貴州暴動

08/06/30  文学城 



「南方都市報」 より



   犯罪者は自首しろ のテレビ警告文















 貴州甕安県政府は昨日テレビなどを通じて「犯罪者は自首すること」という通告を行った。
 「6月28日午後から翌日夜明けまで公安ビルや民政局建築に対して破壊や放火などの犯行を重ね、犯罪分子達は公然と政府と法律の権威に挑戦した。これは狂気の沙汰であり、やりたい放題の行為は国家と人民の財産に対し巨大な損失を与えた」。
 公安と政府機関は全力を挙げて犯罪関係者を調査・逮捕する。嫌疑者は自ら自首するように」
 となっている。

 暴動の内容について、
「一群の煽動者達が真実を知らない群衆を巻き込み、公安や政府のビルを襲撃し、さらに少数のものはビル内に入って事務室を破壊し、いくつかの事務室や屋外駐車中の公安車両に放火した。」
 「貴州党書記、公安庁長の崔亜東はこの事件解決を指揮し午前2時には群衆を解散させ自体は正常に回復した。市の状態は正常に戻っている」

以上が政府発表の内容である。

 現地の情報によると、その後武装した警官が政府のビルを警護している。
 事件によって1人が死亡、150人が受傷、その多くは入院中。公安はビデオで捉えた映像に基づき200人を逮捕した。

 事件の発端は15歳の少女が殺されたことに発する。家族は警察の処理に不満を表明。政府の1官員が家族に3000元支給することで解決を要求したが家族はそれにも不満。

 当局はさらに3万元の解決金を提示したが家族は拒否。交渉に当たった死亡した家族代表の叔父が公安に殴られ重傷を負い見ていた民衆が騒乱を起こすことになった。

台湾連合報道の内容

 北京オリンピックを1ヶ月後に控えた大陸で天下を驚かせる事件が発生した。数万の群衆が政府機関を取り囲み、公安局内部や数台の車両に放火した。
 当局は1500名の武装警官を出動させ、群衆を散開させた。付近は今も緊張した空気が残っている。

中国新華社の報道によると、1名の少女の死に対して警察の処理に不満を抱いた群衆が政府機関を取り囲み、数人がビル内に入り込み破壊や放火活動を行い、さらに数台の車両にも放火した。

 インターネットによると、甕安県第3中学の16歳の女学生が、6月上旬の試験場で後ろの席の女学生に答案を見せるよう催促されたがそれを断った。数日後その女学生に呼び出され、数名のヤクザが取り囲み彼女を殺害した。その遺体は西門河の橋下で発見された。

 遺体が発見されたのは死後2日で、警察の検査の結果”女学生が自殺した”として処理を完了しようとした。警察はその後家族に連絡し早急に遺体を埋葬することを要求。

 ある情報では警察は3名のヤクザを逮捕したが、その内の2名が政府高官の息子であることが解った、という。
 殺害を唆した女学生は甕安県県長の姪であり、尋問直後釈放されている。
 
少女の家族の叔父に当たる人が公安局に談判に行ったが脚の骨を折られて医院に運ばれた。重傷で治療不可能との説もある。また叔母に当たる人は公安内で歯を全て折られて追い出されている。
 女学生の両親は西門河の橋の麓で遺体を荼毘に出さず、見守り続けている。

 女学生の学校では500名の生徒達が黙視できないとして公安に事件の再調査を要求した。その結果公安に電撃棒で打ちのめされ、激怒した生徒達が群衆に事実を呼びかけ、やがて数万の群衆が集まることになった。

群衆達は公安の車両を全台数破壊した。公安の2つのビルをも破壊。その後ガソリンを掛けて放火した。事件が拡大し、公安局・県政府・民政局のビルにも襲撃し放火破棄行為を行った。周辺一帯は惨烈を極め先頃のチベット事件の再現となっている。

貴州政府は騒動を鎮めるため外界との接触を禁じ、インターネットの接続を切っている。また道路も封鎖し報道機関の接近を阻止している。
 
 1500名の武装家官が警戒し、警察の発砲によって1名が死亡、105人が受傷、逮捕者は200人出ている。

貴州では報道は禁止されているが、インターネット上には他の地方から記事や写真あるいは映像でさえ張り込みが出ている。

香港の報道では、この事件は重大であり、全県が封鎖され記者の進入を拒み、インターネット上の記事もすぐに削除されている、と報道。
甕安県方面の高速道路は停止された車で混雑し、高速の入口には「他の道へ回ってください」という看板が出されている、と報道。

甕安県では現地の警官だけでは鎮圧不可能と判断し、余所から武装警官の投入を要請している。現在全域に渡って大捜索を開始している。暴動が起こった周辺では商店の営業も停止したままである。

現地のテレビは暴動参加者に自首することを常時頻繁に報道しており、不穏分子の情報を求めている。また県政府は公務員と銀行員に当分街頭に出ないよう指示している。

 死亡した女学生、李樹芬の叔父は病院の知らない間に行方知れずとなったと病院が発表。

この事件は北京の中央政府をも驚かせている。中央政府は重要命令を発表、「628事件工作」と命名した。武装警部総務部副参謀長の薛国強が現地へ派遣された。


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訳者注:
 甕安県を 翁安県 と記した記事もある。(中国語の発音は同じ)

 公安や政府機関職員は全て”選ばれた”党員の国家。彼等の不正を権力で隠す事件はこれまでも頻繁に登場していますが、中国も少しずつ民主主義の理解が進んでいるようです。
 報道を封じ込めることの恐ろしさを、戦前の日本を思い出してぞっとします。


追加 7/3
  南方週末(7/3)号も記事を掲載しましたが、当局の見解だけが    載っています。
  死亡の原因は少女が橋の上からふざけて飛び降りた。
 党と政府はこのような大きな騒乱の背景には黒組織が介入している と考えていること。
 大衆と党や政府の間にはあれやこれやの不満もあったようで
 政府も反省するところがある。
 以上が記されています。