SKーUには安全上の問題なし


06/09/28 南方週末  孟登科



      商品回収を求める人達

 SKーU(マックスファクター化粧品)にクロムとネオジウムの重金属が含まれており、肌が荒れて危険だと報道され、中国では大問題となった事件。
 マックスファクターの中国企業はその商品を回収し、消費者に弁償する事体にまでなったが。
 中国人のこの商品に対する憤激は業者のホームページへ攻撃が集中し商店打ち壊しにまでなった。
 だが現在「今後は報道を信用しない」という所までその波は後退している。
 このような事件の本質は、そもそも化粧品の品質にあったのか、それとも国民の情緒に問題があったのか。
 現在中国人は国家質量監督局などの政府部門がもっと権威を持って「大国家の公民」として理性が発揮出来るように成って欲しいと希望している。

 9月26日記者は「宝潔」公司の陳力女士に採訪した。
 記者:SKーUの中のクロムとネオジウムは皮膚に有害ではないのですか。
陳力:それは空気中や飲用水の中にも含まれています。中国国家の規定の10分の1以下です。
 毎日化粧して1週間塗ったとして、それはバナナ一房を食べた時と同じ量が含まれています。
 
記者:中国南昌市のある消費者がSKーUを使用して皮膚が荒れたと訴えていますが、それは証拠不充分として却下されました。
 このような訴えが出たとき貴方は当局に何を訴えましたか。
陳力:当商品は全世界に出回っており、全ての国の検査をパスしています。
記者:危害がないのに何故商品を回収しているのですか。
陳力:製品の質に問題がありません。中国国家の安全検査にもパスしています。しかし商店にこのように大量の客が押し寄せ、大きく混乱する事を避けるためです。
記者:しかし消費者は公司を信用していません。
陳力:まだ報道機関の悪宣伝が続いています。とにかく商品を棚から消す事が必要と考えました。
記者:何故9月22日に回収を決めましたか。
陳力:商店の現場では非常に混乱しています。暴力行為が見られます。公安が出動した事件が20カ所もあります。商店全体が営業の危険に面しています。SKーU御利用のお客にもこの状態を避けねばなりません。
記者:例えば。
陳力:6人のグループが集団で瓶や缶を持って暴れました。別の事件では偽の商品を持ってきて買い取れと要求しました。当方は全てこの要求を拒否しました。
 その後もホームページを書き換えたり、上海支店の公司に押し寄せ、受付台破壊事件もありました。
 記者:当局とはどんな連絡をしていますか。
陳力:国家質検総局と消費者協会とも連絡を取り、商品回収の指導を受けました。現在も連絡を取っています。
記者:消費者の態度が静まってきていますね。
陳力:事件後暫くは国家質検総局と必死に連絡を取り、消費者やメディアとはあまり連絡をしていません。各メディアは最初大々的に報道しました。だがその報道は事実に反し、一方的で誇張されていました。例えば「SK-Uは8年間検査を受けていない」とか「世界の国によって質を変えている」とか、です。
記者:9月19日の北京での日本大使館との交渉は如何な様子ですか。
陳力:私はその方の事は聞いていません。
記者:ある報道では他の企業の化粧品にはSKーU以上にクロム等が含まれていると記されていますが。
陳力:それらは製造工程で必然的に微量含まれます。何処のメーカーも同じでしょう。
記者:この事件の結末を貴方は如何に予想しますか。
陳力:企業の長い歴史始まって以来の最大の困難です。しかし私達は楽観しています。消費者が急速に明確な結論を出すでしょう。

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訳者注:
 日本の報道では、日本側が中国からの輸入規制を強めたために中国側が反発している、と記されています。
 それにしても報道の自由のない国では、こうも一方的な報道が出来るものでしょうか。
 同じ新聞に、シンガポールや台湾ではこの報道に対し、品質検査を自主的に行って、中国側の追随報道をしなかったと記されています。
 そしてこの記事も題字が「安全上の問題なし」とする辺りに、この「南方週末」の”自主性と権威”が光っています。
 ただ心配なのは新聞を読めない人が多い国であり、ましてこの「南方週末」を読める人が少ないので、多分真実を知らない人が圧倒的に多いだろうということです。
 この記事の最初に「事件の本質」は国民の情緒に問題があったのか、と書かれていますが、その実は国家の体制に問題がある事は誰もが理解出来るでしょう。真実が報道出来る体制になるまで、似た事件が起こるでしょう。