ひとり立ち(?)のアルプス テン泊山行 蝶ヶ岳(標高2677m)
2002年9月14日〜16日 天気 雨,曇り,晴れ


メンバー 熟女2名 
13日 季節高速バス(さわやか信州号)に乗るためにパートナーのMさんと集合場所の
OCAT南駐車場へ向う。
ここで、まず最初のつまづき
お互いに集合場所を知ってるものと充てにしていたのだが、二人とも正確な場所を知ら
なかったと判り、ガーン(^^;;
OCATの中をウロウロしながら、とりあえず登山姿の人が流れていく方向に進む.
OCATを出て南の方に歩いていくと、集合場所の大きな駐車場に辿りつく。(^。^;)ホッ
さっそく受付をすませ、指定されたバスに乗車。
さて、後は上高地までの長旅。座席で重い登山靴を脱ぎ寛いでいると、「もう一列後ろと
違います?」と間違いを指摘され、慌てて移動。
出発間際、今度は「○○さんですか?」と車掌に聞かれ「いえ△△です」と答えると「△△
さんの座席は、5列目です」
(゜o゜)ゲッ!!! なんて間抜けなの!!!
今度もまた大慌てで靴を履き、自分たちの座席へ。
こんな調子で私の『1人立ち(?)のアルプス テン泊山行』がスタートしました。
 

雲が切れ青空とともに穂高の姿が (瞑想の丘より)
14日  窮屈な座席で、眠れないまま、沢渡に到着。
ここで、低公害ハイブリッドバスに乗り換え上高地バスターミナルに到着。
沢山の登山客で、ビジターセンター前は賑やか。空は小雨混じりの冴えない天気。
睡眠不足でまだ頭がすっきりしないが、とりあえず出掛けに握ったおにぎりと卵焼きを食べる。
この日は徳沢から長塀尾根ルートで蝶ケ岳を目指す予定。
しかし、雨なら無理をせずに横尾で一泊しようかと相談をして、とりあえず徳沢まで進み、その
時点でルートを決めることにし、7時 出発する。
上高地から梓川に沿って明神館へ。10年振りに歩く道だ。
登山と無縁な私が、山の虜になったのが、この10年前の徳本峠へのハイキングで見た穂高
だったのだ。
長いようであっという間の10年。色んな事があったなぁ〜と思い出しながら歩く。
10年前、明神館前で驚きと羨望で眺めた大きなリュックの登山者。10年後の今、自分がその
登山者に・・・なんとなく感無量。
軽く休憩をして徳沢園へ。
天気は曇り。一向に晴れる様子がない。これでは、山頂を目指しても展望はないかも。
9時、徳沢で天気予報を仕入れると、明日は晴れ曇り。
夏の黒部五郎岳縦走が雨で展望ゼロだったので、今回は雄大なアルプスの展望最優先。
横尾泊まりでは、時間が余り過ぎるのだが、何せ初めての二人だけで歩くアルプスだし翌日に
希望を託し横尾泊まりに決める。
10時30分横尾着。
小屋でテン泊の受付を済ませ、まずは軽くビール。
昨日からの不注意で二度ほど、デジカメを落としたためか、よくみるとスイッチのストッパー
が壊れて使えない。ショック!
今回は少しでも荷を軽くと思い、必ず持参するネガフィルムのカメラも置いてきたのだ。
スイッチさえONにできれば使えるのだけど・・・
ちいさな楊枝のような小枝をみつけて、それでスイッチを触ってONにできるまで漕ぎ着け
るが、これでは、好きなようには撮れない。もう愕然。でも今更騒いでも仕方がない。
気を取り直す。スタートから失敗の連続だもんなぁ〜(×_×;)シュン
でもテントの設営は、順調。Kちーやん、やったよー!
午後時間はたっぷり。地図を広げ、往復1.5時間の槍見台まで散歩。
もちろん曇天、槍など見える訳はない。
5時、夕食を終えると、何もすることがない。
軽くホットウィスキーを飲んで、6時過ぎには二人とも寝袋に入ってしまって爆睡。
深夜、テントを叩く雨で目が覚める。
なんで?雨?そんなぁ?
15日 5時前、雨はあがったようだ。
山頂の様子はどんなのだろうか?小屋へ情報を聞きに行く。
午後は回復に向うとのこと。
横尾から山頂までは4時間。時間は充分だし、行ってみっか 
7時20分 テントを撤収し出発。
雨に濡れた樹林帯の急登をゆっくりと進む。
ルートはしっかりしている。流石にメジャーな山。これだったら、ルートを見失う事はない
だろう。しかし、今回は二人だけ。油断はできない。地図とルートを示す赤いテープを
確認しながらいつになく緊張感のある自分を感じる。
8時 槍見台着 ペースは標準タイムで順調。
直登の急な登りの連続だが45分ほど歩いては5〜10分の休憩というリズムを守り、前進。
天気は相変わらずで、時折開ける視界の中はやはりガスっており山の姿は全く見えない。
10時40分 常念岳と蝶ケ岳への分岐。
もう山頂に着いたようなもんだ。
きっとここからの稜線歩きが、何度も写真でみた、素晴らしい穂高連峰の展望なのだろうなー。口惜しいなぁ〜 
稜線は冷たい風で手がかじかみそう。
強い風で雲が流れている。一瞬、穂高が!
「キャー!見えたー」
寒い中しばらく眺めるが、穂高の勇姿がチラッと見え隠れするのみ。
この展望は明日にもち越しと、蝶ケ岳へ。もしかして見えるかもと、何度も何度も穂高の方を確認しながら・・・
瞑想の丘にはあっという間に到着。展望台の地形図で見える山々を確認。
しばらくすると急に青空が見えはじめ、うそみたいに雲が切れ、穂高の勇姿が・・・
もう感激!
あれが北穂、その横が奥穂 その下が涸沢カール。よ〜く見ると涸沢小屋の赤い屋根も見える。
でも残念なのは槍の先端だけはどうしても雲が切れずに見えない。
壊れたデジカメを取り出すが、雲の流れが速く、狙い通りに写真が撮れなくてガッカリ。

