国連人権公約に中国が署名の準備


05/09/22 南方週末 許峰 (概略)

 9月6日、中央政治局常任委員会の羅刊氏は22回世界法律大会で、中国が人権公約批准の準備をしていることを表明した。
 条約の正式名称は「公民権と政治権利国際公約」であり、これは世界人権宣言の内の重要な国際条約の一つである。
 そこには、基本的自由・安全の権利、理由無く逮捕されない、拘束・追放の自由、公正で公開の裁判、私生活・家庭の不干渉の権利、言論の自由、結社集会の自由、参政権、等々が含まれている。
 文革終了後の改革開放を経て、この条約に加盟するべきかどうかが3度ほど討議されたが、激論の結果先送りとされてきた経緯が有る。

1997年江沢民主席は「経済・社会及び文化権利の国際条約」に署名した。
 それは2002年、国連で批准された。その後「人権宣言」は準備後7年を経て居る。

 現在問題となっているのは「厳重な犯罪」と「労働改造所」である。
 中国の現行法規は1997年作成されたが、「厳重な犯罪」に含まれる68首の行為が死刑となっている点が国連では認められていない。
 68首の犯罪とは、「国家安全に対する危害、国防への危害、環境破壊への危害、公共安全への危害、社会秩序破壊、収賄と財産取得」などである。中国ではこれらの犯罪は死刑となっているが、国連では認めていない。  
「労働改造所」での教育方法も国連憲章違反だが現在「違法行為矯正法」と言う名前に変える準備がされている。
 現在国連には149の国家が人権宣言に参加しているが、しかしその適用において条件付きで承認を受けている国家もあり、中国も条件付き認定を受けることになるだろうと、専門家は見ている。
中国が国際公約に署名することで、中国の政治的国際上の願望が容易になり、同時に公民の権利もその重要さが認識されるだろうと、専門家は見ている。


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訳者注:
 党幹部が収賄で逮捕後死刑は毎年の行事となっています。これによって中国政府は「腐敗に対し厳正な態度を取っている」証拠と宣伝しています。
 逮捕後1、2年で死刑にすることで、一層”厳正な態度だ”とテレビで強調していますが、そんなことで人間を殺して良いのでしょうか。
 改革開放以前は、人権など全く無い状態でした。「敵階級」と言われれば最悪の状態になっていました。
 国家転覆罪も時々放送されています。「外国人と組んで密かに民主化を図った」というのがいつもの決まり文句です。
 裁判の公開が中国であり得るとは信じられません。法的に中立を約束できるでしょうか。
 この記事を北京に直訴している人達が聞いたらどう思うでしょうか。
 国連が何故人権宣言を求めているかを、その根本を理解して欲しいと思います。