2003-02-14(Fri)の編集日誌に以下のように書いた。
梶井厚志さんによる「社会経済研究所の存亡について一言」のページ。同じ問題に関する日本経済学会有志の声明文[pdf]「京大経研と阪大社研は独立の研究所として存続すべきである」。はっきり言えば「リストラ」か……。ことの当否を評価するだけの情報を持ち合わせないが、それだけになおさらこうした当事者からの発言はありがたい。附置研究所についてまず調べてみよう。
いくぶん日にちが経ってしまったが、附置研究所について多少調べてみた。そもそも58研究所のまともなリストがウェッブ上に見当たらない。そこであくまで個人的な関心からリストをつくってみたので公開しよう。ただし、内容の正確さについては責任は持たない。参考程度にとどめて欲しい。
ところで、附置研究所の設置根拠は国立学校設置法にあるという。これも参考までに紹介しておこう。
国立学校設置法(昭和二十四年五月三十一日法律第百五十号)
(大学附置の研究所)
第四条 政令で定める国立大学に、研究所を附置する。
2 前項の国立大学に附置する研究所の名称及び目的は政令で、その位置は文部科学省令で定める。
3 第一項の国立大学に附置する研究所で政令で定めるものは、国立大学の教員その他の者で当該研究所の目的たる研究と同一の研究に従事するものに利用させるものとする。
‐国立大学附置研究所リスト‐
以上58研究所の改廃に踏み込んだのが、以下の答申である。
科学技術・学術審議会学術分科会「新たな国立大学法人制度における附置研究所及び研究施設の在り方について(中間報告)」(2003-01-15)
科学技術・学術審議会学術分科会国立大学附置研究所等特別委員会委員等名簿
第1回議事録(2002-10-04)
第2回議事録(2002-10-22)
第3回議事録(2002-11-06)
第4回議事録(2002-11-13)
第5回議事録(2002-11-25)
第6回議事録(2002-12-11)
第7回議事録(2002-12-25)
‐モノローグとして‐
既に一部で取り上げられているように、この答申の問題は「3. 附置研究所及び研究施設の見直し」で「附置研究所と位置付けることがふさわしいかを総合的に判断」するための視点として、以下のような文言を含むところにあるだろう。
エ. 組織性
研究機関として、継続的に機能を発揮するに十分な一定の人的規模を有することが必要である。
附置研究所が、全国的な機能を有しつつ、研究者個人の成果を有機的に結合し、最大限の効果を発揮して、新たな分野領域の開拓を目指すとともに、学部及び研究科と同様に学内においても基本的な組織として位置付けられ、大学の運営にも参画するなど諸般の要因を考えれば、当然、学部及び研究科に準ずる程度の教官規模が求められることになる。必要規模としては学問分野やその研究所の目的・使命により異なるものの、学部や研究科の規模や、基本的組織としての位置付け等を考慮すれば、30人程度がその目安となろう。
組織性という言葉に始まる議論だが、あっさりと研究者規模30人程度という数値的な目安が登場する。同じ文中に「学問分野やその研究所の目的・使命により異なる」との留保はあるものの、この30人という数値が一人歩きすることはまず避けられない。事実、この数値に反応したセンセーショナルな報道が既に現れている。
答申自体がいうように人員の必要規模は「学問分野やその研究所の目的・使命により異なる」。30人では少なすぎる研究所もあれば、30人では多すぎる研究所もある。自然科学・工学系、医学系に比べて、人文・社会科学系はおのずと人員の必要規模が異なってくるはずだ。にもかかわらず、30人があたかも標準であるかのような答申が出されている。これは綿密な調査や評価による実態に基づいて「附置研究所と位置付けることがふさわしいかを総合的に判断」することを放棄するに等しいことだ。
誤解のないように述べておけば、私は決して国立大学附置研究所の見直しそのものに反対しているわけではない。改廃を含め附置研究所の位置づけを見直していくことにはむしろ賛成だ。だが個別の議論を尽くすことなく、結論を出すことには賛成できない。合理性を見出せない指標を持ち出して、学問分野や研究所の目的、使命の違いを無視するふるまいには賛成できないのだ。今回掲げたリストを眺めつつ、サイトを通して各研究所の活動にふれつつ、あるべき見直しの姿を考えたいと思う。
2002-02-22:人々の網の目(第1回)(第123号)
2001-02-26:長谷川豊祐「印刷雑誌から電子雑誌へ:ハイブリッド図書館での関わり」(第091号)
2000-02-26:添田晴雄「教育学の立場から」(第056号)
