政府の秘密主義は08年から廃止

07/04/26 南方週末 馬昌博

 政府は情報公開を表明、政策の透明度が一歩前進。秘密主義廃止か。

 オリンピックが開かれる1年後の08年5月1日より、政府関係の情報公開が開始される。
 都市内の重要建設物についてその概要を知りたいとき、或いは身辺に起こった公共に関する事件の詳細について、或いは商品の検査結果について、これらの疑問があれば政府に質問しその回答を得る権利が明文化される。
 「重要職責とその基本義務」と言う法律だ。 公開する内容は23項目に亘る。ただしここに記されない項目がまだ幾つかある。
 この条例の記者説明会で”保守的な地方政府は対応しない恐れがあるか”という質問に、1年の準備期間があるので大丈夫であろうとの回答があった。
 この法律は1999年に準備が始められたが8年も掛かってやっと陽の目を見ることになった。
 1988年に秘密主義の法律が出来ており、今回は計画経済時代から見ると確然とした時代の差が感じられる。

 秘密主義の法律を変えることに幾つもの抵抗があったと言われている。
 現在の所、秘密主義の法律はそのまま残されているので、両者の整合が問題となるであろう。
 この法律制定に参加した中国人民大学の莫教授はアメリカや日本のやり方を参考にし、その国情にあった方法を採用した、と説明している。
 中国地方政府は、政策変更後それを発表する期限を規定してないが、今後は20日以内に公表することになった。この期間の制限についても3ヶ月まで延ばすべき等の意見が出ていた。
 今後は中央政府が先頭になって地方政府の公開態度を推し進めるであろうと期待される。
 これまでは地方政治について、公開などは役人の考え一つであり、住民の要求する場や権利がなかったが、今後公開を拒否したときは、誰でも訴えることが出来、地方政府が被告となる状態が出現する。これは地方官吏にとって「大きな圧力」となると見られている。

 腐敗した地方政治を治療する最高の薬はそこに「光」を当てることである。この法律制定後は極めて明確な腐敗度の減少が見られるはずだ、と識者は言っている。
 腐敗撲滅の先頭に立っていた「中央紀律委員会」は法律公開制度を強く支持している。紀律委員会の仕事を阻止してきた最大の壁が秘密主義であったからだ。
 前記の教授は、もし地方官吏が認識を改めないと、法律制定後公民によって大量の公務員への訴訟事件が発生するだろうと言っている。
 
 さらにこれまで地方官吏は報道機関に対して情報提供を拒否してきたが、新たな法律の制定後はそれが解決されることも期待される。

 現在は誰もが中国の透明性・開放を要求している。この法律がそれを大きく進めるだろう。
 

********************
訳者注:

 中国の政治が社会主義のまま透明で公開になることを、中国人の誰が信じるでしょうか。
 官吏の不法や腐敗に対して疑問と怒りがあり、地方政府では解決出来ないから大量の訴訟団が北京の直訴村に住み込んでいるのです。

 来年オリンピックの見学に世界から人々が中国を訪れます。そしてその直訴村を見て社会主義の非科学的・非人間的姿を目に焼き付けて帰ることになります。
 そこで大至急腐敗対策を実現することが必要になっています。

 つまり、公民へのサービスではなく、世界から恥を隠すために、官吏の腐敗対策が必要になり、法律の公開は不可欠になってきているのです。
 このままだと社会主義中国が崩壊するのです。中国大陸の砂漠化が中国を恐怖にさらし、腐敗の進展がまた社会を崩壊寸前に追い込んでいます。
 事実、計画経済時代の秘密主義の法律、(中国の法律が始まったのは80年代です)がそのまま残り、同時に腐敗対策の公開制度も必要だという、社会主義のジレンマ。そこには国民への視点が全く欠けています。根本的に「人権」と言う思想がないのです。これら法律の改正も独裁者の都合での発想で、国民の要求ではないということが気になります。例えば「農民会議」の要求とか法律家団体の要求とか、大衆団体の請求とか、下からの要求が起こっていないことが気になります。大衆の自主的組織が育たない、禁止している社会主義の行方は?、

 これは計画経済時代から見たら「確然とした時代の差が感じられる」という記述が目を引きます。
 時代は正しい方向へ大きく動いてるようです。