「黒龍会」の少年団

07/09/13 南方週末 伝剣峯

 広州市で9月3日「黒龍会」という暴力団の下部組織が逮捕された。当日、法院が発表した228件の事件の内、多くは低年齢の少年団事件が含まれており、しかもその犯罪傾向は極悪で、社会に大きなショックを与えている。

親分の 馮志希は29才で、一団は19名の幹部は20代、未成年者が3名居る。
 
 今回逮捕されたのはCK組という女子中学生たちの組織で、これまでに2人を暴力殺人、1人を銃殺で殺している。

 黒龍会は広州市竹料鎮の中学生60人を組織して子分にしている。13才の子供もいる。全員誓約書に不慣れな文字で「組織に迷惑を掛けたときは如何なる処分も受けます」という誓約を書いている。
  広州市の検察院は「社会の悪影響を受けた」と指摘している。

 05年11月、馮志希は村の工事発注が行われるのを聞きつけ、20名の幹部と学生生徒の子分40名で村議会を取り囲んだ。彼等の言い分は「これからは善の道に戻りたい。よって今回発注の3つの工事を我々に請け負わして欲しい」と要求した。馮は周囲の仲間に向かって「善の道に戻るんだな」と叫ぶ。すると後ろの徒党は一斉に「そうです」とドスの効いた声で応えて見せた。

 村議会は度肝を抜かれ逆らうことが出来ないのを知って要求に同意したのだ。

 馮の母は誕生日に酒屋で食事をしようとしたとき、出てくる料理に満足できなかった。それを知った馮は子分達20数名を集めて酒屋に押し寄せ客の出入りが出来ないようにした。慌てた酒屋が警察に連絡するという事件があった。
 この時集められた学生生徒の子分の1人が記者に「あのとき何をするのか全く知らされませんでした。ただ言われるとおり道路に立っていろ、とのことでした」と言っている。
 
 05年11月16日、馮は仲間と組んで”偽薬売り”の江という男を竹藪に連れ込み暴行を加え、彼の銀行カードを取り上げ数万元を引き出している。

 これら犯罪の実行者14人は全て20代で中学の途中退学者だ。10人の学歴は小学校卒だ。

 06年3月、馮は子分達を連れて村のメッキ工場に殴り込み、不要金属回収作業を請け負わせること、工場の保安を任せることを要求した。保安費として月に数千元を取っている。また周辺の賭博所の見張り役を子分達に請け負わせ、ひとり1日50から100元を貰っている。 
その他焼き肉屋の管理や、怪しげな美容院などの経営権を奪ったり、多くの商売を狙ってきた。

 1人の幹部から拳銃5個、弾丸66発が見つかっている。幹部の2人は麻薬販売もしていた。その販売権を巡る争いで、相手を拳銃で撃ち死亡させている。

 06年6月4日夜、彼等の本部と見られる部屋からDVDを盗もうとした出稼ぎ農民工の2人を10数名の部下に殴らせ半死の状態に追い込んでいる。その後動かなくなった農民工を他の場所へ運ぶ途中2人は死亡した。
 
 それを目撃した人がいて「農民工の身体には下着だけで脚は切断され全身が黒くなっていた。とてもまともに見られるものでは無かった」と言っている。
 その現場にいた1人の幹部、まだ16才だが、殴った相手が死んだのを見て恐怖を感じ警察に連絡したという。その夜彼は帰宅していない。
 数日後、家族が本人に確認し警察へ出頭させた。 
   
 黒龍会の組織

 6個の分隊に別れ、分隊幹部は2,3名。それに3名程の子分が着く。
集団暴行時は電話で仲間を呼び出し、バイクで現場に急行する。この方式は06年に決められたようだ。
 始め、竹中の2つの高校には40数名の子分がいたが、直ぐに60名に増えている。
 子分達を集めて馮は「組織に迷惑を掛けた時は指を切れ」と命令している。
 
 入会後退会を申し出た生徒が居たが、その時数名で殴打し、それ以降退会を言い出した生徒はいないという。 
 
会員の学生が暴行用の鉄棒を盗んで売りゲームを買ったのがバレ、仲間の殴打を受け鉄棒を買い戻させられている。
仲間のバイクが盗まれたとき、会内部の財産からバイクを買い与えて、「幹部は義侠心がある」という評判が出たとのこと。

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 訳者注:
 これまで紹介してきたのは全て国家による国民への暴力でした。当然民間での暴力事件もあったでしょう。
 しかしこの新聞上にはほとんど登場しませんでした。それがこのように恐ろしい、しかも青少年の暴力団登場とは驚きです。

 国家権力が絶対なので、それを裁くことが出来ない国家では、民間事件も裁けないのでしょうか。