広州駅に見るこの世の地獄

05/07/28 文学城  

注射針を準備する2人              手錠で縛られている

















  獲物を狙う盗賊達              注射針が散乱する















   薬で昏倒する姿
   

 駅前に「恐怖の道」と呼ばれる通路がある。朝4時から6時頃の光景を紹介する。
 この駅には周辺から仕事を求めて大勢の人が早朝からやってくる。
 
 「来た!」と言う声で、最初に見たのは一人の男性が3人組に囲まれて強請られているところだ。その男性は大声で助けを求める。男性は金を盗られて、さらに耳を切られたようだ。「もうこんな所には来ない」と恐怖の顔である。記者が近づこうとすると「来るな、お前も仲間だろう」と顔が歪んでいる。

 目が馴れて周囲を見渡すとその手の強請強盗が15人は見える。警官が来ると欄干を超えてバイクに乗って逃げる。
もう一人の市民が襲われた。彼は財布が軽いようで、何か揉めている。

 同じ通路の反対側には麻薬患者が屯している。 
 白い粉を吸っている男に近づいた。彼等の話によると、この近辺は天国だという。吸いたくなってこの辺りに来れば必ず薬が手に入る、と言う。そこらに使用済みの注射針が散らかっている。まだ血の色が見える。記者が近づいて写真を撮る、彼等がこちらに目を向ける。「大丈夫、大丈夫」と駅管理員が彼等に向かって手を振り私を庇ってくれた。

 夫婦と子供3人が長い列に並んでタクシーを待っていると、近づいてきたのが”足蹴り強請強盗”と言われる一団。後からぶつかり、足蹴りを加えて倒しておいて、けがをしたから弁償しろ、と要求している。
 男性が大声で「金はない」と叫び周囲の注意を引いている。幸いなことに保安官が近づいてくると直ぐに悪党どもはバイクに乗って逃げていった。
しかし直ぐ向こうで他の通行人に狙いを付けたようで、揉めている。その狙われた人は身体を探られて100元を取られて様だ。

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 訳者注:私は中国へ旅行する人に「早朝の公園へ行き、太極拳を見たら」と助言してきました。しかし広州駅ではこれは危険ですね。

人 口 抑制の噂 (概略)

05/07/28 南方週末 陳傑人

 北京人口は現在1170.6万人である。しかし実際の居住者は誰もが2000万人を超えているという。 
 そしてその増大率が都市計画の1.5%を超え2%になると言われ、これを抑制するために各種の抑制施策が採られるようだ。
一番確実なのは農民が都市の戸籍を買う費用を上げることである。
 その他学歴や収入で制限する案も出ている。

 中関村には農村や地方から直訴に来ている人達の大きな群れがある。
 都市全体に戸籍のない”実質市民”が住んでいる。
中国政府が取ってきた農民蔑視の政策は本当に北京市民にとって良いことかどうか再考慮の必要があるだろう。
 同じ都市に住みながらある人はこの権利があり、隣の人はその権利がない、このような状況が本当によいことだろうか。
 ある人は子供を教育でき、ある人は教育できない。又医療についても差別がある。各種差別について考えればきりがない。勿論農民達は規定の税金を納めることが出来ない。
 だが人口増大の都市化現象は簡単にとどめることは出来ない。当面の利益を考えて、差別を強めることが、道理にかなうのか、社会の将来を見ながら決めて貰いたいものだ。


  
犯罪嫌疑者を引き回す

05/08/18 南方週末 石鉄軍

 河南省では8月10日、10代のトラックに約100名の犯罪容疑者を載せ市内を引き回した。 
 累河市のサッカー場で顔見せ大会が開かれ、約数千人が容疑者を取り囲んで見学した。 演題が儲けられ、市の副書記長、規律委員会書記長、市政府常任委員会委員、市政府書記、人民大会副主任、副市長、人民検察院長、市公安局長などの挨拶が続いた。
 代表挨拶の後ろには制服の官吏が列んだ。
 安全を保つため、市の公安が275名の警察を並べた。その上52名の武装警官が会場を威圧した。容疑者は逃走を防ぐため縄で縛られている。ただ当日は酷暑であったので、容疑者達が熱病になって倒れるのを防ぐため”仁丹”が用意された。

