農民と都市民との格差

07/06/14 南方週末  張麗紅

 今日の日付から全国の12の省(自治区と直轄市)で農民と都市市民との戸籍の差別が無くなる。

      訳注:中国全体で4つの直轄市、5つの自治区、
         23の省がある。計32。

 経済的・人格上の差別が無くなるのだ。
ただし大都会と小都会ではその差は已然として厳存する。
 例として北京市では今までどれ位の差別があったのか計算してみよう。

   幼稚園
 1.
 外地人間(農民)が子供を幼稚園に入れると3000元から20000元取ら れる。
 2.
 公立小学校へ入ると毎年最低でも3000元取られる。
 3.中学校以上になると学期毎に5000元取られる。
 北京市の場合、教育費の5割が保護者から徴収されていてその額は10 億元になる。

   北京市に住むとき
 戸籍がない人は就職はとても困難だ。職種が数百種あるとして、外地人に許されるのは「金融、保険、政府機関、国営企業、大企業」以外と規定されていて、その数約百種。戸籍を得るためには数万元以上必要だ。

   仮住まい
 役所にその管理費を月に15元払う。受取証に8元必要。詔書無ければ5 0元の罰金。

   住居
 市営の割安住宅は外地人には供給されない。
 北京市営の場合、割安住宅は平方メートル当たり2650元、一般市価となると8792元と飛躍する。その差は6000元/平方メートルだ。

   車を買う
 市民は先ず頭金として20%を払い、後は分割払い。外地人は頭金は40 %必要。

 市民の最低生活保障金額は月310元。或いは差額補助242元。3人家 族なら月1000元になる。これは市民のみ。

   医療費
 05年に医療保険が、それまでの最高支給額5万元が7万元にアップした。保険費は1万元に対しその5%、これも市民のみ。

   葬儀費用
 病院から火葬場経由で墓地まで約5000元の出費が必要だが、市民は政府から800元の補助金が出る。人生最後のこの機会も市民のみ適用。

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 訳者注:
 建国後の50年は極貧で社会保障や移動の自由が実現出来なかった、と表面的にはされています。
 実際は住所と職業を固定し、全人口を完全管理することで「計画経済」が可能と考えた結果です。
 これほどの極端な差別が有る国家は地球上に他には存在しないでしょう。人類史の大きな標識(汚点)を作っています。
 国の一部とはいえ、戸籍の差別を無くすことになったのは、当然国際化による情報の伝達でしょう。来年のオリンピックで外国人が多数来ることもそれを助長しました。
 この後農民が教育を受けらるようになれば、人間としての誇りも大きくなるでしょう。
根本的には政治的発言権が全ての人に与えられることですが。