中国の資本回収率は幾らか

07/02/08 南方週末 編集局

 1月25日発表された統計によると06年度の中国のGDPは約20、9兆元、前年比10.7%の増加、その中で投資に廻された分は11兆元。4年間連続して10%を超えている。固定資産への投資は50%以上。

 訳注:20.9兆元は約300兆円。
    日本のGDP 約540兆円。

 現在の成長と投資の数字について各方面から議論されている。その中で最も議論の起こっているのは「資本回収率」でそれは国内国外共に議論されている。世界銀行は15%と見積もったが、中国内での推計では約10%程度のようだ。

 超短期間の20年間で、中国は密封された極小の経済体から世界に注目される投資地帯に変革した。これは恐らく人類史上希であろう。

 中国企業の税引き前の利潤は日本を超えている。

中国の資本回収率は発達した国家を超えており、発展途上国を遙かに超えている。

 環境保護に対する投資及び社会福祉への投資が極端に低いこと、エネルギー源が廉価で手にはいることなどがその原因と見られている。

(記事の前半分のみ)

 
不動産市場に不吉な前兆 
 
07/02/08 黄小偉

 中国全体で不動産取り扱い面積は連続して下降して、1999年以来の最低点にある。取扱金額は伸び悩んでいる。数年後には売り手過剰市場となる。08年または遅くても09年には後退局面に入る。

 08年には1978年に生まれた人口が30歳を超え、彼等が結婚して住宅を求める人口の「高い峰」の時期が過ぎる。それ以降の結婚率は毎年30%で急下降する。その下降が不動産市場に大きな影響を与える。

 1昨年、国家発展改革委員会は「不動産価格は継続して上昇するが2年後には市場は低迷するだろう」と予測した。
 現在政府は市場が泡沫で実態の要求に基づいていないことを認識しているようだ。
だが市場価格は相変わらず狂態じみて上昇している。

 昨年の住宅投資は2兆元に達した。一昨年比2倍以上である。販売面積は3億平方米に達した。
一般国民の低価格安定を望む声に押されて政府は土地供給を増やしたが、価格安定には全く影響を与えていない。

フランスのパリにある経済研究所は「中国経済は数年内に急速降下する」と発表。それは08年がその年で、不動産もその時同時に下落するだろう、と予測している。
 1998年に土地購入が可能になり、1960年代に生まれた巨大な人口がそれを求めた。その後8年が経った。ほぼその要求は収まった頃だ。これ以降は「一人っ子政策」によって人口が増えず、要求も減少する。09年には不動産業界に大きな動揺が起きるだろう。

 中国の人口減少と世界の経済停滞期とが重なり、中国の過剰生産が下降せざるを得ず、不動産にも確実に影響が出る。

 国家社会科学院の尹博士が昨年田舎へ帰省したとき、昔の校庭は生徒で溢れていたのに今は閑散とした状態を見て驚いたと言っている。彼の田舎とは中国では最大人口の安徽省でこれである。
 そして彼の学校は生徒が減少し、次年度から他校に吸収されるという。

 中国の出生率は1965年頃から1978年まで毎年3%を超えていた。78年以降は2%以下で、70年代の人口は現在の2倍となっている。

 ただし、人口減少だけでは中国の不動産価格の動向を予測出来ないと指摘する人もいる。北京師範大学主任の董さんだ。
 「都市に入りたい農民人口は無限だ」と言う指摘だ。「人口は1つの要素に過ぎない」という。
 だがこの意見を彼がインターネットに掲示したところ、大きな反対が、激烈な言葉で、寄せられているという。
 実際、現在の急速な価格高騰を見ていると「下降する」とは誰も信じられないのかも知れない。


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訳者注:
 別の記事に「交通局副局長”胡星”に公安部が5万元の懸賞を付けて逮捕令」と書かれていて、「現在中国の最大の官僚腐敗は”交通”と”不動産”に起こっている」と記しています。
 中国は国家を上げて経済指標向上を争っています。その成績で党幹部の昇進が決まります。その過程に「国民の生活は全く考慮されない」、と前回の記事にありました。

 毎週の記事に幹部の腐敗と逮捕があります。家屋の高騰も連載されています。
 党幹部は農民や市民を追い出して商業地や道路を造ります。土地を取り上げるとき補償金を払わないケースが多く、農民暴動が昨年1月から9月までで1万7900回起こっていると報道されています。

 この暴動の不安定を沈めるために今年の人民大会に「物権法」が提出されたことが日本の新聞でも報道されています。
 土地没収はそれまでの生活を維持する補償が必要と、21世紀になって初めて人権保護の最低のことが記載されるとのこと。
 ただし党幹部の違反に対して反対する権利が法的に記載されないと「死文」になります。