財政に光と影

07/03/22 南方週末 登菫

 この10年間中国の税収入は一貫してGDPの1割を超過し増収を重ねている。税制は以前と変わらず、今後も税収が増える見通しだ。

 中国の国家財政の95%は税収に支えられている。

 財政収入の4分の1、約7100億元を教育・医療・就業・農村支援などに振り向けられる。これは建国以来初めての支出となる。

 05年度の統計によると、国家行政管理費は78年の49億元から04年には4060億元となっている。約83倍の増加だ。同時に国家の公用車と飲食費の支出は6000億元で、これは06年度の国防費の2倍を示している。

 記者が中央会計局長に聞いたところでは、行政の浪費と幹部の腐敗による持ち出しなどが、大きく政府の支出を圧迫しているとのことだ。

 08年度から実施される新税制度は国内外の企業に同一の税率適用をすることになった。これまでは外資を優遇してきて、国内企業が33%、外国企業は15%となっているが、今後は25%の統一税率となる。これは全世界的に見ても、或いは周辺アジア諸国と比べても低率を示している。
 

 現在の税制は1994年元旦に出来た。中国が市場経済を始めた年だ。前年の93年11月に党は「社会主義市場経済導入の諸問題解決」と言う議案を採決した。その後の2ヶ月で市場経済への準備が瞬時に準備されたのだ。その後の税収入は驚異の高騰を示している。
 
 94年の税収は4789億元、それはGDPの10.8%だ。06年の税収は3.7兆元、GDPの18%。前年度よりも増えた部分だけでも6770億元有り、それは94年度の税総収入を超えている。
 こうして13年間連続の増収は世界史的に見ても一大奇跡であろう。

 94年度までは毎年税収は低減していた。また、徴収率は57%前後の低水準であった。
 現在は電子化などの利用が進み税徴収率は85%を超えている。

 13年前の中国では、子供に靴を買ってやると13年後でも新しい靴を買うことは先ず無かったであろう。例え子供の脚が大きくなっていても、靴が破れていても。

 03年に党は「社会主義市場経済化の若干問題」と言う討議を経て税制改革を実行した。その原則は、低税率、広範囲の課税、厳密な徴収、であった。

 その年はSARS(鳥インフルエンザ)の厄害の年であったが、税収は2兆元を超え、05年には3兆元を超えた。これらは全く予想外の増収である。これらの増収を受けて民生部門への政府投資が増大するだろう。

 今後は地方政府との分配が論議されるだろう。また透明度や効率の面でも論議がされるだろう。

 政府支出についてはこれまで議論がされたことがなかった。今回初めて中央政府は支出について改革すると言っている。

 SARSが飛び出た年、それは中国の高度成長の影に農村の極めて遅れた衛生状態を暴露した。

 04年度に党は「3農問題」を提起し、胡錦涛総書記は「中国は現在工業が農業を支援する段階に来た。都市が農村を支援する段階に来た」と表現した。
 03年から06年度までの農村への支出は計1兆元に達している。

02年度から3年で農業税を廃し、農村に全面義務教育を実施し、医療制度を進め、農村の根本問題は解決された。地方政府の負担を中央が支給している。このような急速な改革は誰も想像出来なかった。

 ただ、国家予算の支出の詳細は誰にも示されていない。見ても解らない状態だ。未公開だ。公開されている部分は小さな金額のみ。もし公開されると中央政府の各部門がそれぞれ言いたいことを言って非難しあうことで公開されないようだ、と在る専門家が教えてくれた。

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訳者注:
 確かに中国の都市周辺を見ていると急速な発展が頷けます。
 その数字がここに書かれています。
そしてこの記事の中程に来ると突然記事が信用出来なくなります。
 
”” 農村に全面義務教育を実施し、医療制度を進め、農村の根本問題は解決された。””

 では農民は都市では何故「臨時工」なのでしょうか。

 本当に誰が中国を支えているのでしょうか。
 人口7割の農民が低賃金の都会の労働を支えているのです。無限の失業者の数として。
 農民自身に自分を組織する権利を与えない限り問題の解決はないことは誰が見ても明確でしょう。
 北京にいる党幹部が何をしゃべっても意味がありません。農民は誰も喜ばないでしょう。
 社会の発展は上から与えて実現するものではありません。

 そしてこの記事の最後の部分。支出の公開が出来ない説明。全く文明社会では通用しない理屈です。如何にも社会主義らしい非文明的説明です。