横尾ルートでの蝶ヶ岳と常念岳の分岐

夕暮れ雲海に浮かぶ常念岳(蝶ヶ岳テント場より)
しっかりと瞼に焼きつけて「頑張って登ってきて良かったね」と二人で喜び合う。
たっぷりと展望を楽しみ、テントの設営。そしてまたテン場から飽きることなく360度の大パノ
ラマに見入る。
常念岳が目の前に。「大きな山だなぁ〜」稜線もくっきり。
このまま、歩いていけば常念なんだ。そしてその先は大天井岳。
「行きたいねー」「行こうよ」何度となくこんな会話をしたような・・・
遥かに乗鞍、御岳、多分八ヶ岳だろうも見えてる。
明日のご来光を楽しみに、今夜も早くに寝袋に入る。
19時前、外の話し声に耳を傾けると、槍、穂高の小屋の灯りが見えてるとのこと。
横で寝てるMさんを起こさないようにそっと抜け出し、見る。暗闇に輝く灯りは本当に近い。
寝袋に入ってしばらくすると、パラパラとテントを叩くあの嫌な音が・・・
うそでしょう!そんな馬鹿な!
何てことでしょう。一晩中雨。風も吹いて、近くに張っているテントがパタパタと音をたてている。
幸い、樹木のすぐ傍にテントを設営した私たちのテントは風をさえぎり、それほど、影響
を受けなかったが、後で聞くと単独テン泊の若い女性が風で吹き飛ばされそうだったと話して
いた。
彼女は涸沢から登ってきたとか・・
風雨で雨がしみ込んでこないか気になりながら眠れないまま16日朝4時過ぎ、起きる。
外は、まだ暗闇。
食料も乏しくなってきた。
ガスの調子が今いち悪く、今朝は湯を沸かすことができない。
朝食のアンパンを食べ、Mさんが様子をみに外へ。
稜線はガスで2m先が見えないと戻ってくる。
ガスの中での稜線歩きの怖さは何度か経験してるが、普段と違い今回は二人だけ。
不安が襲ってくる。
夜明けと同時に周りのテントも撤収を始めている。私たちも撤収。雨風の中でだが、難なく撤収。
出発の支度も済み、6時20分 小屋に天気情報を仕入れに行く。
単独の彼女が、今日は徳沢へ下るだけ 一緒に行きましょうか?と声かけてくる。
私達には願ってもない有りがたいお言葉。 彼女もこのガスの中一人では心細いようだった。
いよいよ出発。リュックにカバーをかけているときに、ゴムが切れ、装着不可。
この風雨の中、カバー無しだとザックの中まで雨がしみこむ。
とりあえず応急処置をして出発。
 
心配した稜線歩きはあっという間ですぐに樹林帯へ。
彼女とは一緒だとお互いに気を使うので、自由に自分たちのペースで行きましょとつかず離れず
の間隔で下山。
長塀山7時着。休憩。
ここからはうんざりするような長い、樹林帯の歩き。しんどい。
徳沢に着くまでに雨に濡れた木の根に足をとられ、3度も滑って転んでしまった。
9時30分 徳沢園に無事下山。ビールとおでんで空腹を満たす。
あとは、上高地までの平地歩き。これがまた緊張感の無くなった疲れた身体には堪える。
河童橋近くにある6時から3時まで入浴可能な村営アルペン上高地ホテルで3日ぶりのお風呂。
気持ちいい〜〜〜。

さて帰阪。
14時発のバスで新島々経由松本電鉄で松本まで。
松本から名古屋までのしなの号は既に満席。若い頃、よくやった電車のデッキ通路でザックに
腰をおろし名古屋まで2時間。
最初はしんどかったけど、同じような登山者と山談義などをしながら名古屋まで。
空腹は絶頂。
朝 アンパン1つ
徳沢園 おでん(0.5人前)とビール
上高地 豚マン1個
昼食をとるタイミングを逸してしまっていたため。
名古屋からの新幹線でやっと弁当にありつき9時過ぎに無事自宅到着。
デジカメ、ザックカバーの壊れ、偏った食料(パン、麺類、ご飯など炭水化物)の不備。
出発時から失敗の連続や、予想以上の悪天候と
アルプス テン泊登竜門は、なかなか厳しいものもあったが、憧れの展望もまずまず見ることが
できたしちょっぴり自信もついたかなとMさんと次はどこを歩こうかと夢はどんどん広がった山行
でした。

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