Q:お茶の世界って、何をやっているんだか、分からないよ〜。
難しいんじゃないの?と言われることの多い、茶道なのですが、
例えば、
野球やサッカーも、ルールを知らなかったら面白くない。
世界中の人が同じゲームを同時に楽しめるのは皆がそれを知っているからです。
運転技術に至っては、交通規則を守らなければ身の危険に繋がります。
まずは、知ること。
それから、
知っているだけではダメで、活かされてこそなのです。
免許を取って、初めて路上に出た時のドキドキってありませんでしたか?
永く乗っていれば、それが無くなっていきますよね。
つまり、茶道教室は、自動車学校のようなもの。
では、中では習えるのかというと、
「ありがとう」「いえいえ、どういたしまして」とか、
「譲り合おうよ」とか
「お先に失礼」とか
「道具は大事にしなくちゃね」という、
非常にシンプルな会話を、
どのタイミングで、
誰に向かって言うのか、身体で表現するのか
ということを、
お菓子を食べながら、お茶を飲みながら学んでいるのです。
わたしたちが、ちょっと立ち止まって考えれば、
すぐに気が付く、
「私のそばにいる人への”優しさ”に他ならない、
現代社会や学校で、男女を問わず十分に活用できる
社会での基本ルールです。
ところが、これが普段の生活でスマートに実践出来るかというと、
ものすごく、難しい。
例えば、
照れちゃったり...
タイミングを逃してしまったり...(笑)
加えて、畳に正座をしてみたり、かしこまって姿勢を正してみたり、
およそ、フレンドリーな感じじゃありません。
だからよけいに
21世紀に生きる私たちからみると、
古臭くて、
なんだか面倒なもののように思える...
それは、茶道が、今から約400〜450年も前の、戦国武将の世界で生まれて、
お辞儀一つ、
目配り一つ
言葉の選び方一つで、
生死を決したことがあったかもしれない中で、
争いごとや、不愉快な時間を創りだしてしまわないようにと
緻密に考案された、
男目線の厳しい交際術だからです。
蛇足ですが、茶道は女性が創ったものではありません。
全て男性、しかも時の政治や経済を左右するほどの知力や財力を持った人たちによって
生き残るために必要だと認められたものです。
現代社会では、いきなり刀で切り掛られることは無いけれど、
パワハラ・セクハラなどなど、ストレスの原因を数えたらきりがありません。
大人なら誰でも、
「ひとづきあい」の難しさは知っているはずです。
茶道を通して学べるスキルを、現代社会に活かして欲しい。
それが、茶道教室の400年間変わらぬコンセプトです。