とみなしがちだ。しかしこの便利さと有用さだけに目を奪われるべきではない。こうした恩恵のおおもとにあるものに気がつきたい。またこの恩恵の成り立ちに気を配りたい。たとえば、業績として公開されている「「自然の価値」をめぐって」(科学研究費研究成果報告書『応用倫理学の新たな展開』所収)をみてみよう。参考文献リストをクリックすると、公開文献データベースにある価値論関係文献にたどりつく。はじめに論文があって、ついで目録がある。論文という形をとる発信者の問題意識があって、目録がある。こうした論文と目録の結びつきは、目録のおおもとに一人の研究者が精力を注いだ一篇の論文があるという当たり前の、しかし見失いがちな事実をを気づかせてくれる。
 もう一つ、発信者の論文が数多く掲載されている電子ジャーナル「DIALOGICA」にも気がつきたい。ここでは、オンラインでの言及に対する応答が掲載され(第1.11号)、紙媒体で発表した論文の詳細バージョンを公開されてきた(第7.91号)。電子ジャーナルの特性を生かしたこうした先駆的な試みは、「論争的な論稿の公表を主たるものとして考えている」というジャーナルのスタイルとあわせて注目すべきだろう。(2002-03-31記)


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