の話いろいろ

1. 山びこで、男性の声が聞こえるのに女性の声は返ってこない?

 先日はコーラスの仲間と紅葉狩りに行きました。
そして皆で山びこを経験しました。 向かいの山までの距離は約数百メートルでしょうか。
男性の声が良く返ってくるのに、女性の声が返ってこないのを経験しました。
そこで、インターネットを使って音について調べてみました。
 結論を先に言いますと、男性の声の周波数は400ヘルツ(Hz)くらいで、(ラの音が440Hz)女性の声は同じ音の高さに聞こえてもオクターブ上と言いますから、その倍で800ヘルツです。
 周波数が高いと、減衰が大きく、約2乗に比例して減衰していきます。
男性の声が10分の1で返ってくるとして、女性の声は40分の1で返ってきます。
 それで女性の声は聞き取りにくいのです。
周波数がぐっと低くなって、例えば太鼓の音は100ヘルツ以下なのでなかなか減衰しません。実験によると数キロメートルまで届くそうです。つまり1里先まで聞こえるかも。昔は太鼓の音を狩りや戦争の合図に使いました。

 また空気中の音速は…約 340m/秒(1気圧・気温15℃のとき)で、当日の経験では1秒ほど遅れて返ってきたから、山までの距離はその半分、170m位でしょうか。

 西洋音楽では1オクターブを12分しています。「ラ」は440Hzという整数ですが、その他の音は割り切れない少数が続きます。それで正確に製造しやすい「ラ」の音叉が一般的に売られています。でもたまに「ド」の音叉も売っています。
この音叉の「ラ」の音も、少し寒くなったり暖かくしたりすると、周波数が441から442くらいまで簡単に変動するそうです。

2.人間はどの音の高さまで聞こえるか

 低音の「ラ」は220Hz で、上の「ラ」(女性の声)は880Hzで、もっと上の「ラ」は1760Hzです。ピアノはもう少し上まで音が出ます。
 ピアノは20Hz から最高音は4186Hzとなっています。人間の耳が聞こえる範囲は20Hzから約20000Hzです。
 聞き取れる高音の周波数は年齢と共に下がっていきます。年齢とともに音量も必要で、大きな音でないと聞こえ難くなります。
 私がアコーディオンを家で練習しているので、近くの叔母さんが「家の孫が言うには、お宅でアコーディオンを練習しているそうですね。私には聞こえませんが」と言われました。子供は小さい音も聞こえるようです。
 市販のアンプは50Hzから15kHzくらいまで音を再現します。もっと低い音や高い音を再現すると極端に価格が高くなります。スピーカーが再現出来ません。電話の受話器の再現範囲は200から800Hz前後でしょうか。これでは綺麗な女性の声も男性の低音も台無しですね。
 
 子供の高い声を聞くと疲れると言う人も居ますが、でも人間に自覚されず、聞こえなくても、25KHzの周波数まで物理的に再現しておけば、「癒しや感情の安定によい」と言うことを宣伝文句にした健康器具もあるようです。

3.蝙蝠
 
 音の話で欠かせないのが蝙蝠です。蝙蝠は暗闇で生きているので、光を見る目はありません。音を便りに獲物を探し、障害物を除けます。耳だけが頼りです。
 でも蝙蝠が発する音は高くて人間には聞こえません。超音波です。周波数が高くなると超音波と言いますが、超音波は指向性(四方に広がらずに、狭い範囲に管の中を通るように進む)を持ち、それで獲物を掴まえます。
 下はあるホームページから取りました。

”エコーロケーション(反響定位)というのは、動物が自分の発した音のエコー(反響)を解析して周囲のようすを認識することをいいます。コウモリはもちろん、クジラやイルカ、トガリネズミやテンレックも行います。齧歯類や有袋類にも超音波をだすものがいるようですが
http://www2r.biglobe.ne.jp/~fruitbat/wonderland/silence/3-1.htm ”
 もう少し採用させて貰うと、蝙蝠の発する周波数は20KHz から100KHzくらい、100KHzで、大きさ3.4mm、10m先の虫を探すことが出来ます。
 
 また蝙蝠の発する音は、短音ではなく、倍音を含んだり、その倍音の中に低い音を混ぜたり(周波数変調、FM)します。
 人間でもモンゴル人は同時に2つの音、倍音を発することができます。

4. 声の質も大切な問題です。
  
 異性の声を聞くと、ホルモンの分泌が盛んになると言われています。また「音楽」が老人の呆けの進行を遅らせたり、健康を回復したりする力を持っていることは、現在の多くの場面で語れています。

 さらに、最近赤ちゃんの言語の発達には「母親の生の言葉」が必要だと言うことが解ったそうです。
 テレビを見る時間が長く、親との会話が少ない赤ちゃんは言語の発達が遅れます。それで生後2年間くらいはテレビを出来る限り避けるようにすべきだとのことです。
 と言うことは、赤ちゃんは親の言葉を「言語」としてではなく、何かもっと動物的振動として受け取っているのでしょうか。
 その振動が、やがて何かのものを表したり、感情を表している、と理解するようになる、その中間の橋渡しの役割を母親の接触と言語が教えるのでしょうか。

5.人類の歴史で、言葉を発する現代人「ホモサピエンス」だけが生き残った。

 先日のNHK「人類の歴史」では、約70万年昔誕生した人類は、これまで20種類が誕生し、その後数度の氷河期を経る毎に幾つかの人種が死滅し、最後に残った「ネアンデルタール人」も2万年前の氷河期に死滅し、「ホモサピエンス」だけが残ったことを説明しました。 
 その2つの人種の差は、言語の発生にありました。
ネアンデルタール人は喉仏の位置が高く、複雑な音を発生することが出来ず、反対にホモサピエンスは喉仏の位置が低く、複雑な声を使い分けることが出来、過去を伝え未来を言い残すことで、生存の可能性を高めた、とのことでした。
 
04/11/24 K.K