文学城
07/11/28 
 
 アフリカから中国めがけて密入国者が急増しており、それを中国の蛇頭が待ち受けている。

 この数年中国の経済発展は急速で、かつ欧米に比べ物価が安い。そのことは密入国にとってこの上もない誘惑だ。
 以下は10月1日から11月21日まで、北京の入国審査官が発表した数字だ。
 国慶節で賑わう10月の始め、広州へ出稼ぎに行くような格好をした3名のアフリカ人が北京の飛行場で審査官の審問を受けた。すると彼等が持っていた入国ビザは偽造品で、尋問の結果、中国の蛇頭から100から500米ドルで買ったものだった。

 このような偽造ビザでの入国事件は、その主要な出身国がアフリカで、それ以外にも東南アジアや西アジアなどからも現れている。
 密入国者が飛行場等を経過する場合は比較的検査で発見しやすい。しかし中国には膨大な海岸線があり、そこからの密入国を発見することは非常に困難だ。

 1995年から2005年までの10年間でアフリカから密入国しようとした人は6万3千人になる。
 香港から密入国しようとした人は2006年だけで1万6千人になる。

 アフリカら密入国する人達の多くは困窮者で、その目的は「お金」だ。それを持って帰国することだ。
 彼等は中国で麻薬販売や集団詐欺行為で金儲けを狙っていることが多い。彼等の急増を知った中国の蛇頭が彼等の到来を待ちかまえている。

  アフリカのマリ共和国の首都にある巨大な市場は迷路のように入り組んでいる。外国人は直ぐに迷子になるだろう。そのほぼ中心地にある1軒の事務所、外観は普通の事務所に見えるが実際は潜りの銀行で外国行きのビザ等も偽造しているという。そこに出入りする真っ黒な人種、彼等は中国の”蛇頭”の名前は知らない。仲介人の役のみのようだ。そこでは合法的に入国できるようなビザに必要な「企業発行の証明書」などを偽造している。
 彼等自身中国との間で仲買人としての商売を手広く行っていて、偽ビザの証明も”仲買人”という職種で登録している。
 その方法はアフリカ全体で共通して言えるようで、どの国もこのような手段で密入国者を送りこんでいるようだ。

 香港はビザ無しで7日間の滞在が許される。その期間を利用して大陸に潜り込む方法も行われている。その世話をするのが「馬子」と呼ばれる組織で、世話代を取って稼いでいる。この方法は少し危険があるようだ。

 貨物の中に潜り込む方法も多いと言われているが、アフリカから中国への輸出品は原料品で箱の大きさが小さく人間を隠す可能性は少ない。またアフリカとの距離が遠いので人間を潜り込ませるのも困難だろう。
 スペインが領有しているカナリア諸島経由の場合はやや可能性が高い。

 アフリカ諸国から中国へ潜り込むのはほとんどが生活困窮の青年で生命の危険を冒し、知人や経験者の話を頼りに決行している。
南欧経由も多く3人組や単独者もいる。正当に入境した後蒸発する形が多い。

 一方中国とアフリカ間の貿易が急増しており、アフリカ系の事務所も多数中国内地に設立されている。 その各地の分店などに潜り込む黒人が多いようだ。受け入れ側は管理しやすく、低廉で雇えるなどがその理由だろう。
事務所が不要になり余所へ売り飛ばす、或いは押しつけることもあるようだ。だが彼等蒸発組は正式のビザを持っていない。また仕事の能力の面で資格を持っていないなど不具合が多く、その理由による混乱・衝突が中国東南方の経済発展地で新聞報道されている。

 コンゴ共和国の首都キンシャサにある中国大使館には毎日ビザ申し込みの行列が出来ている。その整理に大使館では専門の人を雇っている。列に並ぶ黒人達の目は、中国で儲ける夢でぎらぎらと輝いている。
 コンゴはあまり経済が発達していない。主要産品は輸入物だ。市場では欧米の店もあるが、それよりは比較的廉価の中国商品に人気が有る。それらの状況から輸入関係の仕事を中国内地に求めるのは普通の誰もが思いつく生活の道だろう。
 その具体的な目的地の一つが広州周辺の服装産業と浙江省の義烏にある小型商品卸売市場だ。その他、目ぼしいものを買い集めてコンゴに持ち帰り販売するブローカーという道もある。コンゴから外国行きの飛行機に乗るには税関に1000ドル渡せば目をつぶってくれるようだ。

 コンゴの大使館では月当たり800人のビザを発行しているという。コンゴ全体で2000から3000人が中国へのビザを持って中国に入境しているようだ。その大半は広州だろう。コンゴ国籍の黒人達が広州でホテルや宿泊所を経営している所もある。その客はほとんど同国人だろう。
 未成年が勉学ビザで入境し、期限切れ以降も帰国せず、働き口を捜している例も多い。
 中国側の外国人入国の窓口では黒人の顔かたちを写真では判別できないことにつけ込んで、別人がビザ申請に来ることも多いようだ。
 キンシャサにはコンゴ人によるビザ受付代理店を経営する人が出てきた。一連の受付費用は50ドルから数百ドルで、規約ではなく相手を見て適当に値段を決めているという。
 コンゴで貿易などに従事する中国人を捕まえて「友達になりましょう」と持ちかけて「大使館の人を紹介してくれたら、コーラを奢りましょう」という接近の仕方も多いという。

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 訳者注:

 日本でも1990年まではこのような景色がありました。上野公園には中近東から仕事を求めに来た人達が夕刻に群れを為していました。彼等に電話カードを販売させていたのが日本の暴力団でしょうか。
 やがて低成長期に入ってすっかり外国人は見えなくなりました。

 黒人の場合、ビザの写真で本人を識別しにくいと言う利点もありますが、中国の街では目立つという欠点もありますね。
 地球全体がそれぞれ影響し有っていることを感じます。

 彼等を利用している組織に「蛇頭」があると記されています。

 私の翻訳で、娘達を誘拐し売春組織に売り飛ばす組織が広州にあり、その記事では「鶏頭」と書かれていました。しかし鶏頭は党幹部とつるんでいましたから、恐らく本当の名前はあの組織も「蛇頭」だったのではないかと思います。本当のことを書けないから名目を変えたのではないでしょうか。