図書紹介                           文芸春秋 4月号 
 中国「黒監獄」1000人調査 
  体制不満を叫ぶ農民「直訴者」への恐るべき弾圧と人権蹂躙   の実態                    城山英已

 中国では裁判機構が党の一組織で、地方政府の下で不正な裁定が常に存在しています。
 その不正を解決するには北京まで行って上級組織に訴えるしか有りません。彼等は北京南駅に上訴村を作ってテント生活をしています。
 ただしその上訴が受け入れらる確率は数パーセントです。その後その上訴が正当かどうかが査定されます。

 しかしその上訴を阻止する地方政府の黒い手が上訴者を暴力的に取り締まります。そのことはこれまでの翻訳でも何度か出てきました。
 ここには北京南駅にある直訴村に居座る人達を支援しその実態調査をした人の記録が書かれています。
 直訴村の人口は平時で2万人、多いときで10万人に昇るそうで、一つの民族集団とも言えると書かれています。

 これは正にマルクス社会主義の構造的・思想的欠陥を象徴的に、しかも最も明確に現出していると言えるでしょう。


 newsweek 3/15
     中国の限界

 毛沢東時代にマルクスの教え通り「労働者は多いほど価値を生む」と考えて、「産めよ増やせよ」政策を採り、人口が一気に倍増し、国家の破滅に直面しました。そこで採用された「一人っ子政策」。しかし現在その政策は事実上停止されたようです。
 それは老人大国になり同時に若者が居ないからです。また一人っ子故に大切に育てられた子供が、孔子の教えを忘れて親を大事にしないわがままに成りつつあるからとも。
 子供がいない家庭が普通の中国の家庭で、その寂しさを何が紛らわすのか。

 階級闘争で「社会保障」に手を付けて来なかった社会主義国では、年取った親の将来を守のは「男の子」だけなので、どうしても女性軽視社会になっています。その中国に未来があるのか。

 大都会に現れた高価な介護施設。それらは極端な格差社会となっている現在、党中央が必死に求めている「調和」な国家が到来するのか。

 また米ドルの価値が急速に低下しつつあるとき、人民元の対ドルが正当に評価されると中国経済がどうなるか、等が書かれています。