中米印 ”三国演義”

05/04/07 南方週末 宋国才 劉軍玉(石家庄陸軍学院)

 ある人曰く、”中米印度三国の関係は同じ土俵で取り組むことが必然になってきており、共通利益がますます多く、しかしその利害は微妙な所で平衡している。それをお互い維持せざるを得ず、だが維持することも簡単ではない。”

 アジアでの政治地図は現在ほど複雑きわまりないことはなかった。その原因のほとんどは中米印度の三国関係で、この各大国が今後如何なる方向へ進むのかお互いに掴めないでいる。中米ロシア、中米日の三角関係は既に聞き慣れているが、しかし勿論常に学者や政治家の話題になることも多い。
だが最も重要なものは、中米印度の三国であろう。

 誰が敵で誰が見方か

 中国はアジア最大、世界第2の経済規模、アジア唯一の国連理事国である。台湾を独立させないことが中国のアジアでの最大の関心である。
 印度は世界第2の人口大国、第4の経済規模、国連での発言権強化を願っている。
 ただ印度パキスタン戦争が印度の影響力を東南アジアに限定させてきた。
 米国は、世界一の超大国である。これまでは常に母国を数千里離れた諸国を属国にする政策で自国の利益を追求してきた。だが言わずもがな、中国も印度も長期に米国の影響下に置かれてきたのは事実だ。

 21世紀になっても中国は依然として世界から驚異の目で見られている20年を超す高度成長を持続している。次いで印度もまた世界2の経済成長をしている。

 このことは現実主義者の米国に取ってみれば気にくわないことのようだ。
 米国情報部は「今後20年内に中印の両国が米国に大きく立ちはだかるだろう」と予測している。米国の国防部も2020年には中印が米国の最大の敵となるだろう、と予測している。
 現在は中国にとって米国は最大の貿易相手国である。だが双方は朝鮮と台湾に対しては何時発火してもおかしくない情勢である。
 中国社会科学院の調査によると、中国人は米国の文化を2/3は好ましいと言っている。約半数が米国と友好にやっていけると考えている。同時に半数が米国は中国を押さえつけている、とも考えていることを示している。それは台湾の独立を米国が援助していると考えているからだ。

 印度については中国人はあまり認識がない。004年に印度へ行ったことのある中国人は21000人にしかすぎない。そして中国と印度の国境紛争はまだ解決されていない。 
印度はこれまで外国との関係をただ警戒するだけの態度だった。独立時にネール大統領は「印度は国際的に前面に出ることはないだろう」と宣言している。
 印度は三国の中では最も弱い環であり、そのGDPは中国の半分である。だが勿論世界の大国になろうとする気持ちが無いわけではないだろう。それは経済成長と軍事力への投資に見られる。1998年、印度は核実験を行い核保有国となった。これは米中ともに心しなければならない存在である。

 しかし冷戦時代の敵対的雰囲気はほとんど消えつつある。現実に衝突がないわけではないが、共通の利益もまた日々大きくなっている。
 中国は核実験に関して印度と共通の協力体制を築くことに署名した。今世紀、中国総理温家宝は印度首相と会見し「両国関係は現在最も望ましい状態であること」を確認した。米国のブッシュも印度に対し「印度は民主主義国家であり、米国と長年の友好を続けている」と発言している。

 そして911事件が起こった。それ以降、米印は蜜月に入ったとされる。米国のライス長官はアジア旅行の最初に印度を訪問し、米国が印度を重視していることを表明した。
 中米の関係も現在は友好的で、台湾の内部からの独立に対し米国は何度もその動きを制止してきた。
 米中印の関係は複雑きわまりないが、国際関係とはこのようなものか。

