中学卒業生を高校へ行かせよう


06/02/16 南方週末 信力建

 中国では誰でも自分の周辺を見ると14,5才の子供達が失業しているか、学校へ行っていない状態に出会う。中国の将来を考えればこれは無視できないことではないか。

 最近の統計によると中学を卒業して就職する若者はほぼ農村に集中し、その数は1000万人の規模だ。04年から07年にかけては1100万人を超える。その内農村出が80%、都市出が20%だ。さらにその内200万人程度が失業している。この数字は2010年度まで続くと見られている。
 高卒での失業者となると都市に多い。失業率は小さな農村へ行くほど高い。

 最近の青少年犯罪の統計によると、全国総犯罪件数の70%が青少年犯罪となっている。さらにその内15歳以下の犯罪が70%を占める。
 中学卒業生以下の失業者と低年齢層の犯罪とが社会の安定を脅かしていると言えるのではないか。高校へ行く年齢層の失業という人生の空白がその根本原因となっている。
 
 出来れば大企業を多く建設しそこへ若者を吸収すべきだが、しかし現実は国営企業が経営に喘いでいる現在簡単ではない。
 中卒という学歴では簡単に受け入れ先を見つけることも出来なくなりつつある。また中国国家規定では16歳以下は就職できないこととなっている。つまり現在の法規のままでは青少年時代の空白を過ごしている若者を受け入れることは出来ないのだ。つまり学校へ行けない或いは進学就職が出来ない若者を、とにかくどこかの学校へ送ることしか解決の道はない。

 これが出来れば国家の安全と安定に大いに役立つだろう。青年にとって、如何に不十分な学校であろうとも充分な監獄へ送るよりは青年にとって好ましいだろう。
 青年に社会へ入るための各種才能を育成することは、その時期を選ぶ必要がある。時を誤ればそれを矯正することは困難となる。
 フランスの文豪ユーゴは「学校が一つ増えれば監獄は一つ不要となる」と言う名言を残している。

 出来れば都市の青年を高校まで義務とし、農村の青年には中卒後に技術学校に入れるような制度が望ましい。
 この制度の実現のために社会各層に呼びかけて資金を集め、民間学校を増やし、入学の敷居を下げ受け入れを増やし、中国全体に学校が存在するようにしたい。学校の敷居を下げることは生徒の質を下げるという批判がある。その批判は必ずしも絶対的なものではない。先ず量を増やすべきだ。その後に質を高める努力が必要になるだろう。
 数量が一定以上に増加した後初めて中国人の国民的素質が上昇する。
 その後に競争や自然淘汰や質量の高い水準への変革が生まれるだろう。

 西洋の歴史から見ても敷居を下げ大規模な全民教育を実施した後、国家の強盛が生まれている。
 アメリカは南北戦争後、リンカーンが発布した最初の法律は全民学校であった。農民に農業を学ばせた。その結果10年後には10人の農民が1人の成人を養う状態から、1人の農民が10人の成人を養う現代社会に変化した。  
 第2次大戦後イギリスは大量の帰還兵を埠頭工事に回した。だがアメリカは彼等を大学に送った。そして両国の実力は大きく差が開いた。
 最近の例ではクリントンの救国例というのがある。彼は国情調査し国家の危機即ち教育の危機だとして、アメリカ全体でのパソコンを中心とした学習を始めた。その結果生まれたのがビル・ゲイツのような新世紀経済人の誕生である。
 
 遅れるもの、病んだものは新しい流れに付いていけない。
 中国は先進国家の全民教育の成功例に学び、陳腐で落後した教育理念を捨てることで社会の危機を克服できる。教育を社会発展の原動力にし、その安定と安全を実現するときだ。

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 訳者注:
 大清帝国を民国へと変革したのは、日本や西洋に学んだ青年達でした。このときは教育が変革の中心的役割と理解されていました。しかし新中国建国以降その思想は消えました。
 ここにこそ現代中国を後進国に止める根本的な問題があります。 
 今回翻訳した別記事「義和団事件」に見るように、事実から歴史を見ようとする編集長を解雇する国家権力がその害悪の根元です。

 ”右派”を社会から撲滅することが社会発展の原動力という思想が現れました。
 この思想と、教育で社会発展させようという思想とは全く相容れないもののようです。