 この大会の準備は周到だった。容疑者の便所として、大きな樽が用意された。その使用時には警察官が取り囲むことになっている。

 各代表の挨拶は市の治安維持の向上のための公安の決意が固いことを示し、犯罪者が震え上がり、自首を促し、今後の検挙率が上がることを強調した。

 大会後嫌疑者達は市内を行進し、市民にその顔を披露した。

 この大行進と大会を見学した人達の評判は良く、拍手喝采が出る場面もあったが、後日各種メディアが取り上げる中、批判も出てきた。

 特に「青年報」が8月12日に「被疑者はまだ犯罪者ではない」と言う論説を掲げた。 その記事によると、この行進は”法を無視している”、観衆に”万歳を叫ばせることは非理性的狂人的傾向を造る”と批判した。
 
 この両者の意見の対立を、どの辺で折り合うことが出来るのか、これは難しい問題だ。その後も学会からは”反対”、住民側から”賛成”の意見がマスコミに連続して登場している。


「結婚登記の健康検査」 は違憲か合憲か

05/07/28 南方週末 康劫

 黒竜江省が結婚登記時の健康検査を義務付ける制度を復活すると発表し、これが今学会を巻き込んで議論されている。

 中国人民大学の楊建順教授は合法だと言い、中国政法大学の馬懐徳教授は「青年報」に違憲だと発表した。
 これらの意見を受けて黒竜江省の市政府は強制的ではないと発表し、また同省の人民大会はこの制度が「母と嬰児」を守るために厳格に執行されると発表した。
そして合憲か違憲かの疑問が噴出する中、憲法審査会が開かれることになったが、その後10日経過してもまだ全く結論が出ていない。
 
下記は法律家の温毅武の意見である。

結婚の自由は憲法で保障されている。又国家の干渉を受けないことが明記された。
 これから見れば、今回の健康検査義務付けは明らかに憲法違反だ。
 伝染病やエイズなどの拡大を国家が予防することは、これも義務である。
 公民と国家との権利義務が衝突したとき、公民の権利を保障した上で、国家の各種努力が行われるべきである。

 健康検査の義務付けは現在の法律には記述がない。中国においても個人の私的権利が既に公認されている、と言える。そのために実際上はこの「検査」を嫌い、或いは拒否する人が後を絶たないのだろう。
 地球上のほとんどの国はこの検査を「個人の私的権利」内と規定している。
 国家は定期的に伝染病やエイズなどの検査を行い、それを「档案」(個人の政治評価記録)に記録し、その保存は秘密厳守で管理するべきである。こうして社会の安全と健康が守られるだろう。
結婚登記において、婚約者の病歴を知った人は相手の私的情報を守る責任がある。

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訳者注:「個人の私的権利が法的に保障される」ようになったことは驚天動地の成長です。
 もしこれが建国後に守られていれば、殺されずに済んだ人が何千万人と居るでしょう。
 建国後は個人の権利よりも国家の階級敵と闘う方針が重要とされ、公民の権利が存在しなかったのです。公民と言う言葉さえ存在しなかった。もし少しでも存在していれば中国の国家主席が毛沢東に殺されることはなかったでしょう。 
 おそらく今でも公安関係者はこの法律の存在を認識していないのではないでしょうか。 その点ではこのような記事が堂々と公民の目に触れることは素晴らしいことです。

「档案」が今でも”単位”(職場)で管理され、職場が変われば当人が賄賂を出して借り受け次の職場へ持っていきます。賄賂が少なくて借り受けられない記事も有りましたから、まだ法治国家としての機能が極めて根本的に不十分ということでしょう。