1999-02-26:上村圭介「ワンストップサービスとしてのOReL」、鵜川義弘「学術情報のインターネット・アーカイブの必要性」(第021号)
2003-03-02(Sun):国立女性教育会館公開シンポジウム「女性情報を有効に使うために −女性情報シソーラスの開発と活用」(於・大阪府立女性総合センター)
2003-03-05(Wed):第1回NII国際シンポジウム「電子図書館と電子ジャーナル:新しい挑戦」(於・国際連合大学ウ・タント国際会議場)
2003-03-07(Fri)〜2003-03-09(Sun):2002年度東京大学大学院情報学環メルプロジェクト・シンポジウム(於・東京大学法文2号館)
2003-03-08(Sat)〜2003-03-09(Sun):「博物館ホームページ推進研究フォーラム」研究集会:「博物館における情報システムの現状とその活用」(於・神奈川県立歴史博物館、神奈川県立生命の星・地球博物館)
2003-03-11(Tue):シンポジウム「物質・材料系データベースの将来展望」(於・科学技術振興事業団東京本部JSTホール)
2003-03-12(Wed):ウィリアム・ウォーカー氏講演会「21世紀型研究図書館へ向けて電子図書館サービスを設計する」(於・国立国会図書館東京本館新館講堂)
2003-03-14(Fri):ウィリアム・ウォーカー氏講演会「米国における電子図書館計画の進展」(於・国立国会図書館関西館大会議室)
2003-03-17(Mon)〜2003-03-18(Tue):第1回WebCTユーザカンファレンス(於・名古屋大学シンポジオンホール)
2003-03-19(Wed):第26回NII定例研究会(於・学術総合センター)
2003-03-19(Wed):第2回スーパーSINETシンポジウム(於・一ツ橋記念講堂)
2003-03-28(Fri):情報処理学会第70回情報学基礎研究会「メタデータと情報流通」(於・情報処理学会会議室)
2003-04-24(Thu)〜2003-04-27(Sun):東京国際ブックフェア2003(於・東京ビッグサイト)
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『学術論文のための著作権Q&A 著作権法に則った「論文作法」』(宮田昇著、東海大学出版会、1400円)
『国会議員要覧 平成15年2月版』(国政情報センター、2505円)
『文部科学白書 平成14年度 新しい時代の学校〜進む初等中等教育改革〜』(文部科学省編、財務省印刷局、2300円)
『読売年鑑 2003年版』(読売新聞東京本社、2857円)
『読売年鑑 2003年版別冊 分野別人名録』(読売新聞東京本社、2857円)
『はじめてのジェンダー・スタディーズ』(森永康子編、北大路書房、2100円)
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『インターネット時代の著作権 もうひとつの「人権」 2003年版』(岡本薫著、全日本社会教育連合会、1700円)
『図説日本の中小企業 2002』(商工総合研究所編、商工総合研究所、1000円)
『農林水産試験研究年報 平成13年度農業編林業編・公立』(農林水産技術会議事務局編集、農林統計協会、13000円)
『市民のための独立行政法人等情報公開法の使い方 イラスト&図解』(畠基晃著、中央経済社、2000円)
『必携法令難語辞典』(浅野一郎編、三省堂、2400円)
『全国旅行業者名簿 2003』(全国旅行業協会、10000円)
『年鑑・書道 2003』(美術新聞社編集局・書道年鑑編集部編集、萱原書房、12381円)
『沖縄を深く知る事典』(「沖縄を知る事典」編集委員会編、日外アソシエーツ / 紀伊国屋書店、8500円)
『アルファベットから引く外国人名よみ方字典』(日外アソシエーツ株式会社編集、日外アソシエーツ / 紀伊国屋書店、3600円)
『企業別外資導入総覧 上場企業編 第37集(2001年版)』(経済調査協会、55000円)
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『図書館の原則 図書館における知的自由マニュアル(第6版)』(アメリカ図書館協会知的自由部編纂、日本図書館協会、4800円)
『フラワーデータブック 2002』(日本花普及センター編、日本花普及センター / 農林統計協会、4400円)
『株価総覧 2003』(東洋経済新報社、10000円)
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『経済学者たちの闘い エコノミックスの考古学』(若田部昌澄著、東洋経済新報社、1800円)
