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「ワンストップサービスとしてのOReL」
かみむらけいすけ(国際大学グローバル・コミュニケーション・センター研究員)
■OReLの目的
OReL(Online Resource
Locator;本当は「オーレル」と読みたいが、本人も恥ずかしくてなかなか読めない)は、インターネット上に散らばる学術リソースを集約したディレクトリです。OReLは、ワンストップで学術リソースにたどり着ける一種のポータルサイト、一言で表せば「あそこに行けば、どんな論文があるか分かる」サイトを目指しています。そして、最終的には、インターネット上で一次資料が公開されるための環境づくりへ貢献することを目的としています。
■OReLのサービス
OReLのサービスの根幹は、インターネット上で提供されている論文の一覧を提供することと、個々の論文のメタデータをもとにした検索機能を提供することです。そのため、OReLでは、リソースそのものではなく、リソースへのポインタと、リソースに関連する「メタデータ」を保持しています。情報が分散して管理されるインターネットでは、情報は発信源のサイトで管理されるほうが、柔軟性が高まり、また利便性も向上します。しかし、その一方で、個々のサイトが全く独立して情報を提供していたのでは、情報が分断され、かえって情報の流通を妨げてしまいます。そこで、リソースそのものではなく、ポインタを一つの場所に集約して保持することが必要となります。
インターネットによる情報発信がもつこのような特性のため、リソースの効率的な検索・発見はインターネットで最も古い問題であると同時に、常に最も新しい問題でありつづけてきました。そして、この問題は、主として検索エンジンと、手動ディレクトリという二つのアプローチで取り組まれています。検索エンジンには、検索効率を向上させるために様々な技術が応用されていますが、ある一定レベル以上の向上は望むべくもありません。また、検索エンジンには、本文に書かれていないことは抽出できないという問題があります。文章の意味を分析する技術などが最近は注目されているようですが、このような技術がどこまで実現されるかは、今の段階では何とも言うことができません。
OReLは、手動ディレクトリ型のサービスですが、対象とする領域が人文・社会科学の分野の学術リソースであり、数も限定されるため、手作業による検索が有効に機能します。また、OReLの趣旨に合致するリソースだけを登録し、また後述するメタデータを抜き出す作業が必要です。OReLを手作業によって構築することには、作業を自動化することが困難である、という消極的な理由だけでなく、人間の主体的な判断によってリソースが整理される必要があるという積極的な理由もあるのです。
OReLでは、検索したリソースに対して、先ごろRFCにもなったDublin
Coreの枠組みを使用してメタデータを与えています。メタデータとは、オンラインリソースのいわば「書誌情報」です。メタデータには、リソースの作成者、題名、作成年、種類など、解釈によって異なる可能性の低い「内在的」なメタデータと、リソースの分野、主題など、解釈によって異なる可能性のある「外在的」なメタデータがあります。OReLでは、内在的なメタデータを中心に登録していますが、インターネット上のリソースの中には、内在的なメタデータであっても記載されていないことがありますので、OReLではそれを著者のページなどから探し出し補っています。
OReLは、趣旨に合致したリソースを登録するという方針ではありますが、現在のところは、OReLは査読機能をもたないため、OReLの管理者がその判断を行なっているわけではありません。また、OReLが収集するリソースの対象は、人文・社会科学の諸領域に及びます。インターネット的分業パラダイムでは、査読や評価といった作業は、その領域の専門家集団に任せ、OReLのようなサービスが、メディエータとしての役割を果たすことこそが必要であると考えています。
現時点では、インターネットで公開される学術リソースは、書籍や雑誌の形で既に公開されたものが大半となっています。そこで、OReLでは、既刊か否かということを記述にリソースの選択を行なっています。いわば、外部で行なわれた判断をもとにしているわけですが、いずれインターネットで一次資料が公開されるケースが増えた場合、リソースの評価という問題は改めて検討しなければならないでしょう。
■今後の展開
OReLに登録されているリソースを見るためのインタフェースとして、現在は、
検索(自由検索語を入力して該当するリソースを取り出す)
閲覧(予め用意された語彙に基づいてリソースを取り出す)
の二つがありますが、さらに現在、閲覧インタフェースの機能向上版としてキーワードのリンク構造をもとにしたナビゲーションツールを開発中です。このナビゲーションツールでは、OReL内に登録されているリソースをキーワードの間にある一種の階層構造を利用して、類似キーワード、上位キーワード、下位キーワードをメタデータとしてもつリソースを閲覧できるようになっています。キーワード間の階層構造を利用はしますが、この世の概念や事象を一つのツリー上に矛盾なく配置し、世界を普遍言語によって記述するような遠大な試みではなく、あくまで、ナビゲーションを容易にするための一つの道具としてキーワードの階層性を利用しています。従来のHTMLのリンク機構は、リンクの情報がリソースの中に埋め込まれてしまいますが、このナビゲーションツールでは、リンクとリソースが分離される、XMLのリンク機構に近いものと言えるかもしれません。
このツールの試作版がhttp://www.glocom.ac.jp/arc/orel/banana.aspにありますので(3月末まで)、是非お試しください。このツールについても、ご意見やご感想をお聞かせいただければ幸いです。
Copyright (C) KAMIMURA
Keisuke 1999- All Rights
Reserved.
[ワード]
「RFC」:インターネットで使用される規格群の一つ。"Request
for comments"の略。
「Dublin
Core」:文書またはそれに類するリソースのメタデータを記述する枠組みの一つ。「ともかく使えるものを」という発想で、最大公約数的な項目を規定している。参考
http://purl.oclc.org/dc/
「XML」:WWWだけでなく、データベースなど様々な分野に応用可能なマークアップ言語。xTensible
Markup
Language(拡張可能なマーク付け言語)の略。
[データ]
Online Resource Locator:http://www.glocom.ac.jp/arc/orel/index.html
[筆者の横顔]
かみむらけいすけ(上村圭介)。国際大学グローバル・コミュニケーション・センター研究員。ネットワークにおける情報発信のあり方に関する研究活動を行なう。最近の主な活動としては、World-Wide
Vision(http://wwv.glocom.ac.jp/)プロジェクトなどに関わっている。
個人ページ http://www.glocom.ac.jp/users/kmmr/index.html