未成年者4人が免罪

06/04/20 南方週末 戴敦峰

 安徽省中心部の?湖市での事件。
事件が起こったのは05年9月1日。市政府の前面にある池で蝦を籠に入れて育てていた老人が早朝数人の青年に殴り殺された。
 逮捕されたのは、(全て仮名)趙強、趙竜、張明、秦鐘の4名。彼等の年齢は共に16歳から17歳の未成年であった。

 この事件を聞いた党書記は事件を早期に解決することを命令。
 警察は上記4名の若者を捉え脅迫、強引に罪を認めさせた。
 夜も寝させず、鎖に縛って鞭を振り回し、「自白しないと家族に災いが及ぶ」、「他の仲間は既に罪を白状している」等と、それぞれを個別に脅迫し、事件後の9月10日には全員が有罪となり、拘留された。

 06年1月になって、他の事件から王某以下4名が事件を白状し、真相解明となった。
 王等は事件当日早朝酒を飲み、池で泳ぎ始めた。そして蝦籠に足が引っかかり、その所有者の老人を4人で殴って逃亡したのだ。
  
 中国には「未成年保護法」と言う法律があるが、その中身はまだ明確でない部分が殆どだ。

 安徽省の弁護士協会主任の孔維鉦氏の話によると、外国では未成年の調査に関しては「第3者介入制度」と言うのがあり、重要項目の自白については必ず第3者を立ち会わせることとなっている。
 
 1981年のイギリスの刑事訴訟法には、未成年者には自白の重要性が理解できないこと、その自白の結果を想像することが出来ないことなどがあり、必ず未青年者の親しい成人を立ち会わせる必要を記している。
 これらはイギリス、アメリカ、オーストラリア、ニュージーランド、等々の西洋の国家では全て法律化されている。
 香港でもこの第3者介入制度が制度化されていて、両親や青年の兄弟等が立ち会った場で調書を取ることとされている。

 今年度、安徽省の31名の人民代表議員が「未成年者の刑事事件保護の議案」と言うのを提出し、未成年者を脅迫による自白強要から守る法律制定を求めた。

 誤認逮捕の4名の未成年は現在国家賠償を求め法院に訴えている。巣湖市検察院の江科長は「現在審理中だが、まだ人権侵害であったかどうか結論が出ていない」と言っている。

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 訳者注:
 「中国では免罪は星の数程有る」、という記事も以前ありました。それにしても人権の尊重が無視され、建国以降の人権が如何に扱われてきたかが良く解る事件です。

 もし外国との国交が無ければどうなっていたのでしょうか。