『eコミュニティが変える日本の未来 地域活性化とNPO』(Eジャパン協議会編、NTT出版、1400円)
『情報リテラシーとプレゼンテーション』(青木由直著、コロナ社、3400円)
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『映像情報論』(今村庸一著、丸善、1700円)
『労働関係法規集 2003年版』(日本労働研究機構編、日本労働研究機構、1000円)
『経済史文献解題 2001年版』(日本経済史研究所経済史文献編集委員会編集、思文閣出版、10800円)
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『航空便覧 2003年度』
(航空ニュース社、2200円)インターネットやコンピュータの学術利用に関する書籍、雑誌、論文等の新着情報を掲載します。ご希望の方は正確な書誌情報をお知らせください。ただし、お寄せいただいた情報が必ずしも掲載されるわけではありません。
人々の網の目を更新(2003-02-11、2003-02-23、2003-02-24)。
2003-02-06(Thu):宇宙開発事業団「スペースシャトル「コロンビア号」の事故調査状況について」。だいぶ情報が増えてきたので、宇宙開発事業団が発信している情報だけでもまとめてみれるページをつくって欲しいな。
2003-02-07(Fri):国立国会図書館、全国新聞総合目録データベースを公開。国立国会図書館はトップページに更新情報が掲載されるようになり、ずいぶんと便利になった。が、更新や公開の日付を記載してくれるとさらに嬉しい。
2003-02-08(Sat):福井県文書館がオープン(2003-02-01)。どなたか文書館のリンク集をつくりません? 国立公文書館が都道府県・政令指定都市公文書館一覧をつくっているが、これでは不十分。
2003-02-09(Sun):宇宙開発事業団「タンパク質結晶成長実験に参加してくださった皆さんへ」(2003-02-07)。STS-107宇宙実験教育プログラム等、上階層のページをみれば、宇宙飛行士の向井千秋さんからのメッセージだとわかるが、このページだけをみるとメッセージの発し手が不明だ。どんなページでもそれだけで意味がわかるようにしないといけない。ところで、実験に関わった高校生へのケアはどうなっているのだろうか。心理的に身近に感じていた人々が悲惨な最期を迎えたわけで、宇宙開発事業団は心理的なケアに取り組んでいるのだろうか? そういえば、2003-02-06(Thu)に情報をまとめるページをと書いたが、スペースシャトル「コロンビア号」(STS-107)事故調査報告ができたようだ。
2003-02-10(Mon):諸般の事情からサイトを再構築しています。また極力どのような環境でも閲覧できるよう配慮しているつもりです。さて、この再構築作業によって「羅針盤」「Web発信再録」の別ファイルでの公開を順次取りやめ、バックナンバーとしての公開に一本化します。大変お手数ですが、リンク先のファイル名にcompass、rerecordを含む形で本誌サイトにリンクしている方はリンク先の変更をご検討ください。著者の方には別途直接連絡します。また気がついた分については、こちらからお知らせする場合があるかも知れません。
2003-02-11(Tue):「ユネスコ東アジア文化研究センター閉所のお知らせ」によれば、ユネスコ東アジア文化研究センターが閉鎖されるという(2003-03-31)。私が事情に疎いだけなのかも知れないが、40年以上続いた機関がこれほどあっさりと閉鎖されるとはショックだ。またそれ以上に閉鎖に至る経緯が一言も説明されていないことには怒りすら覚える。閉鎖に伴い同センターの刊行物を基本データとする中央アジア研究文献目録、日本における中東・イスラーム研究文献目録の公開も取り止められるという。国立情報学研究所のNACSIS-IRでの公開は継続するというが、NACSIS-IRは利用者を大学等の研究者に限定したこの上なく閉鎖的なサービスだ。事実上、中央アジア研究文献目録と日本における中東・イスラーム研究文献目録は一般市民向けの公開を取りやめると理解すべきだろう。この2つのリソースはいち早くウェッブで無償公開された先駆的なリソースであっただけに、なおさら残念なことだ。とはいえ嘆くだけではしょうがない。東洋文庫宛てに意見を書き送ってみようか……。職業研究者、一般市民を問わず、ご意見があればお寄せいただきたい。
2003-02-12(Wed):「意見広告」「社会科学研究者は訴える」に参加してください。赤間道夫さんらを呼びかけ人とする活動。
