医療改革は先ず法治制度から
06/06/15 南方週末 林達専欄
今中国では医療改革が大きな問題になっている。最近私は身近な経験をしたのでその例を書こう。
私の友達が子供が腹痛になり医者へ連れて行った。
医者は腹痛止めを出した後、さらに非常に高価な抗生物質を出した。たまたま、その友達は薬品に知識が有って、その抗生物質は子供に飲ませていけないものであることが解ってビックリしたと言う。
もしその友が農民であったらそのような知識がないであろう。そうすれば高価な薬品代と不必要な薬を飲まされることになる。
友が言うには、本来医者は専門的高等知識の持ち主だ。医者の言うところは誰もが信じるだろう。もし有害な薬でも飲めと言うかも知れないと考えると恐ろしくなる。さらに医者が”賄賂”を強要するのに至ってはお手上げの現状だ。
また、他の友は医者の出した薬で腎臓病になった。本当に恐ろしいことだ。何故医者は不必要な、非健康的な薬を出すのか。
01年までは薬品審査は各省に有って、内容は変わらないのに名前だけ変えた「新薬品」が続出・氾濫した。そして03年までに「国家」が薬品審査をすることになった。
だが結果としては薬品の改善も価格の高騰も止められなかった。
何故古い薬が名前だけ変えて「新薬」として次々登場するのか。それは「新薬」で価格を上げて儲けを増やすためである。
これを防ぐ法的な体制はまだ出来ていない。
この薬を患者に売れば、病院では売価の15%から30%が”ペイバック”として医者の懐に入る。
こうして、腹痛の子供にとても高価な抗生物質が与えられることになる。
このようなことは中国では誰もが知っている。そのような行為は公然と行われている。 それなのにこれを防ぐ有効な法律が出来ないのは何故か。
医者と薬会社との、患者を出汁にした契約を反古に出来ないのか。
結局これは行き着くところ「法治」の問題ではないだろうか。しかしこれまでの度重なる法的対策は何の効果も上げていない。
食品や薬品は民生の基本問題だ。その基本問題の土台が法治であろう。中国人は本来は聡明な民族だ。
良薬があって初めて名医が登場できる。
しかし一歩間違えば悪循環が重なり、何時までも良薬は登場しない。”悪貨は良貨を駆逐する”という諺がある。その現象はもう何度も見飽きる程見てきた。
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出稼ぎ農民に医療保険制度を
06/06/15 南方週末
現在都市に出かけて臨時工として働く農民は約9300万人居る。その数は毎年1000万人ほどが増加の傾向にある。しかし彼等にはまだ社会保障や医療保障制度は適用されていない。そこで中央政府は06年度中に出稼ぎ農民の約2割(2000万人)に医療保険に参加させるよう各省政府に通達を出した。
その目指すところは中規模以上の都市で、産業別には加工業、建設業、採掘業、等を重点的に加入させるよう奨励している。
中央政府の指示に先立って広東省では150万人の出稼ぎ農民に対し医療保険に参加させている。ただしその保険額は月に108元必要、その場合入院費用として最大27万元まで負担される。
また、江蘇省でも大病について都市住民と同程度の医療保険に参加できる方法を今年の4月から始めた。
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訳者注 :
この中央政府の指令は社会主義始まって以来の先進的な部分と気の遠くなるような漫画的な不誠実な面があります。
一応前向きと思えるのは都市の出稼ぎ農民を違法滞在者として見なしていない面です。
それは建国後50年にして初めての画期的な前進です。
しかし都市で働く農民を「出稼ぎ農民」と特定・差別する辺り、一つの国家としては前近代的、国家の名に恥じるでしょう。
何時になれば都市住民と同じ権利扱いになるのでしょうか。これで国連に加盟する資格があるのでしょうか、疑問です。
出稼ぎ農民の平均月収は600元程度ですから、そこから108元も出させるのは保険と言えるのでしょうか。
何故そのような高額な費用が必要かというと、広東省が物価の高いのも一理ありますが、最高入院費用を27万元として想定しているからです。
国営病院でそのような天文学的な費用が掛かるようです!
最初の記事の、同じ中身で名前だけ変えて「新薬」として値段を上げて売り出す方法は、中国の諺に”薬百層培”と言うのがあり、おそらく伝統的なやり方でしょう。
しかし価格が”暴騰”と言う位値段が上がるのはあまりにも患者を馬鹿にしています。
これを法的に取り締まる事を他国等は如何にしているのでしょうか。
日本では”新薬登録”が許可されるまで相当の長時間(年数)掛かる事が逆に問題となっていますが。
中国の場合はまだ社会主義制度が強く残っているので、審査機関や法律が整備されていないので、党書記への賄賂次第でしょうか。
多分こればかりはその国の「民度」に頼るしかないのではないでしょうか。
「民度」に付ける薬は”国民が法の下に活動する”事しかないようです。党に指導されている間は育ちません。