 中印が手を組んで米を抑えるべきか、米と印が中に対するべきか

 三角関係はお互いに適当に離れているのが穏やかではないだろうか。
 中国と印度は世界のGDPの4%と2%を占めている。共に経済成長率は8%を超えている。両方で世界人口の3分の1を擁す。この2国が手を組めば世界的影響は圧倒的であろう。
 印度はロシアと以前から友好関係を結んでいるが、そこへ中国を加えることは望まなかった。だが01年、米国パキスタンが友好条約を結んだので、印度はそれに反発し、ロシア印中同盟を望む態度を現している。だがこれは当分実現不可能だろう。  

欧州は以前から中印の関係について、両大国は歴史的な伝統があり、周辺国家を惹きつけ、それはお互いに潜在的な競争意識を続けさせ、その関係を欧州は如何とも手出しが出来ないと見ているようだ。
印度は世界大国の理想を実現するためには米国の支持が必要と考えている。そして米国は印度をして中国を抑制させる力にしたいと望んでいる。
ライス訪印について印度のメディアは、「はっきり言って、米国は印度と全面的に協力関係を強化したいと表明したがそれは平等の態度で付き合おうとはしていない。また米国は自国の利益一番に考慮している」と報道した。「世界の力の現状維持を目論んでいる」、これがマスコミの見方である。
米国国防長官自身が「印は米と永久の同盟を結べないだろう。忠実な盟友ではない」と表明している。
 このように三国関係とは何処もバランスを崩さないことに懸命である。

三国の平衡点はどこか

 今中国はその国力が猛烈な勢いで増大している。当然その影響力も止まる時はない。だが中国はアジアに於いて、その主導的な力を印米と分けあわざるを得ない。
 米国はアジアにおいて最大の影響力を持っているが、現在14万の軍隊がイラクに足を引っ張られている。イランの核問題、朝鮮の核問題、共に解決できない。敵が多く充分には対処できない。
印度は南アジアではその雄であり、国連理事国の野心を捨てていない。南アジアに於いて米国が常に印度の行動を制限しており、米国はインド洋の覇権を印度に許していない。
 
米国の政府の一部分は中国の勢力増大を快く望んでいず、中印の実力を認識出来ず、武力で抑えるべきだと考えている人達もいる。これは台湾問題で戦争になる可能性を持っている。これを理性で抑えることが可能だろうか。一般的には他国の強大化を静視しないのが歴史である。「共に勝利する」、これは実現しないという矛盾は誰もが認めるだろう。何処で妥協するかは三国の指導者の理と知に依るだろう。既に3国とも核保有国となっている現在、戦争で領土問題などを解決することは不可能であり、共に勝ち、共に生きる、この思想を選択するしかないだろう。

 04年の中米の貿易額は1500億ドルを超えた。中国は米の第2の貿易相手国となった。
 ライスは訪中の時「中国の強大で自信に満ちた、活力に富んだ躍進は世界経済を支える大きな力だ」と表明した。
中印の貿易額は90年代は2億ドル程度であったのが昨年は136億ドルになっている。これほど急速な成長はこれまで先ず他には見られないだろう。
 印度の「印度教徒新聞」は「印中の経済は世界の発動機となっている」と記した。
 印度のIT関連技術者について言うと、アメリカに20万人送り出している。米国IT業界の半分はインド人だ。経済は相互に結びつき依頼関係を強める。3国の利益も相互に日増しに強化される。これは国家間の政策を融合させる良い条件となる。
 4月、温家宝総理は印度を訪問し両国の貿易をさらに発展させ、国境紛争を解決したい等の話し合いを行った。これは相互に政策を融合することが共通の利益であることを表明したものだ。
 また米のプロチンスチ教授も「中米印の関係を誠意有るものに維持すべきだ」と述べている。

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 訳者注:
 私の考えですが、ここに書かれた文は大国意識が充満していると感じました。
 やはり日本人の考えとは馴染まないのではないでしょうか。
 出来れば自国内の国民の生活・文化を向上させる道を優先させて欲しいものです。
 一日も早く農民の身分制廃止、档案(政治評価書)の廃止、身分証の廃止、裁判制度の独立、義務教育の実現などなど、先ず実行することがあるのではないでしょうか。
 皆さんは如何?