2003-02-13(Thu):「本が売れない、何が問題 出版関係者集まりシンポ」(asahi.com)。このイベントの不毛さは言うに及ばないが、報道のレベルも低い。大体、記事冒頭の「急成長した新古書店、ベストセラーを大量に貸し出す図書館、流通の目詰まりの原因とされる取次会社」という記述は、記事の本文と食い違っている。こういう記事こそ署名入りにして欲しいものだ。ところで、本が売れないだの、出版不況だの言われるが、責任なんて著者と出版社が第一に負うべきもの。その覚悟がない人間が作家や編集者をやっているほうが、よほど文化の危機だ。
2003-02-14(Fri):梶井厚志さんによる「社会経済研究所の存亡について一言」のページ。同じ問題に関する日本経済学会有志の声明文[pdf]「京大経研と阪大社研は独立の研究所として存続すべきである」。はっきり言えば「リストラ」か……。ことの当否を評価するだけの情報を持ち合わせないが、それだけになおさらこうした当事者からの発言はありがたい。附置研究所についてまず調べてみよう。
2003-02-15(Sat):映画「ロード・オブ・ザ・リング/二つの塔」の先行上映に。ところで前作では、字幕の誤まりを指摘し、訂正を求める運動が主にネット上で展開されたが、ファン側の抑制された行動、映画会社側の初動の拙さ、その後の両者の一定の歩み寄り等、実に興味深いものがあった。研究対象として取り組む方はいないのだろうか。さて作品は傑作。劇場で必見の作品。
2003-02-16(Sun):インパラ、『イラクの小さな橋を渡って』(文・池澤夏樹、写真・本橋成一)の英語版を公開。追ってフランス語版も公開とのこと。ソースは「新世紀へようこそ」。
2003-02-17(Mon):京都大学附属図書館、西洋文学この百冊を公開。京都大学文学部西洋文化学系編。
2003-02-18(Tue):20世紀メディア研究所で山本武利「データベースと資料カン」が公開されている。昨年公開された占領期雑誌記事情報データベースにまつわるあれこれ。ソースは「占領期雑誌記事情報データベース化プロジェクト委員会NEWSLETTER」1。
2003-02-19(Wed):土地制度史学会が改名して政治経済学・経済史学会になったようだ。これまでの名称も決してわかりやすいものではなかったが、新名称はなんともまた……。
2003-02-20(Thu):来週水曜日に法政大学大原社会問題研究所で公開講演会「インターネットにおける学術情報公開の現状と課題:アカデミック・リソースの「地図」をかく」が開催される予定。スピーカーはアリアドネを運営する二木麻里さん。とても行きたいのだが……(涙)。都合がつく方、ぜひご参加を。
2003-02-21(Fri):メディア教育開発センター、exCampus.orgを公開(2003-02-21)。eラーニングサイトを構築・運用するためのプログラムを公開するとのこと。
2003-02-22(Sat):ACI-Hayama (Academic Contents Initiative)。総合研究大学院大学内及川研究室が運営するボランティア組織。高品質な学術情報データベースの構築・公開を目的に研究者を中心にして構成とのこと。貝塚データベース、小松左京コーパス、古今集データベース等、複数のデータベースを公開している。関係者の努力には敬意を払うが、もう少しオープンな姿勢だと嬉しい。ソースは後藤斉さんの国内言語学関連研究機関WWWページリスト。
2003-02-23(Sun):よく考えてみれば、昨日は人々の網の目をはじめて丸一年ではないか。一年間かけて91人か。このペースでは一生かかっても終わらない……。一念発起する必要がありそうだと思い、企画当初に書いたまま、書き上がりきらずにお蔵入りになっていた後藤斉さんの分を加筆し公開。
2003-02-24(Mon):昨日はこたつで丸くなりながら、人々の網の目を更新。結構進む。宝くじでもあたれば、日がな一日こういうことができるのだが……。
2003-02-25(Tue):2003-02-21(Fri)の日誌で紹介したexCampus.orgに関する報道。「東大他、eラーニング実験の成果発表 eラーニングシステムのソースコード無償公開を4月から開始」(INTERNET Watch)。
2003-02-26(Wed):Amazon.co.jp アソシエイト・プログラムに参加してみることに。
【誌名】ACADEMIC RESOURCE GUIDE (ARG)
【発行・編集】岡本 真("ACADEMIC RESOURCE GUIDE"編集部)
【号数/部数/発行日】153号/4863部/2003-02-27
【連絡先】 zd2m-okmt@asahi-net.or.jp
【URL】<http://www.ne.jp/asahi/coffee/house/ARG/>