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ICU Press 期成会とは


*1「International Christian University (日本の)国際基督教大学」
(『ジーニアス英和辞典』843頁)

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*3「ある事をなしとげようと強く期すること」(『日本国語大辞典』626頁)

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 1996年5月29日発行の学内学生広報誌『The Weekly Giants』(No.618・9)に掲載されたインタビューを収録しておきます。

(略)

(インタビューは再構成してあります)

――ICU Press期成会とはどのような団体なのでしょうか。

 今年卒業したID97の学生2,3人が中心になって活動しています。在学中の学生にもある程度協力していただいています。ただやはり多少戦力不足ですね。在学中の学生にも是非加わって欲しいところです。会員は常時募集しています。

――ICU Press期成会を始めた動機は。そしてその目的は?

 活動を始めたのは,将来的にはICUにもプレスを組織として持って欲しいという思いからですね。海外の大学は一般的にユニバーシティープレスを持っているのに対し,日本の大学でプレスを組織しているところはわずかです。しかし,東京大学出版会などの積極的な活動が示すように,大学におけるプレスという存在は非常に重要なんですね。まあ,これはぼくの個人的な信条に過ぎませんが,ICUのような小規模大学がひとりよがりではない独自性を発揮していくには,プレスという組織が不可欠だと思うのです。

 ICUには比較的こまめにお手製のプリントを配る先生が多いように感じます。そういったプリントは,一学期分まとめてみると実に素晴しい一冊の本となるようなものばかりなんですね。しかし現状では多大な努力を払って先生方がおつくりになったそういう一種の授業ノートは,どんどん外に流れていってしまう。岩波や東京大学出版会といったところから出版されているんですね。もちろんそれはICUの先生方が活躍なさっているわけで,それ自体は素晴しいことなんですが,ICUという学校法人にとっては喜んでばかりはいられない状況だと思うのです。ICUという土壌で育まれた重要な研究が学外に流出しているわけですから。

 このような考えに対しては,器量が狭いという見方もあるでしょうが,やはりICUで生み出された優秀な研究は,ICU自身が世間に出していってもいいんじゃないでしょうか。いや,そうあるべきだと思います。先生方の研究は,ICUという学校法人がコミットできる数少ない,かつ貴重な財産なのですから。博士論文,修士論文,学士論文も然りです。実際,東京大学出版会では毎年優れた博士論文を公刊しています。

 まあ,今すぐ東京大学出版会をめざすのは無理ですが,とにもかくにも多くの先生方が実際に教室で配っているプリントなどを,簡単な冊子にするような組織,つまりプレスをICUに持って欲しいんですね。

 まあ,そんなふうに考えて,教職員や学生の方々がICUにおけるプレスの可能性や意義を考慮するなにかのきっかけになればと思って設立したのが,ICU Press 期成会というわけです。もちろんICU Press 期成会と学校法人国際基督教大学との間にはなんの関係もありません。またICU Press 期成会がいまいったようなプレスになろうというわけでもありません。この会の目的はあくまで,ICUにおけるプレスの可能性・意義を考える上での材料を提供することです。プレスがあれば何が可能か,といったプレスのメリットを具体的に伝えていこうというわけです。

 

――「読書アンケート 1996」という小冊子を出版されましたが,これにはどのような意図があったのでしょうか?

 まあ,メリットを実感してもらうということですね。自分自身の経験や下級生の話などから,大学に入ってから専門の勉強が忙しくなる前までの時期に,どういう本を読んだら良いのかわからないということが問題の一つだと思っていたので。情報に止まらないこうした知識を発信していくという機能は,プレスというものの存在意義の一つだと思うのです。実際,東京大学出版会のPR誌である『UP』では毎年4月号で「東大教師が新入生にすすめる本」という特集を組んでいて,毎回好評のようです。

 「読書アンケート 1996」では『UP』のこの企画や,みすず書房がPR誌『みすず』で毎年行っている読書アンケートを参考にして,先生方に1996年中に読まれた本の中で

1,最近5年間に公刊されたもの
2,特に印象的かつ刺激的であったもの
3,学生に一読を勧めるに値するものを挙げて頂きました。

 まあ,「読書アンケート 1996」という小冊子が読者の方々にとって有用有益でありうるならば,プレスという組織の存在意義を考える上でのいい資料となるのではないでしょうか。そう願っています。

 

――ところで,活動費などはどうしているのでしょうか。「読書アンケート 1996」だけでも随分印刷代がかかっていると思うのですが。

 はいー。(笑)。「読書アンケート 1996」は限定1000部ですが,全額自腹です。ちょっと痛い出費ですが,まあ好きでやっていることですから。誤解のないようにあらかじめ申し上げておきますと,ICU Press 期成会は金銭も含めてどこからも完全に独立しています。あくまで金と暇とやる気のある人間の集まりです。とはいっても就職してからは,あるのはやる気ばかりですね。残念ながら。

 

――今後はどのような活動を予定されていますか。

  「読書アンケート  1997」とID02の学生向けの「新入生にすすめる本  1997」の企画・編集・発行を予定しています。それ以外の活動は構想どまりですね。というのは,今回の「読書アンケート  1996」を現在直接的にICUに関わっている方々がどのように受け止めてくださるかによって,ICU Press 期成会のあり方も変わってくるのですから。大学行政の方,教員,職員,同窓会,そして何よりも学生の方が,我々の活動をどのように判断し,プレスというものの可能性あるいは意義をどのように解するか,多分にこれ次第なのです。

 そして冒頭でも申しましたが,ある程度仲間が必要ですね。とくにいま以上の活動をするには。在学生の方がこういう形の"volunteer"に加わってくださると本当に嬉しいですね。

(略)


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