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阿部圭司さん(あべ・けいじ/証券投資論、会計情報と株価)
Abek Laboratory on World Wide Web<http://www1.tcue.ac.jp/home1/abek/htdocs/>
ABEK@WASEDA UNIVERSITY<http://faculty.web.waseda.ac.jp/abek/>
Abek Laboratory Bleachers<http://member.nifty.ne.jp/abek/>
公開日:1997-??-??

 研究領域の説明が充実している。特筆すべきは証券市場分析の項目だろう。効率的市場仮説とアノマリーという2つの事柄を新たな頁を設け、さらには図表を附して解説している。素っ気なく「証券市場分析」と記されているだけであれば、それこそ「株で儲ける方法」の研究か、という安易な誤解を受けかねない。しかし、これほど行き届いた解説を前にすればどうだろう。「人が自己の利益を目的として……行動する様子を観察するには、証券市場は最もふさわしい」という言葉に、なるほどそういうものかと納得させられるのではないだろうか。単純に数字と結び付けてしか考えられなかった証券市場が、また別の顔を持っていることに気づかされるのではないだろうか。
 同様のことは会計情報と株価の解説にもあてはまる。実証分析の類型を示し、先行研究を挙げるといった読者への配慮が嬉しい。だが、それだけではない。「会計学者がこの研究に対する姿勢とは一歩距離を置いている」と自身の立脚点を語り、同時に証券市場分析の立場からの、この分野の位置づけを語る。ここでなされているのは、研究領域の表面的な解説ではない。そうではなく、取り組む研究領域への踏み込んだ解題だ。
 自身の態度を明らかにしつつ、対象と対象とを関連づけ、進める研究の方向性を示されると、門外漢であっても、この領域への関心がおのずと湧き上がってくるだろう。そのときは、公開されている数々の研究論文や証券論の講義レジュメに目を向けたい。これまでは難しそうな資料であったものが、これもまた別の顔を持っていることに気づかされるのではないだろうか。発信者は遠慮がちに「胸を張って公開できるレベルではない」と述べている。ここでその当否を論じることはできない。だが、一つ言えることがある。発信者が「情報公開の一環」と述べる論文の公開。この公開を生きたものにしているのは、研究の領域と姿勢の意を尽くした解説である。言い換えれば、情報公開を生かすための情報公開、情報公開を生かす上での情報公開である。みならいたい姿勢だ。(2002-08-08記)


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